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モンゴル紀行2旅行記(4

 
 
オルホン滝~ホルジト~フスタイ国立公園(馬の祖先タヒ見学)~ウランバートルに戻る

(9/02)

 今朝は曇天。
 昨夜,E君が夕食のテーブルにカメラを置き忘れたという。メイドに問い合わせるも無かったという。
夕食の前に私も含めて夕陽を撮った後に食堂に向かったので,食堂に置き忘れたことは間違いない筈なのだが・・・・ 結局戻らず。E君は今まで撮った写真を失うと共に,以降はコンパチカメラでの撮影行を余儀なくされることとなった。

 8:30 キャンプ発。

 横綱旭昇龍が経営しかつ先年,治療に専念するといって引きこもったという「ドリームランド」を訪れる。
オルホン川を背にする瀟洒なロッジ風とゲル群である。トイレはウォッシュレット,床,階段はカーペットで敷き詰められ,さすが日本の皇太子が宿泊したことだけのことはある。

 09:30 別名「赤滝」とも言われる「オルホン滝」を目指して,時としては岩嶺峨峨たる山あいを,あるいは広大な草原の中を流れるオルホン川沿いのガタガタ道を行く。

 11:30 ハラホリンからおよそ40km ヤクの放牧場に寄る。
ヤク乳を絞る作業の真っ最中であった。ここでも同じく赤ちゃんヤクを母親ヤクに添わせながら搾乳をしている。
ヤクのバターを欲しいと云うと,夏休みが終わった子供達を学校へ送り出す準備で忙しくてヤクバターはまだ作っていないという。

 ドライバーがちょっと寄り道になるが,有名な寺院があるので行って見ないかと提案する。
私の持参したガイドブック「地球の歩き方 モンゴル’07~’08」にある「トッフン僧院である。
その話をすると,このコースを企画したNが言うに彼が参考にした「地球の歩き方」には,その僧院が記載されていないという。なるほど,それで分かった。ハラリホンの近在のオルホン川流域には近年,世界遺産に登録されたウイグル族や突厥,契丹の遼時代の遺跡群が沢山あるのに全く訪れようとしない理由が。古い「地球の歩き方」にはこれらの遺跡群が全く記載されていないのである。半年も計画に費やしたというN君にしてはぬかりがあったといわざるを得ない。
 
 それはそれとして,更に横揺れ&縦揺れの激しくなった車を走らせること30分ほどで,悪路でもうこれ以上車を進められない地点(標高1850m)に到着。オルホン滝への本道からの分岐から23kmである。少し歩き出したところで,上から降りてきた人たちと出会う。トッフン僧院までは片道1時間半もかかるという。本格的なハイキングである,時間的余裕も無いので断念。ここは草原から森林地帯への境界辺り,わたしは,山道の脇に咲く可憐な花に向かってせっせとシャッターを切る。
 「地球の歩き方」に書いてあるトッフン僧院の説明文を転記すると以下の通りである。

 中央山地東部の海抜2000mを越えるトッフンシレット山頂の巨岩の下に建つ木造の仏教僧院。1648年,11歳のザナバザル1世が行幸したという由緒ある寺である。1651年に石造の建築が造られた。1688年の内戦時に破壊されかけ,僧が離散したが,1733年に仏寺として復活し,トッフン僧院と名付けられ,全盛期には14の寺院群が建てられていた。社会主義時代に弾圧され多くの寺院が破壊された。1992年に主要建築が再建された。敬虔な仏教徒が多数参拝に訪れている。僧院裏の岩山に溶岩流の流れた洞窟が2箇所あり,聖地とされている。ここに至るには険しい崖をよじ登る・・・・・
 13:20 本道に戻り,ハラリホンから110km地点の見晴らしのよい草原でお弁当をひろげる。

 ドライバー氏,道を間違えて数キロ行き過ぎ通りかかったバイクに乗った地元民に尋ねて引き返す。

 15:00 ハラリホンから140km オルホン滝に到着。
 
 オルホン川が溶岩台地を侵食して出来た滝で,水は澄んではいるが鉱物質が多いのか川底が赤茶けているので「赤滝」とも呼ばれる。落差24m,幅10mほどで,私ら日本人にとってはそこらに幾らでもある変哲の無い滝ではあるが,モンゴルでは最大の滝で有名観光地として多くの人々が訪れるという。

 16:40 オルホン滝を出発して今夜の目的地ホルジトを目指す。

 帰路は,往路と分かれオルホン川の右岸の道を下る。

 17:30 バトルテチー村通過

 19:00 ホジルト

 宿泊するキャンプの場所を探すのに手間取る,小さな水路にタイヤが危うく嵌りそうになったり,その際のショックでスペアータイヤの留め具が緩んで車体が異常音を発し,すわっ故障かと心配したりの騒動の後
19:30 ホルジトキャンプ着

 ホジルトには,温泉を利用した保養所がある。ここで温泉に入れると期待したのだが,このもくろみは露と消えてしまった。キャンプの直ぐ近くに温泉療養施設があるのだが,事前に予約しておかないと利用できない。旭昇龍も利用したという温泉も予約が必要で今晩の利用はかなわない。仕方ない!時間をやりくりして明朝8時の予約を入れてもらった。
 ということで,今晩はキャンプのシャワーで我慢することに。「トイレとシャワーはあちらの建物です」と言われてタオル片手に飛び込んだが,なんとお湯は全く出ないし,水もチョロチョロ。湿したタオルで顔と身体をさっと拭いて風邪をひかないうちに引き揚げた。

 ここも宿泊客は我われだけ!なんとなく侘しい夕食を済ませる。
 当地は標高1700mほど,朝晩は冷える。薪ストーブをガンガン焚いて10時過ぎ就寝。
 
(9/03)

