ルシオン・ラングドック地方のロマネスク
Roussillon et Languedoc Romans
| 地中海に面し、ピレネー山脈を挟んでスペイン・カタロニア地 方と接するルシオン地方には、初期ロマネスクの聖堂も多い。 ラングドック地方は、地中海に面しているが、内陸部はピレネ ーや中央高地の延長でもあり、かなり深い山岳地帯でもある。 ロマネスク聖堂として著名な寺院は少ないが、特異なスタイル の教会が多く、ロマネスク巡礼者にとっては絶対に見逃すことの 出来ない地方である。 |
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県名と県庁所在地 1 Pyrénées-Orientales (Perpignan) 2 Aude (Carcassonne) 3 Hérault (Montpellier) 4 Gard (Nimes) |
ラグラース 聖マリー修道院と美しい町 Lagrasse(Aude) |
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| カニグー/聖マルタン修道院 Canigou/ Abbaye St-Martin-du-Canigou |
1 Pyrénées-Orientales |
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標高2784mのカニグー山は、ピレネー山脈 に連なる山塊であり、峰には万年雪が見られる。 修道院はこの山の西斜面、標高1100mの断 崖のような場所に、岩にしがみつくようにして建 てられている。 私たちが親友M夫妻とここを訪れたのは16年 も前の1987年の正月休みであった。まだ若か ったので歩くことにし、麓の車止めの有るカステ イル (Casteil) から、かなりの距離の急坂を一気 に登った記憶がある。もっとも最近は、有料の送 迎ジープが走っているらしい。 私達はさらに上の、修道院の建物全体を眺望出 来る丘へ登った。垂直の断崖上に建てられた、得 異な光景がとても印象に残っている。写真はその 時のものである。 半円アーチや柱頭の重厚さに比して、繊細な柱 がこれを支えている身廊は、プリミティブな面影 を伝える11世紀初頭の建築である。 写真の中央は回廊で、片側が断崖に向けて開け ており、個性的な彫刻が施された柱頭を持つアー チ列柱の向こうに、峻険な絶壁が見えるという世 にも稀なる修道院なのである。 |
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| プラド/聖ミシェル・ド・キュクザ修道院 Prades/Abbaye St-Michel-de-Cuxa |
1 Pyrénées-Orientales |
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カニグー山塊の北に位置する、プラー ドの町の南郊外に建っている10世紀の 修道院である。写真はカニグー山を背景 にした北からの全景で、鐘塔の姿が荘重 である。 プレロマネスクの時代からの歴史を持 っているが、それは翼廊の仕切など随所 に見られる馬蹄形アーチからも推測でき る。おそらくメソポタミアやシリアとい った、オリエントの影響を受けたモサラ ベ文化の名残だろうと思う。 石を積んだだけの何の装飾も無い、馬 蹄アーチのみで繋がれた空間が形成する 聖堂は、キリスト教とアラブ文化とが融 合したイベリア半島ならではの遺物と言 える。 見事に修復された美しい回廊が有るの だが、これは全体の三分の一しか残って いない。柱頭の彫刻には興味深い図像も 多く、聖書の物語ではなく、不思議な怪 獣や植物模様が中心である。 |
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| セラボンヌ/旧ノートルダム小修道院 Serrabonne/Ancien Prieuré Notre-Dame |
1 Pyrénées-Orientales |
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カニグー山塊の東端に位置するこの修道院は、 現在は全くの廃墟になってしまっている。しかし 建築の原点のような素朴な力強いたたずまいは、 周辺の荒涼たる光景の中で見事に美しい存在だっ た。 写真中央の教会聖堂部分が最も古い11世紀と され、左の鐘塔や祭室部分は12世紀と言われて いる。 三廊式のバシリカだが、右の側廊が回廊のよう な連続アーチになっており、断崖に向かって開け ている。 この教会が他と比べて最もユニークなのは、身 廊の真ん中に「トリビューン(Tribune)」という中 二階式のアーチ門が設置されていることだ。 赤味を帯びた大理石で、六本の柱と壁で仕切ら れており、ここを潜らないと祭室へは行けないの である。壁面と柱頭に、細工の見事な彫刻が残さ れている。人面と怪獣が絡まり合ったような奇想 天外な図像が多く、大胆な構図と深い彫りが見所 である。 |
