木造教会を中心とした
 北欧のロマネスク  
 L'Art Roman en Scandinavie 
 
     
 
    上写真:ウルネス木造教会
   
Urnes (Norway) 
 
 2008年の6月にノルウェーの木造教会を
中心にして、ストックホルムからベルゲンまで
を旅した時の記録である。
 豊かな自然の中に800年以上も建ち続けて
いる木造教会の姿は、美しさを遥かに超越した
気高くてとても神聖な存在感を誇示しているか
のようだった。

 “北欧のロマネスク”とは名ばかりで、スコ
ーネ地方の古都ルンドを中心としたスウェーデ
ン南部やデンマークへは今回は行かれなかった
ので、重要な教会がかなり欠落しているのが些
か心残りではある。
 それらは次回の課題とする事とし、ここでは
ノルウェーでとても印象的だった木造教会を中
心に御紹介したいと思う。

 ヴァイキングとして知られるノルマン人は8
世紀から10世紀の間、地中海のシチリア島に
まで影響を及ぼす程の広範囲な遠征を行った。
単なる侵略略奪だけではなく、その高度な文化
や技術を定着させたのだった。
 伝統的な自身の文化を伝承しながら、西欧の
キリスト教文化を巧みに吸収していった、ノル
マン人の洗練された美意識が感じられる旅だっ
。    
  
 
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 ウルネス木造教会
  Urnes/Stavkirke 
      
    Sogn Og Fjordane (NORWAY)
                 
     
 
 ノルウェー四大フィヨルドの一つであるソグ
ネフィヨルドの、最奥にあるルストラフィヨル
ドに面して建つこの木造教会の美しさを、一体
何に例えれば良いのだろうか。

 教会の建つ小高い丘の上からは、対岸の山や
神秘的な青色のフィヨルドを眺めることが出来
た。 (表紙の写真参照)

 聖堂は三棟の方形が連なった格好で、最初の
身廊に当たる部分は三廊式だが柱によって井桁
に組まれているのである。
 井桁構造の側面に屋根を張り出させている、
と言ったほうが理解しやすいかもしれない。
 四方の柱間は半円のアーケードで、木造なら
ではの穏やかな風合いと切り口の鋭い造形性と
を感じさせてくれる。
 ファサードは回廊式のアーケードになってい
て、入口の左右に四本づつの円柱が立つ。柱頭
の半浮彫彫刻は、ロマンに満ちたモチーフが魅
力的だった。
 さらに素晴らしかったのが、写真のレリーフ
である。
 聖堂北側の外壁に彫られた壁面彫刻で、彫り
込みの深い高度な技術と、研ぎ澄まされたよう
に繊細な表現力を見ることが出来る。北欧の神
話が主題であるという。
 12世紀初頭の建築とされ、現存する木造教
会の中では最古の部類に入る建築である。
  
 
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  ボルグンド木造教会
  Borgund/Stavkirke
     
    Sogn Og Fjordane (NORWAY)  
                         
     
 
 ソグネフィヨルドの奥で枝分かれしたラール
ダルフィヨルドから、さらに渓谷を登ったとこ
ろに建っている。国道沿いで観光センターまで
設備されていたが、静寂に包まれて霊気すら感
じさせる様な場所だった。

 聖堂建築の基本的な構造プランは前述のウル
ネス教会に似ているのだが、ここの特徴は聖堂
の外側に回廊状の通路がぐるりと一周張り巡ら
されていることである。写真は東南からの聖堂
の眺めで、最下段の屋根がこの回廊の屋根とな
っている。
 回廊から聖堂への入口は、正面西側の門と南
側面の小門とがあり、それぞれが繊細な模様の
彫刻で装飾された半円アーチ門である。特に西
門の彫刻は、北欧神話に出てきそうな動物や植
物の蔓が複雑に絡まりあった連続模様である。
  
