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8/27(土) パミール高原 カラクリ湖         

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パミール高原の最高峰コングール(Kongur)山
(中パ公路より)



 宿泊用寝台付き観光バスって見たことある?

 7時半起床,外はまだ真っ暗,現地の人が使用しているローカルタイムではまだ5時半なので,まだまだ明けきっていない。この地方では午前の仕事が10時から1時まで、それから4時間休んで午後の仕事は5時から8時まで,と言うのが一般的なのだそうだ。 8時頃になってようやくほのかに明るさが出てくる。
 食事は別棟のレストランで。玄関を出ると,左脇にどでかいトレーラーが停まっている。えっこんなの見るのは初めてだ! 車の横の文字からするとドイツ人の旅行客である。2台のトレーラー(1台は寝台車,もう1台は普通のバス仕様)からなり観光するときはバス仕様車で,ホテルの駐車場などに停めて寝台車で寝る,食事は自分達で造って車体の間にテーブル,椅子を並べて済ます。いかにもドイツ人らしい合理的な安上がり旅行指向だ。「ドイツから陸路をやってきたのか?」と聞いたら「車は別送,わたし達は西安からこの車で旅行している」と云っていた。それにしても逞しいもんだ!度肝を抜かれた。

観光はこの車両で 3段ベッドの寝台車
窓の数から定員42人,後部にシャワー室もついている。
連結して移動
 

パミール高原へ

 さて,わたし達は,今日は,往復400km,パミール高原の片隅にあるカラクリ湖までの1日ドライブである。

09:05 出発 最近道路が良くなったとは言え片道4時間半くらいかかるという。
市内からすぐ中パ公路に入り南に向かう。この道路は,国道314号 トルファンからコルラ,クチャ,アクス,カシュガルをへてパミール高原に入りタシュクルガンを経てクンジュラブ峠(4943m)でカラコルム山脈を越えてパキスタンのフンザ渓谷・仏像誕生の地岩ガンダーラを経由してインダス河支流に沿ってイスラマバードに達する全長1300キロの道路。カシュガルから先を中パ公路(カラコルムハイウエイとも呼ぶ。1978年完成。現在,2006.10完成を目指して全面舗装工事が進められている。この道は,かつて玄奘三蔵 がインドへの求法の旅に際し,帰路に利用した道である。現在は,中国とパキスタンを結ぶ重要道路として沢山のトラックが行きかっていて,さしずめ,現在のシルク道路とも言える。
 カラクリ湖は,この途中にある氷河湖である。

09:15 キジル河を渡る。道路の両側乾燥に強いポプラ並木,周辺一帯にトウモロコシと小麦と綿畑が広がる。ウイグル人は小麦から作ったナンと少量の羊肉,夕食にはヨーグルト・果物を欠かさない,肉類はあまり摂らないという,それが長寿の秘訣とか。わたしも果物と自家製のヨーグルトを愛飲している。少しは長生きできるかな~?

09:20 舗装し終わったばかりの4車線の中パ公路に出て,快調に飛ばす。しかし,工事はまだ半ば,途切れ途切れに悪路を挟んだり,工事中で凸凹の迂回路を通過したりする。

09:30 前方にコングール山(7,719m)がうっすら見え隠れする。

09:50 ウパール村にて休憩 ウイグル族最後の村である。以前はここまで3時間かかったそうだ。
ここには,ムハマド・カシュガルの墓があるのでウイグル族の人々には有名だそうだ。
 これから先はキルギス族が多くなる。イミンさんが焼きたてのナンをご馳走してくれる。またハミ瓜を選んでくれながら(これは昼食時のお楽しみ)
「ハミ瓜はカシュガル産が一番だ!」とお国自慢をする。昼夜の温度差が大きいのが理由だという。

スイカやハミ瓜を選定するイミンさん ロバ車が闊歩するのどかな集落である

10:08 ウパール村発 時々現れる集落はすべて日干し煉瓦の家。安くて,夏は涼しいという。
日干しレンガの家は,500元,焼きレンガの家は3,000元,ちょっとましな家は10,000元で出来るそうだ。いちばん安いのは木造で,そこらから木を切ってきて,骨組みを造り藁で覆う程度のもので50~70元位で出来るという。

日干しレンガの家


10:45 コングール山がきれいに見えてきたところで写真タイム。このあたりガイズ川(ウイグル語で灰色という意味でカシュガル市内を流れるキジル川の上流)の広大な河原と対岸の随所にスケールの大きな扇状地地形や崖錐地形,河岸段丘が目に付く。出水期には相当な暴れ川になると予想できる。いくつかの川を渉って,よく舗装された道をひた走る。

10:55 看板に「古糸路奥依塔克景区旅游接待站(old silkroad scienic spot reception center)」と書いてあるお店でトイレを借りる。ウイターグ村というそうだ。周囲は,真っ赤な岩山が続く,紅山と呼ばれている。遠望するに鉄分を多く含んだ頁岩からなるようだ。
 ゲイズ川に沿って高度を上げていく,雪解け水が滔々と流れている。

鉄分で赤くなった岩肌を見せる紅山(キジル山) 対岸に尖ったゲイズ山(5486m)
検問所付近にて


11:50 ゲイズ検問所に着く。全員バスから降りて,パスポートを提出し,一人ひとり面通しをして通過。これから先は政情不安な中央アジア諸国との国境に近い辺境地帯なので人の出入りを厳しくチェックしているようだ。標高は,既に2200m位。

      スケールの雄大な自然景観に感激!

