大学生の二人の子と妻と母の5人で台北へ旅してきた。
台湾へは何度か仕事で行ったことがある。いつも工業地域の新竹へ行っていたので台北を観光するのは初めて。
目的は、本場のタピオカミルクティーを飲むこと、故宮博物院をじっくり観ること、そして何より家族で旅すること。
日頃、寝起きの時間も違う5人が一日中顔を合わせ、話し、笑い、呑み、そして食う。それだけでこの旅には大きな意味がある。
同じ時を過ごす尊さを感じる。
11月1日は母の84歳の誕生日。この旅行は誕生プレゼントでもあった。
海外へ出るのは5年ぶりか。家族で旅行をするのは、NBAのクリスマス・ゲームを観戦しに行った2011年末のLA旅行以来。
久しぶりの海外旅行なので少し緊張した。
1日目はちょっと贅沢にホテルで某国の首相が食べたというコースを食べた。
鮑が美味しかった。全体に味がほどよく薄味でいくらでも食べられそうだった。
長年の念願が叶って故宮博物院に行った。想像以上に広く、展示品も多かった。
主に陶磁器を見てまわった。東京でも見た「水仙青磁水盤」を再見できたので満足した。
永楽時代の漆のような赤い磁器、紅釉は初めて見た。
青銅、白磁、青磁、紅釉、それぞれが趣きがあるなかで、やはり青磁に魅せられる。
今回の旅行の食事。ハズレが一つもなかった。
タピオカミルクティー、牛肉麺、小籠包、魯肉飯、鶏肉飯、北京ダック。一番下の写真は、故宮博物院のレストランの海鮮湯麺。器が古代の青銅器を模している。
観光でも目一杯、台北を楽しんだ。タピオカミルクティー、故宮博物院、足裏マッサージ。台湾式シャンプー、夜市。
5人で並んで足裏マッサージをしてもらう姿は壮観だった。手元の小型テレビでは、なぜか大泉洋のバラエティ番組を放送していた。
台北の街で感じたこと。最新の洗練された街角と夜市に見られる雑多で古い街が共存していること。東京はどこへ行ってもずっと洗練されている。古い街並みは取り壊されて、次々と大型の再開発が進み、どこもかしこも過剰に洗練された感じさえする。
鷲田清一が日本の街から消えたものに「場末」を挙げていたことを思い出した。
おそらく貧富の差も大きいだろう。裕福な人は子息を欧米の高校や大学に行かせている。米国の市民権を与え、台湾での兵役を免れるために米国で出産する人もいると聞く。
ところで、台湾では高齢者が電車やバスに乗ると、必ず若い人が席を譲ると聞いていた。今回の旅行、4日間に観察した限りそれは当たっていた。
自分への土産。一つは開催されていた企画展「明大永楽帝期の磁器」図録。これでもかというくらい白磁と青花磁の銘品が並んでいる。
もう一つは「汝窯青瓷水仙盤」のレプリカ。家族に「バスタブ」とか「石鹸置き」と嘲笑された。私自身は銘品の複製品を買ったつもりだった。ところが裏を見てみると「石鹸ホルダー」と明記されていた。
本商品のデザインは国立故宮博物院所蔵の「北宋 汝窯青磁無紋水仙盤」をモチーフとしています。
これにはがっかり。もう少し高くてもいい複製品を買うべきだった。
ともあれ、楽しい四日間だった。ホテルは快適だったし食事は一度もハズレがなかった。マッサージや博物館もタイミングよく混んでいないときに入れた。
満足のいく旅だった。