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| サン・タンドレ・ド・ソレード/聖アンドレ教会 St-André-de-Sorède/Église St-André |
1 Pyrénées-Orientales |
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地中海沿岸のカタロニアとの国境近 くでは、初期ロマネスクの遺構を数多 く見ることが出来る。 サン・タンドレの教会もその一つで あるが、写真は扉口の上に置かれてア ーチを支える「まぐさ石 (Linteau)」 の彫刻である。 図像は中央に栄光のキリスト像、そ れを左右から支える二人の天使、そし て二人の熾天使と四人の使徒が三人づ つ左右に分かれて彫られている。 写真はまぐさ石の中央部分で、キリ ストを中心に両側に二人の天使と熾天 使、そして二人の使徒の像が写ってい る。 意匠は単純だが、人物は象徴的で愛 らしく、植物の葉模様の表現も不均一 であるところが憎めず、南スペインの アンダルシアで見ることの出来るアラ ブの意匠すら連想させる。 |
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| サン・ジェニ・デ・フォンテーヌ/聖ミッシェル教会 St-Génis-des-Fontaines/Église St-Michel |
1 Pyrénées-Orientales |
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前述のサン・タンドレとは隣同士のよう な町であり、全く同じ発想で描かれた図像 の彫刻がなされた「まぐさ石」が、これも 同じ様に教会の扉口に残されている。 11世紀初頭の作品とされているが、ど うやらサン・タンドレのものはここの摸作 であるらしい。しかし、いずれにせよ、ど ちらの作品も素晴らしいことに変わりは無 い。 写真は、中央の二人の天使に支えられた 栄光のキリスト像である。これはほとんど の部分で、サン・タンドレのキリスト像と 瓜二つの意匠である。 その他の像の人数は一緒だが、サン・タ ンドレに描かれていた熾天使の姿はここで は見られず、左右に三人づつの使徒が彫ら れている。 衣装の模様はこちらのほうが細かく描か れているが、使徒の容貌などはプリミティ ブに見える。 |
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| アルル・シュル・テッシュ/聖マリー教会 Arles-sur-Tech/Église Ste-Marie |
1 Pyrénées-Orientales |
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ピレネー山脈に水源を発し、地中海に流れ込ん でいるテッシュ河の上流にこの村がある。 教会正面のファサードには素朴なタンパンが有 り、とても貴重なモチーフがそこにはめ込まれて いるのである。制作年代は11世紀半ばといわれ ている、写真のギリシャ十字のレリーフがそれで ある。 中央には祝福を与える玉座のキリスト像が彫ら れており、三重線の輪郭を付し、四方に四福音書 家を象徴するシンボルが彫られている。 上は聖ヨハネを表す鷲、右は聖マルコを表す獅 子であり、さらに下は聖ルカを表す牡牛、そして 左は聖マタイを表す有翼の人物像である。 タンパンの半円アーチ輪郭には植物模様のレリ ーフが帯状に彫られており、アーチの左右には動 物像が、そしてファサード上部の窓の輪郭は、サ ン・ジェニにも共通するような見事な植物模様で 飾られている。 初期ロマネスクとも言うべきこれらの図像が、 ここルシオン地方に高い密度で分布していたこと は驚きである。 |
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| エルヌ/聖ユラリー大聖堂 Elne/Cathédrale Ste-Eulalie |
1 Pyrénées-Orientales |