 
 谷あいに沿って,高度をどんどん上げていく。そそり立つ険しい周囲の山々は標高7000mの氷雪に輝く崑崙山脈やカラコルム山脈で、まさしく写真やTV映像などで見覚えのあるあの雄大な光景を眼前にして,「とうとう やって来たか!」という興奮を覚える。岩山は花崗岩,花崗片磨岩,粘版岩などの古生層からなるようだ。
 13世紀この道を行った一人のヨーロッパ人、マルコポーロ(1254-1324)はこう記している。
  
「高原までは12日間かかる。この間、人もいえも一切見当たらず、食べるものも無い。気温は非常に低い。火の燃え方も異なり肉も十分に焼くことが出来ない」

12:30 ブロンクリ(布崙口)湖畔着 氷河湖なのか?かなり大きな湿原のような感じである。対岸に砂山,なぜ出来たのか不思議である。このあたりの高度は3,200m。
 

ブロンクリ湖 コンクリート製パオ 対岸の砂丘


 キルギス族の露店が並ぶ,独特な民族調のフェルト帽やアクセサリー等を売っている。売り子の一人がN.Oさんに千円札を1枚出して元に交換してくれと言っている。レートが高いとか安いとかやりあって,結局1000円=70元でヤミ取引成立。
 道際にコンクリート製のパオ型建物が幾つか並んでいる。国境を越えて物資を運ぶトラックは,片道3,4日もかけてこの中パ公路を行き来するので,途中でこのような場所で宿泊していくとのこと。

キルギス族の母子
ウイグル族,漢族,タジク族とは明らかに違った顔立ち,大きな切れ長な目が特徴的だ。

キルギス族の家を突撃訪問

 石と泥で固めた壁,中は意外に広い,居間は絨毯が敷き詰められていて快適そうだ。屋根にはソーラーシステムのセルが一戸毎に据えつけられている。TVもあるが,周辺にアンテナらしきものが見当たらないので,ビデオのみに使っているのかも知れない。夏は,この石の家で過ごし,冬はもっと標高の低い場所に移ってパオでの遊牧生活を送るという。この家の家族は祖父,親,子三代同居とのこと,食事は野菜が極端に少なく,ヤギやヤクの肉を多くとり,寒冷なので強いアルコールを好むそうだ。燃料はヤクの糞。
 このあたりは,冬季はー36℃にもなり降雪も多いそうだ。ちなみに中パ公路は11月末から5月始まで閉鎖される(カラクリ湖までは年間通行可)。

石と泥で出来たキルギス族の家 居間兼寝室 乾燥したヤクの糞


13:00 出発 カラクリ湖まであと20km足らず。だが,ここからは道路工事中で,凸凹かつ砂埃いっぱいの道路である。工事関係者のいわゆる飯場があちこちに立っている。
数十台の軍用車とすれ違う,国境を守る人民解放軍の交代? 山岳演習を終わっての帰りか?道が狭いので離合にちょっと手間取る。

13:50 小カラクリ湖通過

14:00 カラクリ湖到着!ゲイズ川の水量も少なくなり緩やかな流れになると,前方にたおやかな峰ムスターク・アタが姿を現わして,カラクリ湖の湖畔に着いた。
 観光案内書にはカラクリ湖のことを「標高3,600m,水深30m,湖の面積10平方公里,湖水清碧 湖面随天気変幻顔色 是世界的著名的・変色湖,ムスターグ・アタは氷山の父」と書かれてある。カラクリとは,ウイグル語で黒い湖という意味。

ムスターグ・アタ(MustagAta 7546m) コングール山から流下する氷河の末端


 カラクリ湖は北から東,南へと白い峰々に囲まれている。北のコングール・チュビェ,コングールの白いたおやかな峰々から白い稜線が下ってきて,カラクリ湖に落ち込んでいる。後退した氷河の末端が幾つも遠望できる。南へ振るとムスターグ・アタのドーム状の北峰(7427㍍)が盛り上がり,その背後には主峰(7546㍍)からの緩やかな雪の線が下っている。
 

げ~っ雲が出てきてしまって きれいな山の写真が撮れな~い (´⌒`。)


 コングール山は,バスの中からは頂上までくっきりと見えていたのだが,午後2時ともなると,やはり雲が多くなり,中腹くらいまでしか姿を見せてくれなかったのが残念。 でも5時間も6時間もかけてやってきて,山の姿を全然見ることもかなわず,無念にも引き返すこともあるという。わたし達はかなりハッピーであった。

