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モンゴル撮影旅行

6-1 南ゴビ ~見渡す限り草原・草原・草原・・・・

              (8/31)

 眠いよ~ 早朝4時半の出立

 南ゴビへのフライトはなんと午前6時10分発。起床が3時半,飛行場に着いたのが5時前,売店はおろか,トイレも鍵がかかったままでである。ホテルでつくって貰ったお弁当(サンドイッチ・ミニトマト・ソーセージほか)をほお張っているうちに,チェックインが始まった。セキュリティーチェックが,意外と厳しい,身に着けている小物類はすべて時計・帽子・財布etc それにフィールドジャケットも脱がされる。「靴を脱ぐのか?」と聞いたらいいと言う,だがリュックのポケットに入れたミネラルウォーターボトルはノーチェックだ。厳しい割りに抜けたところもある。

 ここで,ちょっとした事件発生。
N君が,ノートを,どこかに置き忘れてしまった! さあ 大変, 彼は名にし負う”メモ魔”である。旅行前から事前に調べた事項や,旅行中の出来事,撮影データなどなど大切な記録が,失せてしまった。セキュリティーチェック前の控え室まで戻って探したが,見つからない。切歯扼腕するもないものはない,少ししょんぼりして戻ってきた。しかたないね。

 機上の人となるまでに4回もパスポートのチェックがあった,やり過ぎじゃないの?
こんな早朝のフライトにも,拘わらず,座席はほぼいっぱい。中にご夫婦と娘さんらしき日本人グループが一組,本日の宿泊キャンプでも顔を合せる。現地ガイドも付けずに,「凄い人たちだなあ」と思っていたら,娘さんがモンゴルの地方の都市(名前は聞き逃した)で,学校の先生をしているとのこと。道理でガイド無しでも歩き回れるんだ!

 
 さて,南ゴビまでのフライトの航空会社は「エヤーモンゴル」,機材は,ソ連製”アントノフ3AA”(58人乗り)こちらは,前回の”アントノフAH26-100”と違って座席もゆったりで,居眠りしているうちに,7時20分,砂塵を巻き上げて「UMUNU(南)GOBI」空港着。この空港は,草原の真っ只中,”JUURTIN GOBI”というツーリストキャンプの為にシーズン時のみ運営されているらしい。

 小さな空港ターミナルの前には,迎えの車がワンサカたむろしていて,客を乗せて,順次草原の彼方に走り去っていく。
わがチームの車は,フブスグル~ムルンでお世話になったと同じロシア製四輪駆動車”ウヮッツ”(10人乗り)である。ドライバーは,サラーさん,女性っぽい名前だが,れっきとしたおじさんである。モンゴルでは,女の子が欲しいと思っている時に,男子が生まれても女性の名前をつけるんだって 面白い習慣である。 

 大草原へ
 さて,我々も,まずモルツァク砂丘を目指して,草原のわだち道を突っ走る。
モンゴルの運転手は,はるか彼方の周囲の山の形を見て行き先を違えることがないそうだ。

 ゴビという名前はモンゴル語では,”大きな浅い盆地”あるいは”まばらな短い草が生えている土地”を意味するという。草一本も生えない砂漠とは違って,砂地・砂礫地・山・森林・泉・大草原と様々な生態系が広がっていて,放牧も盛んに行われている。 モンゴルには「ゴビ」という名がつく県が4つあるが,ここは一番南のウムヌ(南)ゴビ県である。21県のうち面積最大(16,5000k㎡),人口最小(5万人,1平方キロ辺り0.5人)の県であり,南半分が砂漠,中央・北部が草原状土漠である。家畜は100万頭飼育されているという。

 ここには,面積220万ヘクタールを擁するモンゴル最大の自然保護区としての,「ゴビ・ゴルバンサイカン国立公園」が設定され,620種の高山植物やモンゴルガゼル・野生ロバ・ユキヒョウなど多くの野生動物の生息地となっている。私達が訪れたのは,この国立公園の東端のほんの一部だけである。

 また,南ゴビ県は,近年,有望な地下資源が相次いで見つかり注目を集めているところでもある。 先ず,世界的に不足している鉄鋼用の原料炭(コークス炭)が豊富に埋蔵されていることが分かり,日本・カナダ・ブラジル等の大手企業が大規模な開発を行う機運にある。また,銅・金鉱山も外国資本による大規模な開発が進んでいる。推定埋蔵量は銅量ベースで約1500万トン,過去50 年間で,銅量が1000万トンを超える埋蔵量が見つかったのは世界で5鉱山のみということからも,本鉱区は将来性が大きいと言われている。


 

