今日は帰国の日,ローマ発の飛行機は夕方なので,
ホテルから歩いて行ける範囲を気ままに散策しようっと!
出かける前に,空港までの足の確認をしとかなけりゃ。
初日にすっぽかされたAirport Shuttle社に電話して「ご指示の14時25分にホテルロビーで待ってるからね! ちゃんと車まわしてね〜」と念を押す。
昨晩,おおかたはパックした荷物をフロントに預け9時半にチェックアウト。
先ずはいつも,前を通過しているばかりでよくは見ていないテルミニ駅前の浴場跡に向かう。
◆ ディオクレティアヌス帝の浴場跡とローマ国立博物館,教会,共和国広場
● ディオクレティアヌス帝の浴場跡(Terme di Diocleziano)
正面がどこなのか,どんな配置,どんな構造なのか検討がつかないほどの広さ(一辺が400mだとか)。
テルミニ駅から200m位の場所一帯にある浴場の遺跡で,ローマ皇帝時代が終わりに近いディオクレティアヌス帝(即位284年)が建てた浴場。
ローマの人ってお風呂好きだね〜
有名な”カラカラ浴場”よりあとで造られた(建設は,296〜306年と言われている)が,同時に入浴できる人数はカラカラ浴場が1,600人に対して3,000人とこちらの方が規模が大きいという。
現在は,教会,修道院,国立美術館などとして使われている。
● ローマ国立博物館(Museo Nazionale Romano)
テルミニ駅側にある公園の前の道を行くと,浴場跡に入る鉄格子の門がある。
内側はきれいに清掃された庭園風になっていて古代ローマ時代の柱とか彫像とかお棺らしきものが無造作にごろんごろんと転がっている。
浴場跡から発掘された古美術品,ギリシア・ローマ時代の彫刻やモザイクなど貴重なコレクションが展示されている。
中には”ミケランジェロの回廊”という場所があって沢山の彫像が並んでいた。 入館料 5 €
● サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会(Santa Maria Degli Angeli)
教皇ピウス4世から工事監督に任命されたミケランジェロが設計した教会。
その時ミケランジェロはすでに86歳の高齢だったため教会の完成を見ずに亡くなったそうだ。
浴場跡の壁面をそのまま使っているので,ファザードが半円形という変わった正面,教会のマークがなければ浴場跡の一部でとても教会とは見えない。
キリスト教徒を最後にして最大の迫害をしたディオクレティアヌス帝が造らせた大浴場の中心部分がキリスト教会になっているなんてなんという歴史の皮肉! 中には入らなかった。
● 共和国広場(レプブリカ)( Piazza della Repubblica)
王制から共和制になった(1885年)のを記念して造られたことから共和国広場と言われる。1946年にこの名に改められたが,以前はエセドラ(半円形)広場(Piazza Esedra)と呼ばれていて地元の人たちはこの名の方に馴染んでいるそうだ。
広場下には地下鉄A線のリプブリカ駅がある,「三越」もすぐそば。
ディオクレティアヌス帝の浴場内の休憩用広場に浴場と反対側に半円を足して円形にしたもので,そちら側には右の写真のような円形の建物が2棟あり,エセドラ(=半円)と呼ばれている。
中央には「ナイアディの噴水」(Fontana delle Naiadi)がある(1901年に完成)。
ナイアディとは泉にいる”ニンフ”つまり妖精のこと。
この泉は,ロータリーにもなっていて,中央駅や官庁街に近くまた,ローマ旧市街の中心に向かうナツィオナーレ通りもここから延びていてとても交通量の多いところ。車が途切れずにやって来て,噴水の写真を撮るのに一苦労。
|
今日歩き回った一帯の地図 |
さて,共和国広場から北西に向かって「モーゼの噴水」と「三つの教会」を見に行く。
◆ モーゼの噴水,サンタ・マリア・ディッラ・ヴィットリア教会ほか
共和国広場から200mくらい来た所がサン・ベルナルド広場(というか交差点)。
右手の角に「モーゼの噴水」,交差点を渡ったところに「サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会」,左手に「サンタ・スザンナ教会」,その対面の少し引っ込んだ所に「サン・ベルナルド教会」とそれぞれ特徴のある3っの教会がかたまってある。
● モーゼの噴水 (Fontana del Mose)
中央にモーゼ像,両脇に兵士と民衆の姿が刻まれている。
ライオンが4頭,ライオンの口から水がチョロチョロ。
噴水にしては,ちと水量が少なく元気がない。
ローマの三大噴水のひとつだというがあまりパッとしない。モーゼ像も排ガスで汚れたせいか,くすんだ色をしていて迫力なし。
● サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会(Santa Maria della Vittoria)
モーゼの噴水の向こう側交差点を渡った所にあるカルロ・マデル作のバロック式建築の教会。
1603年〜1608年に造られ,ファサードは,1626年ジョバンニ・バチスタ・ソリア(Giovanni
Battista Soria)によって作られたそうだ。
ファザードって,あとから付け足す場合もあるんだ!
