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    奄美大島〜福岡&唐津(2)
                                                      JAN. 2006

◆2006年1月12日(木)

■天候
出発時 午前 午後 夕方
曇り 曇り 曇り 曇り 曇り
名瀬市 金作春自然林 名瀬市 名瀬〜住用村〜瀬戸内町 瀬戸内町 瀬戸内町蘇刈

行程

 ホテル発09:30→<奄美観光ネットワークワゴン車>→10:20金作原生林散策→<ワゴン車>→12:30ホテル→14:00ハブセンター→14:30奄美博物館15:20→住用村マングローブパーク→17:00瀬戸内町蘇刈

 金作原原生林へ

 チェックアウト後も,レンタカーをホテルの車庫に置かせて貰う。
迎えに来た”奄美観光ネットワーク”の車で,名瀬市南部の山地にある金作原(キンサクバル)原生林探検ツアーに向かう。ここ一帯は,アマミノクロウサギなどの稀少動物の棲息地である。
 島の樹木は,以前パルプの原料として伐採され危機に瀕した時期があったと云う,したがって実際は原生林ではなく”金作原自然林”とよぶのが正しいと思う。
 案内してくれるのは奄美観光ネットワークの橋口さん,客はわたし達二人のみである。
 
 名瀬市内から15分ほど走った海辺に小宿という集落があり,ここから山道に入る。
小宿集落は,ほとんどが埋立地で出来ていて現在の海岸線からかなり入ったところに,海岸堤防のコンクリート壁が残っている。昔はマングローブが自生していたが,埋め立てによって生態系が大きく変わったという。また建物もすっかり今風になっていて,海岸線に平行にコンクリート4階建ての集合住宅が建てられていて防風林的な役目を果たしているようで面白い。
 
 谷沿いの林道をグングン登る。
地形の微妙な差によってできる乾燥した場所と湿潤な場所で,植生がはっきり違うことが分かる。谷沿いの日蔭斜面や,山襞の凹部で地下水が滲み出している斜面には,シダ類が繁茂する。
 年間3,000mmに達する降雨と高温に育まれたスダジイイジュの森は,モコモコした形を成しブロッコリーの森と呼ばれている。スダジイが黄色い花をつけ,イジュが白い花をつける5月から6月にかけてはブロッコリーがカリフラワーに変身し森全体が黄金色を呈するという(金作原の語源か?)。
 
 尾根筋(標高300mくらい)に出てしばらく行ったところで車から下りて散策路に入る。
道脇にイノシシが掘り返した穴が何箇所もある,このところ山中でイノシシを見かけることが少なくなったという。一昨年の台風で森が塩水を被り木の実が少なくなったので人里へ降りてしまったようだとのこと。同じく鳥影も少なくなったという。
 案内板に,ここで見られる鳥として”ルリカケス” ”オーストンオオアカゲラ” ”オオトラツグミ(絶滅危惧種)” ”アマミヤマシギ(絶滅危惧種)”が挙げられていたが,今回は姿はおろか鳴き声すら耳にせず。
 林道をゆっくり歩いて,オキナワウラジロガシの巨木を見て引き返す。グァバ茶と黒糖で一休みして帰路に着く。
 
ガイドの橋内さんの話:奄美の森の自然は,猛毒蛇ハブの存在によることが大きい,ハブを恐れて人間が森に入らない→開発の手が入らないからだという。また,ハブ退治のために外来種であるマングースを山に放ったが,これは完全なる失敗であった。いくらハブに強いマングースといえども,餌が豊富な環境では,わざわざ危険を冒してハブと戦うことはしない,逆に奄美の固有主である森の小動物を捕らえて餌とするため奄美本来の生態系を著しく破壊しつつあり,大きな問題となっている。

 
■金作春で見た植物:
 スダジイ,イジュ,アオノクマタケラン,オオムラサキ,ヒカゲヘゴ,オオタニワタリ,ヘラシダ,クワズイモ,エゴノキ,カゴメラン,トクサラン,タマシダ,イイギリ,フカノキ,シラタマカズラ,ビナンカズラ,フウトウカズラ,フクマンギ,サクラツツジ,リュウキュウバライチゴ・・・
ヒカゲヘゴ アオノクマタケラン ビナンカズラ フウトウカズラ
フクマンギ イイギリ クワズイモ オキナワウラジロガシ
オオタニワタリ サクラツツジ タマシダ トクサラン
     
カゴメラン      
 
 ハブとマングースの決闘を見ちゃった!