 オスロのヴァイキング博物館で見た、ヴァイ
キングの船の先端部分に彫られた見事な彫刻を
思い出していた。深みのある精神文化が背景に
無ければ成し得ぬ芸術であり、ノルマンが伝え
た文化の質の高さを思い知ったのだった。
 この教会の屋根の先端に、ヴァイキングの魔
除けのような龍頭が見られた。

 それにしても、北欧の木造教会が示す奇妙な
フォルムからは、12世紀半ばの建造とはいえ
ロマネスクは全く感じられない。しかし、内面
から滲み出てくるような、抽象的な美しさとい
う意味からすれば、誠にロマネスク的である。
 
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  カウパンゲル木造教会
  Kaupanger/Stavkirke
      
    Sogn Og Fjordane (NORWAY)  
                       
   
 
 ラールダル港を出たフェリーは、ソグネフィ
ヨルドを横断して対岸のカウパンゲルに着く。
 車でオスロから来た私達は、ここから更に奥
のソルヴォーンに滞在し、別の渡し船を利用し
て先述のウルネスを訪ねたのだった。
 フェリーの往復に立ち寄ったカウパンゲル港
のすぐ近くに建つこの教会は、通り掛かりとい
うイメージが強かったのだが、意外に訪ねる人
は少なく静かだったし、また写真のような素朴
な聖堂の佇まいがすっかり気に入った。

 外観は民家のように質素な板張りだが、内陣
は他の教会にも共通した井桁柱構造で、内側に
派手な柄を用いた江戸羽織のようなサプライズ
を見ることが出来た。
 周囲に回廊やテラスが無いので、その分張り
出し屋根も少なく、とても簡素に見える。
 井桁三廊式だが、身廊の長さが約15mあっ
て、堂内は見かけより広く感じられる。
 創建は12世紀半ばとされているが、火災等
で何回も再建されたらしい。
 こんな厳寒僻地にまでキリスト教が伝わり、
ロマネスクの時代からこうした木造教会の形が
今日まで伝えられたことに驚嘆する。
 木の温もりの感覚を知る日本人の目には、フ
ォルムの違和感を別にすれば、この木造建築は
とても親しみ易い存在として写る。
 
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 ホッパーシュタッド木造教会
  Hopperstad/Stavkirke 
     
     Sogn Og Fjordane (NORWAY)  
                         
   
 
 ソグネフィヨルドのほぼ中間点にヴィックと
いう町があり、教会はその郊外の小高い所に建
っていた。私達は陸路から訪ねたので、ハルダ
ンゲルフィヨルドとの分水嶺になっている峠を
越えねばならなかった。
 教会の屋根が裳層のように三層に重なったユ
ニークな外観なのだが、折角訪ねたこの日は屋
根全体が修理中で鉄骨や足場に遮られて良く見
えなかった。
 前掲のカウパンゲル教会の下層屋根の下に、
連続した屋根がもう一層重なったイメージ、と
言えば想像が付くかも知れない。

 聖堂の内部には、修復工事の影響は全く無か
った。
 内陣の広さは巾7m奥行10mという小規模
なものなのだが、周囲に回廊が巡らされている
ので、聖堂全体はどっしりとした重量感のある
建築となっている。
 写真は身廊正面で、祭室へと通じる入口であ
る。井桁の「井」の字の中心から、「井」の左
上部を眺めたものと御理解いただきたい。規模
の違いや、建物周囲の付帯建築の有無の差はあ
るのだが、ノルウェーの木造教会の構造は概ね
この様式になっている。
 トリビューンの様な上部アーケードが美しい
上に、半円アーチの下のX状意匠は装飾として
も豪快であり、また力学的な補強材にもなって
いる。
 ここでもファサードの門の周囲に、植物の蔓
や葉や動物が絡み合ったようなレリーフが彫り
込まれていた。
 
 
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 ローメン木造教会
  Lomen/Stavkirke 
      
     Oppland (NORWAY)
                        