 ここは、標高3,600m,富士山とは170mくらいしか違わない,少々酸素が薄いのか,妻は軽い高山病症状を呈する。レストランが込み合っているので,少々フリータイム,写真を撮ったり,トイレに行ったり。
 ここのトイレは凄まじい! 幅1.5m,奥行き3mくらい,深さ1.5~2mの塹壕みたいな穴を掘り,板を5,6枚渡して,周りをピクニック用ビニールシートで囲っただけのもの。トイレの帰りにレストランの裏手を通ったら,まさにヤクを扼殺して,解体作業の真っ最中,その模様をカメラに収めたが,これまた凄まじい光景,公表しない方がよさそうだ。
塹壕式テント囲いトイレット

 こんな山中で,ランチを戴けるなんて思っても見なかった。
メニューは,ナスの炒め物,肉とネギの炒め物,トマトの卵炒めとらぐ麺。ご飯。それにウパール村でイニンさんが選んだハミ瓜!この甘さ抜群の瓜を食べているうちに妻の高山病症状も治まったみたいだ。

塹甘くて美味しいハミいやカシュガル瓜

 
 食後,湖畔を散策するも,風が強い!気温は14℃。駱駝と一緒に写真を撮らないか?とか,乗っかってそこいらを一回りが5元だよ!とか,山サンゴ全部でシェン円だよ~とか売り子がうるさく寄ってくる。
 好写真をものにせんと”ムスターグ・アタ”にかかる雲が晴れるのを暫く待ったが,次から次へと西風に乗った雲が途切れずあきらめる。

14:20 カラクリ湖を後にする。

16:45 キャラバンサライ(隊商宿)跡で写真ストップ。何も残っていない,1,400年前,三蔵法師がインドからの帰途,訪れているはずだという。ガイズ川の対岸 崖の途中に途切れ途切れの細い道跡が確認できる,えっあんな道を通ったの?信じられない,まして三蔵法師は多くの仏典も持ち帰ったという。人一人通るのも危ない径だ。70年近く前に日本の大谷探検隊もここを通過しているという。先人の苦労が偲ばれる。

キャラバンサライ跡
右手の大きな岩に居住室があるように見えた,数人の人影あり遊牧に使用している様子だ


17:05 道路際の廃家屋裏で二手に分かれて青空トイレ休憩。

17:10 ゲイズ検問所 帰りは人数を確認するだけ。

17:55 silkroad center でまたトイレを借りる。
 街道沿いのポプラの梢が風にゆれ,ひるがえる葉裏がきらきらと白く光って,花が咲いているように錯覚する。
18:45 往きにすれ違った軍隊の車列を,順次追い越していると,突然渋滞というかストップ。事故か道路工事によるストップか分からない。運転手の機転で,少し前進した所で右折,横道に入って殆どロスタイムなしで本街道に戻る。
 おかげで街道筋からは見られなかったこの辺りの農家のたたずまいをしっかり観察することが出来た。結構大きな敷地の中に大きな家屋がみられ,それなりの裕福さが感じられた。
 
18:55 ウパール村通過

 カシュガル市に入る手前で左手遠くに,アンテナが林立しているのが見える。最初は,石油基地かしらんと眺めていたが,沖縄のライオンの檻を思い出し,軍の通信基地と知れる。

19:45 ホテル着 10時間40分のパミール高原ドライブでした。 お疲れ様~

 夕食は,ホテル敷地内にある中華レストラン。

夕食の時,赤ワイン”楼蘭”を飲む(150元)

 夕食の席でツアー参加者の簡単な自己紹介が行われた。
 皆,旅のベテランばかりである,おかげで楽しく有意義な旅行が出来そうである。

T氏夫妻 元プラント屋さん,よく食べ,よく話し,よく歩き回る活発な奥方。
H氏兄弟 弟さんが難聴で,付き添いだという兄さん。仲の良いご兄弟。
Zさん&Tさん Zさんは民家の研究者,Tさんは自称”しがない絵描き”さん。仲良し友達,3日も前から北疆のアルタイの方の民家を調査してきたとか。
K氏夫妻 中央アジアや中近東をたくさん旅行されている御様子。
S氏夫妻 元国立大学教授,学部は違うがわたしより7年先輩,奥方も私大の先生をしていたというインテリご夫婦。
H氏 もと化学屋さん, いまはちょっと行けない中央アジアの国々を訪れている旅のベテラン。
N氏 こんな辺境には付き合えないと奥方に言われて単独参加。山形県河北町ご出身。


 部屋に戻って,妻は1時間もかけてマッサージをしてもらう。わたしはすぐ寝入ってしまった。

   豆知識(添乗員N.Oさんの日記より)

○ ウイグル族
 新疆の約半分を占める980万人の人口。「ウイグル」とは”団結””連合”などの意味を持ちます。陽気な性格で歌や踊りが大好き。商売上手とも云われます。
 トルコ系ウイグル語を話します。

○ キルギス族
 人口約20万人。「キルギス」は”40人の少女””40の集落”などの意味があります。イスラム教を信仰し(でもあまり厳格ではないそう・・・)牧畜を主産業としています。
 トルコ系キルギス語を話します。


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