索引について


「はてなダイアリー」をはじめた。ブログの名前は、「烏兎の地図――庭園案内板」。内容は、これまで書いてきた文章の索引。

「はてなダイアリー」は、頻出する言葉から自動的にリンクが生成し、ほかのサイトにつながっていく。参加者がつくるキーワードのページは百科辞典にもなる。

案内板は、「庭」のなかを案内する地図であると同時に、「庭」へ導く道標でもある。「はてなダイアリー」には、ふだん欠かさず読んでいるブログも多い。同じ作品を読み、似たような感想をもちながら、少し違う表現をする人が「庭」を訪れてくれたらと思う。


自覚的に文章を書き、公開するようになって四年近くになる。最初は気にもとめずに使っていた言葉や名前が、次第にある重みをもち、互いに関連づけられ、私のなかで、星座のように意味のある配置をとりはじめている。

その世界は、まだ文章で表現できていない。索引をつくることは、自分の使う語彙の重みや位置を再確認することになる。おそらく、思想を言葉だけで表現することは、綴るという流れるような動作ではなく、組み上げる、構築する、という立体的な作業に近い。すぐれた文章は、小説でもエッセイでも、伽藍と呼びたくなる壮大な構造をもっている。


索引の構成は、ひとまず、人名、地名、事項、語彙の四つ。人名には、架空の人物も実在の人物も混在させる。人名が明示されなくても、その名前を念頭に置いて書かれた文章も参照先にする。索引は、ロボット検索の結果と同じにはならない。

人名をさらに分けるカテゴリーのうち、言葉と文章で表現する人は、小説家も詩人も、学者も学生も、[文学]に統一した。気持ちは、文を楽しむ[文楽]

音で表現する人は皆[音楽]、児童文学と絵本の作家は文章でも絵でも[絵本]、写真とアニメと映画は[映像]。漫画家は、そのまま[漫画]

どこにも入らない人は、三文字の[その他]にした。植村直己ナンシー関J. F. ケネディみうらじゅん。分類からはみ出した人が、実は自分の趣味の核心を突いていたり、思想形成に大きな影響を与えている気がする。


一度しか登場しなくても、索引語にする名前もあるかもしれないし、二度三度登場した名前でも、索引には入れないかもしれない。何を載せ、何を載せないか、取捨選択は、私の判断による。つまり、索引じたいも「庭」という作品の一部分。

事項は、人名、地名以外の固有名詞、語彙は抽象名詞の索引。事項索引は焦点の絞り具合と、相互関連の見せ方が難しい。カテゴリーを複数組み合わせることで例えば国家と戦争、読書と文章の関連がうまく表現できるか。

これまでも芸術、文章、思想、戦争、教養などの概念を事項索引としてまとめたことがある。こちらは概念索引としてそのまま残すことにする。概念索引はその概念の定義に関わる文章を項目ごとに集めている。これからつくる事項索引は、新聞雑誌の名前や作品名など、人名地名以外の固有名詞を索引語にする。


語彙索引は、普通名詞や抽象名詞がそのまま登場する文章を集める予定。索引語じたいから考えることになるので、事項、語彙の索引づくりは、少し先になりそう。

索引は、人名だけでもすぐにはできないので、参照先の多い名前から少しずつ。索引づくりは、頭よりも手を使う。読書が進まないとき、文章が書けないとき、手先を使うと、気分転換にもいい。文章が書けないときは、地図を描くといいというアドバイスも聞いたことがある