 ホテルのレストランで 昼食後,奄美観光ハブセンターへ      入館料 750円
 ここでは,マングースとハブの格闘ショーを一日3回やっている。どんなものなの一度は見たいと思っていたので怖さ半分,へっぴり腰で入館。
 ショーは午後2時からで,それまで地下階の室内ハブ飼育場を恐る!おそる!見学する。客はわたし達二人だけでなんとも気味が悪く早々とショーを見せる3階へ移動。

戦闘間近かを感じてか激しく動き出すマングースとハブ。

 幅1m,長さ2m,高さ7,80cmくらいのガラス製箱の中央がこれまたガラス板で仕切られていて双方にハブとマングースが入れられている。
 ほどなく”蛇使い?”が現れて先ずビデオでハブの生態などについて説明(ハブは本島と徳之島・加計呂麻島のみに棲息,沖永良部・与論島にはいない,奄美全島に20万尾,4月が交尾期で一度に8〜15個の卵を産む,5,6月が一番活動が盛ん,ハブ毒は血液中に入ると毒性を発するが舐めても問題ない・・・・・・・)。
 次に別の箱からハブを取り出して,牙から毒液を放出させたりして一講釈の後,蛇に触って見ろと云う。わたしはしり込みするも,妻は触れる,つられてわたしもこわごわちょっとだけ身体を撫ぜる,ハブは,周辺の温度に体温を合わせるそうで冷たくも無く,生暖かくも無くなんか変な感じであった。
 そうこうしている内にいよいよショーの開始。仕切り板をはずした直後,マングースがサッとハブの首筋に噛みついて一瞬で勝負が決した。何度も何度も繰り返し噛みつかれてハブは戦意喪失。しばらくするとハブは死亡するそうで,先は,財布やベルトになるという。
 入り口階には,ハブ酒とかハブの粉末,黒焼きなど「健康食品だよ 買ってって」と云うが気味悪く買う気はしない。                            ハブセンターのHP

 次に 名瀬港の西突堤近くにある名瀬市立奄美博物館に入る。      入館料 300円
 1階には”クバヤ”と呼ばれる木造舟がどっかと天井から吊り下げられている。海に囲まれた奄美を象徴するかのようである。また島尾敏雄という人の展示がやけに大きいスペースを占めている。わたしは寡聞にして知らなかったが,横浜生まれで奄美の女性と結婚し名瀬市に移り住んだ作家だそうだ。

 2階には奄美の歴史,とくに琉球王朝時代,薩摩藩時代,明治時代,米軍統治時代など興味深く閲覧する。昔の生活用具,民具,農業用具,山林・業業用具などしっかり保存展示されている。3階には「奄美の大地と自然」というコーナーがある筈なんだがどういう訳かクローズされていた?
 屋外には高床式の穀物倉庫である高倉が復元展示されている。

農業用具 生活用具

 
 瀬戸内町へ

 名瀬市の観光を終えて,島の南部,瀬戸内町へ向かう。あっつその前に”奄美観光ネットワーク”の事務所に寄って
「生命めぐる島 奄美」と言う書籍を購入,この1冊で奄美の世界が分かるというキャッチフレーズがついた奄美の自然入門書である(南日本新聞社刊 @2,000円)
 