この教会は小さいながら気品に溢れている。
階段を上がって中に入ったとたん思わずシャンとなる。
主祭壇が後陣から光が発せられているかのごとく光り輝いている。今までに見てきた大きな教会とか聖堂とちがって”山椒は小粒でも・・・・・”といった感じでキラリと輝いている。
多くの彫刻があるなかで,ここでの
お目当てはなんといってもベルニーニ作の「恍惚の聖テレサ(聖テレサの法悦)」
天から降りてきたキューピットに矢を刺される聖人の情景を描いたもので,うっとりするような恍惚としたテレサの表情がすべすべした大理石で表現され生きている人の肌のようだ。
|
← 聖テレサの法悦
黄金の矢を持った天使に突き刺された聖なるテレサ
テレサ(Teresa1515〜1582)は,スペインの生まれ。霊的・神秘的な体験によって神の愛の投げ槍,天使の火の槍で自分の胸を貫かれると信じた聖女。
写真では目を閉じて口をなかば開いた恍惚感溢れるテレサの表情がよく分からないのが残念。
|
|
|
正面のグロリア |
幼子イエスをいだいたマリア |
● サンタ・スザンナ教会 ( Chiesa di Santa Susanna)
サンタマリア・デラ・ヴィットリア教会と道を挟んで反対側に建っている。
こちらのファザードもカルロ・マデルノ作(1603)で初期バロック様式の作品として有名だ。
屋根型をした玄関の庇,突き出した扉脇の柱,上部横の円形カール状の流れるような優雅な装飾などなどバロック様式の面目躍如。町の風景をほんわかやさしい雰囲気にしてくれる。
内部は単身廊で華麗なバロック様式の装飾がなされている。
教会内部は暗いのに,内陣の上部側面から外光を取り入れ祭壇を印象的に明るく照らしている。
天井が格子状枠になっているのに注目!(下右側写真) 日本のお寺でよく見かける格子天井にそっくりだ!
この教会の歴史は古く,ディオクレティアヌス帝の子との結婚を拒否した為に斬首刑にされたというスザンナの親の居宅を起源としており,330年に三身廊式のバジリカ聖堂が建設され,その後,修復を経て,教王レオ三世(在位795-816)の時に再建されている。
現在はアメリカ合衆国の国民教会だという。また正面右側に付属図書館も備えている。
● サン・ベルナルド教会 (San Bernard)
スザンナ教会と道を挟んで対面に建っている。
教会前は広場(というより殆ど駐車場?)になっていて道路より奥まった位置にある。
丸い円筒形の建物と蜂の巣構造みたいな天井アーチがユニークだ。(パンテオン神殿とよく似ている)
祭壇がこの円筒部から突き出た感じで造られている。
この珍しい形状から,ディオクレティアヌス帝の浴場遺跡の一部を教会に転用したんではという話もあるが??
|