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ローマ帝国終焉の時代には、この地方の中心都 市であったという由緒ある町並みを歩くと、しば らくすると見晴らしの良い高台へ出る。 そこに建っているのが、11世紀創建のこの大 聖堂である。二本の鐘塔や三廊式身廊の聖堂や後 陣などが見所なのだが、ここでは何と言っても隣 接する回廊へ足を向けねばならない。 写真は南面の西南隅付近で、二本の柱と柱頭の 連なったアーケードは大変に美しかった。 柱頭彫刻は、聖堂に接する南面付近が12世紀 で最も古く、残りの面は13〜14世紀に造られ たものである。 抽象的なロマネスクから写実的なゴシックまで の変遷を、柱頭の図像に見ることが出来る。 三つのアーチ毎に太い角柱が置かれている。各 面に三本の角柱が在るので、それぞれは十二のア ーチによって構成されていることになる。 繊細で装飾的な彫りは成熟した時代の技術を示 しており、聖書の物語や抽象的な動物像は図像彫 刻のお手本を見るような気さえする。 |
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| ル・ブールー/聖マリア教会 Le Boulou/Église Ste-Marie |
1 Pyrénées-Orientales |
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ペルピニャン Perpignan から南下する と、スペイン国境のピレネー山脈の裾野の 所にこの町が広がっている。 ロマネスクの傑作フレスコ画で著名なフ ノラールの聖マルタン教会はこの町外れに 在るのだが、撮影が厳禁されていて掲載を することが出来ない。 大理石の門が見事なこの教会は町の中心 に建っており、12世紀に創建されたもの である。 半円アーチ門の上部に七つの軒持ち送り 彫刻が在り、これらが支えるまぐさ石の彫 刻が見事だ。これらはカベスタニーの職人 (Maitre de Cabestany) の作品である。 彫刻の主題は聖母子で、誕生から三博士 礼拝、エジプト逃避などが絵巻物のように 描かれている。 写真はエジプトへ逃避する聖母子像で、 カベスタニー独特の鮮烈な表現を見ること が出来る。高い所に飾られているので、双 眼鏡が必要である。 |
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| カベスタニー/聖母教会 Cabestany/Église Notre-Dame-des-Anges |
1 Pyrénées-Orientales |
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ペルピニャン(Perpignan)から5Km の所に在る、今では住宅街の続く郊外 都市である。しかし、旧市街の中心部 の家並の中に、この重要な教会が建っ ている。 教会は古いものではないが、壁にか かっている写真のタンパン彫刻は12 世紀のカベスタニーの職人による作品 である。 写真の中央はキリストとマリアの像 で、左はマリアから帯を授けられた聖 トマ、右は聖母マリアの昇天を表現し た図像で、カベスタニー工房の特徴が 最も顕著に現れた部分である。 衣のひだの表現など、繊細であると 共に、力強く流れるような動きが感じ られる作品だ。 現在の入口からは思いもつかないの だが、こんなに見事なタンパンが飾ら れた扉口がどんなものだったかを想像 するのは楽しい。 |
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| サン・マルタン・ド・ロンドル/聖マルタン教会 St-Martin-de-Londres/Église St-Martin |
| 3 Hérault |
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モンペリエ Montpellier の北方25キロ、エ ロー渓谷 (Vallée de l'Hérault) の上流に近い町 である。 町の通りの何処からも、不思議なことに教会 を見る事が出来ない。教会を取り囲むような格 好で、家々が建ち並んでいるからである。細い 路地とアーケードを抜けると、町の核となる教 会の在る広場に出る。 単身廊に半円形祭室が付き、左右袖廊の位置 にやはり半円形の礼拝堂が設けられている。十 字の三方向が半円形となる珍しいプランだが、 ケルンの三礼拝堂形式と同じである。 建築は11世紀最後から12世紀初頭のもの で、重厚な雰囲気が古びた石の一つ一つから感 じられるようだ。 十字の交差部に八角塔が建っており、ロンバ ルディア帯や飾りアーケードが唯一の壁面装飾 となっている。 堂内は半円アーチで構成された素朴で清雅な 趣に満ちており、直ぐにもカソリックに帰依し たくなるような美しい空間だった。 |