  
 
 オスロからE16号線を北西に向かい、ベグ
ナ川に沿って車を走らせる。展開する森や湖や
山の景色が、澄んだ水や空気に映えて鮮烈に見
える。
 この教会は牧草地の斜面の中腹辺りに建って
おり、ここからはベグナ谷の流れや対岸の山々
を眺望出来た。
 車を停めた場所からのアプローチは、木立に
囲まれた細い小径で、やがて低い石垣に囲まれ
た牧草地へと出てくる。教会はすぐそこに、写
真のような質素な佇まいを見せながら建ってい
た。  

 ガイドブックには、写真にも見える聖堂の入
口の小さな門の周囲に彫られた装飾彫刻が見も
のと記されているのだが、それほど感激的なも
のではなかった。
 それ以上にがっかりしたのは、柱が四本立っ
ているだけという簡素な構造ながら、トリビュ
ーンのような階上回廊が造られた内陣を見たか
ったのだが、この日は何故か扉が固く閉ざされ
たままだった事だった。

 ゾディアック叢書の写真によれば、門周辺の
屋根の形などが明らかに変わっているので、何
らかの理由で近年に修復されたのではないか、
と思われる。
 しかし、従来からの素朴な木造教会の魅力は
失われてはおらず、12世紀後半の創建という
風格ある年輪の堆積を十分感じさせてくれる建
築である。
  
 
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 ホーレ木造教会
  Høre/Stavkirke 
     
     Oppland (NORWAY)   
                             
  
 
 前述のローメン教会の周辺には、同様の門彫
刻のあるウルムという教会があるとのことで、
細い山道を探索したのだが結果的に見つからな
かった。
 その途中で見つけた別の木造教会がこの教会
で、地図にも載っておらず、現地の案内板には
ホーレと記されていた。

 聖堂のフォルムは伝統的な形なのだが、建築
は比較的新しい木造教会であった。扉が閉まっ
ていたので側面の窓から内部を覗き込んだ。窓
や内装がかなり近代的なので、やはり近年に建
て直されたもののようだった。

 がっかりした私達を救ってくれたのが写真の
彫刻で、薄い片石を屋根に敷いた中門の壁面で
ある。案内板の解説は現地語だけだったので些
か怪しいのだが、この中門のレリーフは中世の
作品である、と記されていたようだった。
 周辺の緻密な模様はかなり磨耗してしまって
いるが、植物模様や動物が絡み合ったモチーフ
は、今まで見てきたロマネスク教会の彫刻と同
じ伝統的なものだ。
 ウルムのレリーフは、これよりかなり完成度
の高いものであったらしい。
 
 

      
     
 ベルゲン聖マリア教会
  Bergen/Mariakirken 
     
    Hordaland (NORWAY)
                                  
   
 
 この旅で訪ねたノルウェー唯一の石造ロマネ
スク教会で、ベルゲン旧市街の最北に位置して
いる。創建は12世紀、ベルゲン最古の教会で
ある。

 正面からの眺めが印象的で、ファサードの両
端に二本の鐘塔がそびえる構造はドイツの西構
えの様式だ。
 確かにここは、スウェーデン南部ルンドの影
響が強いようだし、ハンザ同盟の関係で北ドイ
ツ・リューベック
Lübeck との関連が深かっ
たらしい。

 身廊は三廊式で、写真のような太い角柱と半
円アーチのアーケードによって、側廊が仕切ら
れている。
 天井は半円形の横断アーチと、交差穹窿によ
って構成されている。
 剛直な石の塊りみたいな聖堂こそロマネスク
の本意だと心得ていたのだが、繊細な木造教会
ばかり見てきた目には何とも無骨に写り、こち
らの方が同じロマネスクの時代の建築とはとて
も思えなくなってしまっているのが何とも不思
議だった。
 現在参観者は西側の塔の下の門から入場する
が、従来からの古い門は聖堂の南側にある。現
在は閉じられているが、半円アーチの美しい門
で、何重ものヴシュールと輪郭の縁石や柱頭で
飾られている。
 フランスなどの影響の強いルンド大聖堂から
の様式の伝播を感じさせる南門である。
 