ウヌムゴビ空港から北へ50km,わが”ウワッツ”は,時速60~70kmで快調に飛ばす。 およそ1時間半でモルツォク砂丘に到着。
草原の中に,小さな砂丘が突然現れたと言う感じで,見渡す限り砂山といった光景ではない。砂丘の手前に,ゲルが3棟,ツーリスト宿泊施設か? 車から降りて,砂丘に登る。
 
 すかさず,くだんのゲルから駱駝に跨った親娘がやってくる。
いつの間にか石英とか瑪瑙・孔雀石・蛋白石などのお土産品を砂の上に並べて店を出すお兄さんも現れる。でも,全然客引き行動を起こさない,商売っ気全然なし! ただ,”買ってくれるのを”,”乗ってくれるのを”待っているだけという,最近では,なかなかお目にかかれない観光ずれしていないまことに素朴な人たちである。おかげで,我々は,ひたすら写真撮影に浸ることが出来たわけではあるが。
 ところが,光の加減が芳しくなく砂山の陰影がさっぱり,風紋もあまり出来ていないので好被写体とはならない。
皆,適当なところで引き揚げるも,一人N君だけが頑張っていた。

 次に向かったのは,バヤンザク渓谷
途中,駱駝の群れと馬に跨ってこれを追う牧夫に出会う。
駱駝は,運搬手段としてだけに飼っているのかと思っていたが,「乳」を絞ったり」,「肉を食用」にしたり,「毛」を刈ったりもするのだという。知らなかった!

 何故かこの駱駝たちは,近づくと円陣を組んで外敵から身を守る態勢をとる。カメラマン泣かせである。
 ツーリストからよほど嫌なことをされた経験があるのかな?
 

 バヤンザク渓谷は,世界で初めて恐竜の卵の化石が発見されたことで有名な所だ。
風化した大きな岩や砂岩質の崖があるだけで,恐竜化石のかけらも見られない。崖上に数軒の土産物店が並ぶのみの一見なんの変哲もないところである。谷底まで降りてみる,暑い!暑い! 気温32.2℃

 だが,大平原の中に突然,高さ30mほどの丘陵が現れその地層中に恐竜化石が埋まっているというのは不思議である。科学者は,大きな砂丘が洪水などによって崩れ,溶岩流のように谷へ流れ込んだために恐竜達が生き埋めになったのだろうと想像している。
 
    風食によって,奇妙な形を呈する砂岩

 オットセイ?紫色の花はなんと言う花だろうか,水気の全く無い砂岩によくも育つものだ!感心する。
 
    恐竜が発掘されたバヤンザク渓谷

 モンゴルの“グランドキャニオン”と宣伝しているがそれほどのことはない。土産物を売る店と,なんの変哲もない30mほどの高さの崖があるだけ。モンゴルで発見される恐竜化石は,中生代白亜紀末期の地層から,小型肉食恐竜が多いとのこと。
 

 美味しかったよ モンゴルすいか!

 昼食後,ハンボグドキャンプへの途路,20ヘクタールほどの畑作農場に遭遇。
60家族ほどの遊牧民が,遊牧のかたわら農業を営んでいるという。
作物は,ねぎ・にんじん・キャベツ・西瓜・かぼちゃ・メロン・ピーマン・ナス・玉ねぎ・きゅうり等12種類ほど。自家用ばかりでなく,町にも出荷していると言う,そんな流通ルートがあるんだろうか?

 湧き水を使って育てているという。乾燥地帯での散水は,水が蒸発した後,塩分残渣が畑に沈積して,継続的に栽培することが困難になるのが常なんだが,ここでは問題ないと話していた。すぐ近くに一年中絶えることのない塩化物を含有しない良質な湧水(モンゴル語でダルンザトと云っていた,ダルン:地下水谷,ザト:OPEN)があり,溜池に導き畑に潅水していた。モンゴル西瓜を買って,その場で頂く。水分バッチリ・甘味あり 美味しかった。
  


「作物を踏まないようにして,どうぞどうぞ中に入ってもいいよ!」と気さくに案内してくれたおかあさん。
肥料は,羊や山羊の糞を使うが大量には用いないという,まさに自然栽培・有機肥料栽培の典型である。
後方に,防風林が見える。  
被圧地下水が湧き出ていて溜池に導き畑地に散水する。

ゴビに咲いていた花二種

ピンク色が「フムール」,にら系で家畜が好んで食べる。
白色が「ターナ」,茎を食用とする。家畜はあまり食べないので,あたり一面に群生していた。
  
 
 バヤンザクキャンプでの昼食

じにんじんサラダ・羊肉煮込みライス(withきゅうり/きくらげ/赤カブ/玉ネギ/ピーマン)・マッシュルームスープ+コーヒーor紅茶


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