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モンゴル撮影旅行

3−1 フブスグル湖へ 〜撮影しながら草原の道を行く〜 (8/28)

 ウランバート発13時50分の飛行機でムルンへさらに車でフブスグル湖へ向かう。
昼食は,ホテルで作ってもらったお弁当を空港の待合室でほお張る。ホーショール(揚げ餃子)・サンドイッチ・トマト・キュウリにコーヒーとミネラルウォーターがついてなかなか美味しかった。

 さて,飛行機は旧ソ連製の『アントノフAH26−100』。9月末で日本の空から姿を消すYS11クラスのターボプロップ機である。久しぶりのプロペラ機にワクワクしながら乗り込む。
客席は38,預けた荷物も客席前方に積み上げられている。手荷物棚は無い,しかもわたしの座った2列目座席は,間隔が物凄く狭くて,手荷物一つを足元にもう一つを抱きかかえたまま身動きがとれない。さらに言わせて貰えば,座席はかなりの年代ものである!パイプフレームに布を張っただけ,後ろの座席の人が膝を突き立てようものなら,モロにわたしの背中を突付くしリクライニング機能など無い。シートベルトは付いていたかどうか記憶にない,シートベルトをつけろとも云わないしサインランプも点かないので多分無しだろう。
 これなら機体はかなり軽いだろう。ちなみに航空運賃は往復164US$,日本感覚では安いが,モンゴルの人々にとっては?

 アントノフAH26−100  預けた荷物は,客席の片隅に山積み

 ただし,離陸と着陸の軽快さは抜群であった。操縦士もかなりのベテランと見た。

 ウランバートル空港を離陸してしばらくは,緑一色の草原と碁盤目に区画された畑が続きやがて樹木で覆われた山地・赤茶けた山地・裸の岩山が点在する丘陵性の草原などが交互に現れる。
500km,1時間20分飛んで,砂利の滑走路に砂煙を上げてムルン空港に着陸。草っ原滑走路は,ネパールポカラ空港いらい20年振りである。

機窓から見えたセレンゲ川の蛇行
手つかずの自然河川はこういう流れである
 
 預け荷物を受け取るのに,結構時間がかかった,飛行機から3人手渡しで降ろし,引き渡し所でまた3人がかりで降ろし,一つひとつ番号札を確認しながら手渡すんだから時間がかかるわけだ。

 さて,フブスグル県の県都ムルンから 160km フブスグル湖畔のトロイグトCampまでは,ロシア製四輪駆動ワゴン「ウヮッツ」(12人乗り)のお世話になる。この車は,乗り心地は悪いが,悪路には極めて強そうである。それに皆が使っているので,故障した時に部品を調達しやすいと利点もあるようだ。
 16時出発 すぐに草原の轍(わだち)道へ。 モンゴル語で道は「ザム」という,ザムのほとんどが草原の中についたデコボコの轍道で,モンゴルでは,舗装された道は首都周辺や県都市街地のみのごく一部にしかない。


草原の中を行く轍道
埃避けのため車間距離を十分にとって走る
 しばらく行くと,砂利道ながらよく整備された2車線となる。ドライバーはこの道を時速80km近くのスピードで飛ばす。座席横に積んだ荷物はあっちへいったりこっちへきたり,人間様は,シートから飛び上がり,天井にしばしば頭をぶつける。
 「モンゴリアンブルー」と呼ばれる蒼く深く澄み切った空の下,たおやかに波打つ丘陵と草原がひろがる,時折,はるか彼方にゲル集落と羊の群れが見える,「心の洗濯をしているようだ ああ〜いいな〜! 」とひとり感激。

 16時50分 左手に小さな湖らしきものが見えてきた。エレフェル湖というそうだ。青空と雲と湖がおりなす風景がなんとも言えない(標高1700m)。
皆,車から飛び出してカメラの放列。右手のさらに小さい塩湖には,白鳥が群れている,車を草原の中に乗り入れ,白鳥が飛び立たないように徒歩で近づく。スズガモと駱駝も休息している,まだ,望遠でも写真を撮るにはチト遠すぎる,さらに近づくうちにまずスズガモが飛び立つ,続いて白鳥も。撮影モードを”スポーツ”にしてチャンスを狙っていたわたしは思わず「やった〜」と叫ぶ。

 

 ダワおばあさんと孫  駱駝の上を飛翔する白鳥

 草原の道をさらに北上。
 18時過ぎ 道からはずれて民家訪問。少数民族ゴエト族のゲルである。
運転手もはじめて訪れるという突撃訪問にも拘らず,素朴ながら親切に迎えてくれる。
ダワおばあさんが,番犬を押さえておいてる間に,ゲル内に入る(ゲルには,無警戒で近づいてはいけないそうだ。彼らが飼っている番犬はけっこう獰猛だという)。
ゲルの中は,意外と広くかつきちんと整理されていて快適である。ヤク乳茶とチーズヨーグルトをご馳走になる。ここの地名はハラガニアム(ハラガニ:植物名,アム:谷)。

 ムルンから90kmほどの郡界をなす小さな峠で休憩。眼下にフブスグル湖から流れ出てやがてロシア領バイカル湖に注ぐエギーン川がゆるやかに蛇行しているのが見える。
道路わきにはオボー(昔,モンゴルの人々は天の神様に生贄の家畜などを捧げていたが,神様が見つけやすいようにと石を積んで山のようにした。それがオボー。オボーにはいくつか種類があり,ここにあるのは,国境のオボー)

ゆったり流れるエギーン川
山すそにゲルがポツリふたつ三つ
 郡境の峠にあったオボー。
旅の安全を祈願するところだが,標識代わりにもなっている。小石を投げ入れ3周して祈願する。急いでいるときは,クラクションを鳴らすだけで通過する横着な運転手もいるそうだ。                


 峠を下ったところに検問所 「ここから先は,Lake Hovsgol National Park」 PROTECTED AREAS SERVICE FEE として3,000TG(一人)を徴収される(モンゴル市民は300TG)。

 エギーン川沿いの道をしばらく進むと,有刺鉄線の柵に囲まれた「ハトガル空港」の滑走路が見える。数日前まで,我々が乗ってきた飛行機は,ムルンに寄ってここまで飛んでくれていたのだが,お客が少なくなった事と降雨により滑走路が滑りやすくなっているので,今は,ムルンから引き返してしまう。事前の計画ではここまで飛んで残り1時間半ほどを車で行くことにしていたんだが・・・・・・

 さて,その残りの道の前半が物凄い道! いや道ではない!河原のなかの轍跡をたどる超悪路である。

草河原の中の轍(わだち)道

夜間は轍跡が見えなくなって,地元ベテランドライバーと言えども通過できないという。今年7月の洪水で,本来は河岸段丘上に造られていた道が,すべて段丘ごと流されてしまったものと推測される,40分ほどで河原から這い上がり,松林の間を行くやっとまともな道に出て徐々に高度を上げ,標高2000mの峠を越える。
いよいよフブスグル湖が近づいてきたようだ。

 上記の洪水に遭遇した際の記事が掲載されているウェブサイトを見つけた。洪水の時の様子が,写真とともに生々しく描かれている貴重な記録。
 「モンゴル,ウランバートルおでかけ日和」 →「ウランバートルお楽しみ散策」→「フブスグルで洪水のためトラブル多発」
 

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