 
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 ベルゲンベルゲン博物館
  Bergen/Bergen Museum 
     
    Hordaland (NORWAY)  
                          
  
 
 市街の山手地区にあるこの博物館は、自然
史館と
De Kulturhistoriske Samlinger
化歴史館とに分かれている。自然史館の方を
見学する余裕が無かったのだが、文化歴史館
に展示されたロマネスク時代の彫像や壁画は
予想以上に充実した内容であった。
   
 写真は、その中で特に印象深かった聖母マ
リア像で、かつては前述のウルネス教会にあ
った像だそうだ。
 12世紀後半か13世紀初頭の作品とのこ
とで、ロマネスク的な大らかな表現の中にも
ゴシック的な写実性の芽生えが見て取れる。
 ヴァイキングの船や木造教会のレリーフな
どに見られた、高度な木彫技術がここでも発
揮されている魅力的な像だった。
 聖母の坐像で、膝に幼児キリスト像があっ
たものと思われる。膝下まで延びている編ん
だお下げ髪が、とても珍しくチャーミングで
ある。

 この像以外にも、同じウルネスの聖人頭部
像、ヴェルネス(
Vernes) の幼子キリスト
像、ギスケ
(
Giske) の嘆きの聖母像、また
各地の教会の門のレリーフなどが展示されて
いて飽きなかった。
 
 
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  ヘッダル木造教会
  Heddal/Stavkirke
     
    Telemark (NORWAY)
                            
  
 
 オスロに滞在していた私達はある日の午後、
この木造教会を訪ねるために国道134号線を
西へ120キロ突っ走った。オスロで降ってい
た驟雨はヘッダルに着く頃には上り、雲間から
薄日が差し込むほどに回復した。

 何とも複雑怪奇な聖堂、というのが第一印象
だった。
 しかし、詳細に観察してみると、教会の基本
的な構造はこれまで見てきたノルウェーの教会
と同じであることに気が付く。
 つまり、中心の身廊と側廊、周囲の回廊、そ
してそこからさらに突き出した玄関間、のそれ
ぞれに屋根が掛けられているので、屋根が三重
四重に見えて複雑な構造であるかのように見え
てしまうのだった。
 写真は後陣斜め後ろからの眺めで、一番左に
南門が突き出している。一層目が、聖堂の周囲
をぐるりと回れるように構築された回廊部分で
ある。
 地面からニョキニョキと延びたキノコのお化
けの様でもあり、堅固な要塞の様にも見える。
 回廊に施されたアーケードや、三方の門の周
囲に彫られた植物の連続模様はとても繊細だっ
た。
 木を組むことによって造り出された温かみの
感じられる空間が心地良い内陣は、プリミティ
ヴな井桁構造で、太い円柱の森のような特異な
雰囲気を創り出していた。
 12世紀半ばに迎えた、木造教会の造形的頂
点に位置する建築だろう。
  
 
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  旧ゴール(オスロ・ノルウェー
   民俗博物館)
木造教会
  Gol (Oslo)/Stavkirke
      
    Duskerud (NORWAY)
                             
  
 
