2−2 建国800年記念騎馬隊ショー(8/27)
騎馬隊ショー開催地は,ウランバートから南へ約60km 車で50分の中央県セレグレン郡トゥグリグ村である。
あちこちにある
「大モンゴル帝国800周年」
のポスター |
ウランバートルから少し車を走らせただけで,あっという間に草原の道になる。 澄み渡った空の下,眩しいばかりの光に溢れるどこまでも続く草原,放牧された羊・牛・馬の群れ,心がゆったり時間の流れがゆるやかになり眠りたくなるような幸せを感じる。
しかしながら,わが撮影部隊は,ゆったりした感興に浸っては居られない,放牧された羊や牛馬の群れを見つける度に車をストップさせて各自,盛んにシャッターを切る。
15時40分 会場着
800周年記念事業の一環として「チンギス・ハーン800年目の帰還 〜ユーラシアの祝祭〜」のイベントとしてモンゴル国軍兵士による500騎の騎馬隊ショーである(7月9日〜8月31日,計31回行われた)。入場料65US$は,チト高いなあ〜 地元の人は見ることが出来ないだろう。観客は日本人・韓国人・欧米人で占められている。このイベントは日本側の提案で企画され,多くの日本の企業も協力しているという。
草原のどこからともなく雲霞の如く,はてはまた観客席(総数3,000)の前後左右からも忽然と騎馬軍団が現れ馬術、武術を駆使した戦闘場面を再現してくれる。
遠くから馬が走ってくる,土埃を上げ,馬の大群が草原(実は草がなくなってしまっていて草原と言うより土漠である)からこちらに向かってくる,凄い迫力である。
弓隊・槍隊・剣隊などそれぞれの騎馬戦,走っている馬の上から地上に置いた長い棒を拾う競争や弓矢で的を射る競争などをしたり。 さすが軍隊!皆,巧みに馬を操っていた。
我々はショーを楽しんでばかり居られない,観客席最前列に陣取ってベストショットをものにせんと各々カメラを構える。
ところが,ここで大きな誤算が発生!
凄い土煙が観客席を襲う! カメラが土埃に席捲される
銀塩カメラ派は,フィルム入れ替えのたびに砂埃がカメラ内に,デジタル派さえこの細粉塵のカメラ内への侵入を防ぐことが出来ない。わたしは途中でギブアップ,ショー終了前に引き揚げた。さて他の4人は如何なる作品をものにしたか期待したい。N君は,観客席ステージを下りて地面レベルで,髪の毛を土埃りで茶色にしながらも頑張っていた。アマチュアと言えどもこのくらいの根性がないと好い写真は撮れないのかと驚くわたしであった。
この粉塵騒ぎが,以降のわたしの写真の出来具合に致命的なダメージを与えてしまったことに後日,気が付くこととなるのだが,その時は,「まあ〜 騎馬隊の写真はなんとか撮れた! 」と会場を後にした。
帰途,市内に入ったところで,右手の丘の山肌に,チンギス・ハーンの肖像画が描かれているのが見える。かつて,オホーツク海からアドリア海にいたるユーラシア大陸の大部分を支配下におさめるという史上最大の国家を形成した輝ける時代を開いた英雄チンギスハーンを讃えているのだという。(石を並べたとか,石膏で描いたとか諸説あり)
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山肌に描かれたチンギス・ハーンの肖像画 |
わたしのカメラには1GBのCFカードを装着している。画質モードを「FINE」,画像サイズを「L」に設定すると,300枚ほど(フィルム8本分)の画像を撮れる。今日撮った分を,EPSON製のPhoto
Fineに取り込んで,写り具合をチェックしたところ,とりあえずはまあまあの状態。騎馬隊ショーの土埃りのカメラ内への侵入は軽微であった。点々とゴミがついている程度なるも気になるので,パソコンキーボード清掃に使っている刷毛付きブロアーと手持ちのめがね拭きペーパーでレンズとミラーをクリーニングした。
後日分かったことだが,このクリーニングが,ありあわせの器具で不完全に行われたため,まず翌日からの画像に”ひも状”のゴミ跡や黒い汚点が移しこまれ,さらにこれを除去すべく繰り返したクリーニング作業によって画面右上から中央にかけて走る”瑕”状の線(帰国してメーカーのサービスセンターに持ち込んだ結果,実はイメージセンサーにへばりついた刷毛の一本が原因であった)やさらに多くなったシミ状の黒点発生を惹起せしめてしまった。以降のわたしの写真は,すべてゴミだらけとなってしまった。
でも,こんな時にも,デジカメには助けてくれる便利なツールがある。
パソコン上でゴミを消しさることが出来るのである,邪魔な電線なんか後で消せるからと言って気にしない猛者もいるくらいである。
わたしの写真も,いくらかは救うことができそうである。
フィルム交換の手間が省けること,現像を待つことなく写した直後に画像の具合を確かめられること,明るさや色調の補正,ゴミ類の消去ができる事 以上三点はフィルムカメラに優るデジカメの利点であると思う。わたしが永年愛用した銀塩カメラをお蔵入りさせた理由でもある。
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