 起床6時 小雨模様 気温11.8℃

 8時 待望の温泉に入りに行く。入浴料 5$
 たっぷり湯船に浸たれると思いきや,なんとシャワーを浴びた後はジェットバスである。膝くらいの深さまでお湯が貯まると背部から腰にジェット噴流が注がれるという手合いの温泉である。がっかりがっかり!
おまけに私のバスはお湯がちょろちょろしか出なくてなかなか貯まらない。「お湯が出ないよ~」と何度も叫ぶとおばさんが最初はバケツでニ杯,次に我家でごみ出し用に使っているのと同じような大型ポリタンクで,ざぶっと入れてようやくジェット噴流が出だした。10分も経たないうちに,次の客が待っているとかで,さっさとスイッチを切ったり蛇口の栓を締めてしまう。私は,お湯の出が悪かった分だけ使用した時間が他の二人より短かったのになんと云うことか!!髭を剃ってシャンプーしてさっぱりしようと思っていたのだが・・・・・。 憤懣やるかたない。

 地元に人たちが,こんなジェットバスに入るわけが無い,帰りに玄関脇に掲示されていた案内図を見たら浴槽室とおぼしき部屋が描かれていた。外国人相手のインチキ商法と見た。

帰国したらブログやmy homepage 「ホルジト温泉には絶対行くな!!」と書いてやるからなと捨て台詞を残した引き揚げる。


 09:10 ホジルトキャンプを出発。

 今日は,ウランバートルに戻るだけの予定であったが,予想していた悪路が舗装改修されていたり思いもかけなかった新設道路が開通していたりして時間的余裕が出来たので,明日出直す心算でいたホスタイ国立公園に寄ることにする。

 ホジルトを出て18kmほどで,舗装道路となり以後,快調に飛ばす。
 ホジルトから100km付でこのコースでの2回目の遊牧民ゲル訪問。

 13:15 ホジルトから245km トーラ川を見下ろす高台の草原で昼食。
近くの遊牧民ゲルから犬がやってきて食べ物を欲しがって纏わり付くので,已む無く車の中で食す。メニューは,ピロシキ(揚げパンの中にライスが入っている)だけの簡単ランチである。

 13:55 トーラ川を渡る。ホジルトから240km。

 14:00 ルン通過。ホジルトから250km,ウランバートルまで130km。

 ルンの少し先で右折して国道から分かれ草原のガタガタ道に入る。フスタイ国立公園までおよそ70kmとのこと。
 まもなくウランバートルからフスタイ国立公園方向に延びる新設工事中の道路に沿って南下する。
 工事中の道路両サイドには合わせて20車線ほどの轍跡道路が出来ていて,どこを走ろうと自由自在である。右手前方に真っ黒い雨雲が発生しているのが見える。案の定,途中で鉄砲水が流れ下る凹地を横切る。四駆なので全然問題無しであるが,普通乗用車は通過に難儀している様子を眼にする(これ以上降雨が続いたら大変と帰途のことを心配したが,豈図らんや帰りは,すっかり乾燥して先刻の濁流の位置さへ分からなかった)。

 15:10 ルンから50km地点で右折して,幅の狭い草原道路に入る。25kmほど走って

 15:40 フスタイ国立公園入り口着。入場料5$。

 フスタイ国立公園には馬の祖先「タヒ」が野生に近い形で養育されている。
タヒは朝晩の6時頃に水飲み場に出てくることが多く,その時間に行くと姿を見られる可能性が高いという。まだ時間が早いので,インフォメーションセンターで,説明を受け,ビデオを見てレストランで無料のコーヒーやお茶を頂きながら過ごす。

 タヒ(Takhi)とはモンゴル原産の野生馬で,和名は「モウコノウマ」。
1878年,ポーランド人のPREZEWALSKIによって発見されたが,野生種としては一度絶滅してしまった。オランダの動物園で飼育されていた種が1990年代に逆輸入され,オランダ人が野生化を試み,ここホスタイで厳重な管理下のもと自然に近い形で保護養育されているという。現在24家族,257頭が生息し,このほかゴビに185頭,西モンゴルのサヴァンに20頭が確認されているという。
 タヒは,頭が大きい,尻尾とたて髪が短い,膝下に横縞がある,首が短くて太い,66種類の染色体を持つ,口が銀色という特徴を持っている。いわゆるモンゴル地域の家畜馬(背が低く体型も小さい)の原種なのかもしれない?

 17:10 少し早いが,ガイド兼監視員の係一名を載せてタヒを探しに出発。

12kmほど公園内に入った水飲み場に,居た居た!
1頭のオス,6頭のメス,4頭の子供合わせて11頭のファミリーである。警戒心が強く我われが近づくと,オスがすぐさま警戒をはじめ水飲み場から移動し始める。N君は委細構わず接近を続ける,どんどん前へ前へと進むので,当方のシャッターを押すチャンスが得づらいということになる。アマカメラマンとしていささかマナーが悪い傾向無きにしも非ずである。
 後刻聞いたのだが,前記のガイドが,「あまり近づく(50mくらい)とオスが攻撃してくる(噛まれる),200m以上の距離を保つこと」と注意していたそうだ。

 それはさておき,今日はハッピーであった。嬉しくなって思わず口笛を吹きながらルンルン気分でウランバートルに戻る。

フスタイ国立公園入り口の案内図
草を食むタヒ ファミリィ
 
18:10 フスタイ国立公園発

 19:25 50kmほどガタガタ未舗装路走って後は,新設の舗装道路に乗り入れウランバートルまでの50kmを快調に走り

 20:30 ホテル着。 本日の走行距離440km。

 5日間,1838kmのモンゴル中央部一周の旅を無事終えることが出来た。運転上手なドライバー君に感謝する。”ありがとう””バイラルラー!”
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