 オスロ市外からは湾を隔てた西側に当たるビ
ィグドイ地区には、ヴァイキング船博物館やこ
の民俗博物館等、海洋や船をテーマとした博物
館が立ち並んでいる。

 この民俗博物館には、ノルウェー各地から集
められた農家や民家が多数展示されていて興味
深い。この博物館の目玉の一つになっているの
が、この木造教会だった。

 19世紀にノルウェー中部の町ゴールから移
されたのだという。建築の平面構造は前述のヘ
ッダルとほとんど変わらないが、屋根の構造は
こちらの方がやや簡素である。ヘッダルのよう
な最上部の円塔が無いことと、玄関間のスペー
スがかなり狭いこと、などが相違点だろう。
 建築年代は12世紀の最後の頃とされ、それ
だけに洗練された技術と円熟した造形性がほぼ
頂点に達した後の、名残の傑作と言えるかも知
れない。
 祭室の壁面に「最後の晩餐」を描いた壁画が
見られて興味深かったのだが、時代は下がるか
もしれない。
 見逃してならないのは、やはり、正面入口の
門のレリーフだろう。鳥や動物が植物と絡み合
った馴染のモチーフで、ここではやや定型化し
た図案のように彫られている。時代と共に創造
性が失われていくのは、どの分野でも致し方の
ないところなのだろう。
 
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 スカラ大聖堂
  Skara/Storkyrkan 
     
    Västra Götalands Län (SWEDEN)
                         
   
 
 スウェーデン中部、ヴェーネルン湖の南側に
位置するこの町は観光的にはあまり知られてい
ないが、大聖堂のある古い町である。この町の
近くに、古代巨石文化遺跡であるストーン・サ
ークルとドルメンがあるので、ここは当初から
旅の目的地になっていた。

 町の中心に建つ大聖堂は、正面に二本の塔を
持つドイツ伝統の西構造なのだが、建築全体は
完全にゴシック様式に建て替えられていた。
 内部は、側廊部分に半円横断アーチ構造が残
ってはいるものの、束ね柱と尖頭アーチ、リブ
ヴォールトの高い天井等、すっかりロマネスク
のイメージは消えてしまっていた。

 しかし目的は写真の浮彫彫刻にあったので、
私達は身廊南側の壁に嵌め込まれた一連のレリ
ーフを探したのだった。
 このロマネスク時代の遺品とも言えるレリー
フは、三面に分かれており、隣り合わせて壁面
を飾っていた。
 写真の彫刻は「楽園追放」だとすぐ解るが、
右側は炎の剣を振るう天使ケルビムだろう。こ
んなユニークなアダムとイヴは見た事が無い。
 ほかに、「ヘロデの鶏」と題した彫刻があっ
たが、鶏鳴を聞く前に主を否定したペテロの逸
話とは全く関係なさそうで詳細は最後まで判ら
なかった。
 どちらも、いかにもロマネスクらしく、近代
彫刻にも通じるような観念的で抽象的な表現が
成されている。
 
 
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 ヴィィスビー (ゴットランド島)
     
聖ラルス教会廃墟
  Visby (Gotland)/S:t Lars Ruin
     
    Östergötlands Län (SWEDEN)
                         
 
 
 バルト海に浮かぶ大きな島で、中心の町ヴィ
スビーはヴァイキング時代からの要衝の地であ
り、中世にはハンザ同盟の主要な都市でもあっ
た。
 往時の風情が残る旧市街には、10世紀から
13世紀に創建された教会が数多く残されてい
た。ヴィスビー最古といわれる聖カタリーナ教
S
:ta Katarina Ruin など、私達が訪ねただ
けでも8箇所もあった。
 しかし全てがゴシックやバロック様式に改造
されており、大半が壁と柱だけの廃墟と化して
しまっている。
 そんな中で、ロマネスク建築の面影を最も良
く伝えているのが、町の大広場から近いこの廃
墟だった。
 写真は翼廊交差部から見た祭室で、天井のド
ーム部は崩落している。鐘塔を兼ねた正面ファ
サードや入口のアーチ門、半円形に突き出した
後陣など、修復の跡はあるものの、様式がその
まま残されているのが救いだった。
 文明的に進んだ場所ほど新しい様式の流入が
激しく、貪欲にそれを摂取していくだろう。そ
の意味でヴィスビーの町は、当時の文化交流の
最先端に位置していたのである。
 
 
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