わすれないで-第五福竜丸ものがたり、赤坂三好文・絵、金の星社、1989


わすれないで

人に歴史あり、また船に歴史あり。主に小学生向けに書かれたこの本は、被爆事故から遡り、第五福竜丸が敗戦後復員してきた技術者の戦後の仕事始めだったことから物語をはじめる。

漁船として活躍していたこと、被爆したあとには、「忘れさせられるために」夢の島に捨てられていたこと、そして記憶を残すために展示されるようになったこと、そうした船の歴史の全体をたどりなおすことで、その一生のなかでの最大の事件を象徴的に浮かび上がらせている。

ある出来事には、かならずその前とその後がある、そのつながりが歴史なのだというあたり前のことを気づかせる。


碧岡烏兎