 瀬戸内町は国道58号を南下して,48km。直行すれば1時間ちょっとくらいで行ける距離だ。
この道は33年前,空港からタクシーを利用して何度も通ったことがあるが,当時とスッカリ変わっている。何が変わったかというと,道路が改良整備されたことだ。たくさんのトンネルが掘られ,とくに延長3kmほどのトンネルが幾つも出来ている,昔は,うねうね曲がりくねった峠道を越えて行ったが,今はたった数分で通過できる。余談になるが土木という仕事は,市民の生活を豊かにすることにある(civil engineeringという言葉が如実に示している)。なのに公共工事の無駄使いとか垂れ流しとか云われるのには抵抗を感じる。利権にたむろする政治家と業者に問題があるだけである。
 ところで,この国道58号は,鹿児島県鹿児島市から沖縄県那覇市までを結ぶ陸上部延長248.7kmで,種子島と奄美大島を通過し海上部区間を有する珍しい国道である。
 
 途中,住用村で,国道脇の小さな物産店で,「島ざらめ」と「黒糖」を購入。
さらに
道の駅「住用」で休憩。ここは,黒潮の森マングローブパークも併設されていて,マングローブの観察やカヌー乗りもできるが,季節外れのせいか館内は,ガランとしていて,人影は一桁台。

 不案内の場所では,明るいうちに宿に入るのが鉄則。
天候も怪しくなってきたので,この後は一路瀬戸内町古仁屋を目指す。 この道筋で,まだトンネル化されていない肥後山越えをして大島海峡を望む海岸に出る。
 ここでカーナビが誤作動を起こす。いままで「目的地まで10km」という表示が出ていたのに,ふと気付いたら なんと「目的地まで35km」 なんでや〜 ? 目的地を再セットして事なきを得る。
 
 今夜の宿は瀬戸内町の中心地古仁屋から5kmほど離れた海べりの蘇刈という集落にあるペンション。
蘇刈に到着するも,集落内にペンションらしきものが見当たらない,携帯で連絡するも通話状態不良ですぐ切れてしまう。通りかかった人に尋ねるが「知らない」と言う。
 さあて,困ったぞ〜!案内板くらいつけてくれないかなあ〜 車から降りて民家の庭にいた,おじいさんに聞いたら,一瞬「うん?」と言った感じであったが「あっ この先だよ!」 助かった!
 集落からすこし離れた海岸沿いに,すぐそれと分かる黄色壁の建物が目に入り無事,ペンション「さらい」に到着。
       1泊2食付き(焼酎込み)二人で13,000円

 マリンスポーツ客相手のペンションで宿泊設備はコテージが3棟,風呂場や食堂が離れていて雨など降るとやや不便だが,そんなことが気にならないほど静かでかつ温かいもてなしをしてくれる主人のおかげで,居心地良い宿であった。 
珍味テラダ貝。マガキ貝とも云う,地元では”とびんにゃ”とも呼ばれる。

 夕食は,新鮮な無農薬野菜とここならではの美味なるテラダ貝と沢蟹のスープ・いのしし肉・手づくり豆腐・・・・・, 黒糖焼酎とともに美味しく戴いた。
 そのうち雨が降ってきた,西風も強くなってきたようだ。この季節,大平洋側からの西風は珍しいという。 ペンションの主人はまだ弱冠33歳で,以前は漁業に従事していたとかで,海のことに非常に詳しい。今晩は「夜釣りに連れて行こうと考えていたんだが,この天気では・・・」と語る,キンメ鯛が釣れるそうだ,残念ざんねん!

 TVは,台風でアンテナ&ケーブルがぶっ飛んでしまっていて写りが悪い,というよりほとんど写らない。「ここで,TVなんて見なくていい」って云うお客さんの言葉で,修理しないことにしたそうだ。納得!なっとく!
 9時前だというのに,もう寝るしかない。 
 暇つぶしに携帯電話から,”myブログ”に本日の日記を送信しようっと!
親指キー叩きに慣れていないので時間がかかること!かかること!やっとのことで送信を終えたらもう10時過ぎ。就寝に程よい時刻となる。
 屋根を叩く雨風の音を子守唄にして高枕。

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