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| サン・ギレム・ル・デゼール/聖ソヴェール聖ギローム旧修道院 St-Guilhem-le-Désert/Ancienne Abbaye St-Sauveur et St-Guillaume |
| 3 Hérault |
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前述のサン・マルタンから渓谷を 下り、さらに支流の渓谷を登ると、 岩山に囲まれた美しい集落に出る。 白い岩肌の山、赤い煉瓦の屋根、 白い石壁など、いかにも南仏らしい 明るい光景だ。 教会は細い村の路地を抜けた最奥 の広場に面して建っている。 写真は村の路地から、附属教会の 後陣を眺めたもので、上部の小アー ケード装飾が豪華である。 左右袖廊にも小祭室がある三廊式 の身廊で、天井は半円横断アーチの 素朴な建築である。柱は太い方形で 柱頭は無く、11世紀の飾らぬ簡潔 で明快な美しさからは、修道院とし ての祈りの場に相応しい神聖な雰囲 気が感じられた。 回廊跡や祭壇、石棺など見るべき ものも多いが、最大の魅力は集落の 家並の美しさにあるので、ゆっくり と歩きたいものである。 |
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| マグローヌ/旧聖ピエール大聖堂 Maguelone/Ancienne Cathédrale St-Pierre |
3 Hérault |
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モンペリエの南、地中海沿岸一帯は細長い 砂洲が50キロも続いて、外海と中海とを分 けている。砂洲から中海に突き出た丘の上に、 古くは司教区も置かれていた古い修道院の遺 構が残されている。 平面プランは単身廊に半円祭室、袖廊に小 祭室という典型的なスタイルだが、身廊の天 井は半円アーチでクリプトの様に大層低い。 階上がトリビューンになっているためで、二 階からも祭室を礼拝出来るという設計だ。 11世紀創建時の遺構は一部に残っている が、写真の扉口も含め大半が12世紀中頃の 建築である。 タンパンには、四福音書家のシンボルに囲 まれたキリスト像が残っている。アーチ周辺 の不自然なことから、彫刻はかなり修復され たようだ。 門柱左右の壁に、貴重なレリーフがはめ込 まれている。右は鍵を持つ聖ペテロ、左は剣 を持つ聖パウロで、精巧な美しい図像だ。 |
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| サン・ジル・デュ・ガール/聖ジル教会 St-Gilles-du-Gard/Église St-Gilles |
4 Gard |
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小ローヌ河とも呼ばれるガール河に面 しており、かつては巡礼の賑やかな門前 町だった。11世紀に繁栄した修道院は 今は失われてしまったが、創建当初の華 麗な面影を付属教会の正面ファサード彫 刻に残している。 横一列に並んだ三つのアーチ門と周囲 の壁面には、あたかも彫刻コンクールが 開催されたのではないかと思える程の、 密度と質の高い図像が飾られている。 新約聖書に記されたキリスト伝が中心 となっており、エルサレム入城から磔刑 ・復活に至る場面が大半である。十二使 徒を筆頭に、見事な聖人像が並ぶ。 写真は「ユダの接吻」の浮彫である。 古代ローマの石棺彫刻を連想させる、卓 越した技術と表現力とに満ちた傑作とし か言いようが無い。 ただ一連の南仏のロマネスク彫刻は、 余りにも高度な写実性が強く、聖書の精 神性を抽象して表現するというロマネス クの本質的な魅力にはやや欠ける。 |
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| サン・ポン・ド・トミエール/旧聖ポン大聖堂 St-Pons-de-Thomières/Ancienne Cathédrale St-Pons |
3 Hérault |
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エスピヌーズ Espinouse 山地の 中に在る、比較的大きな盆地の町で ある。教会は緑多い町の中心に建っ ており、丸で要塞のような建築であ る。東側正面が近世に改築されてい るために、正面からはとてもロマネ スクの寺とは見えない。 しかし、北側の扉口には半円のヴ シェール飾り装飾とレリーフ等が残 り、西側の壁面には写真のようなレ リーフがはめ込まれていて、ロマネ スクの名残を留めていた。 写真は磔刑の場面で、かなり傷ん でいるにもかかわらず、とても魅力 的な図像である。悲哀に満ちた聖母 や天使の姿、キリストの四肢などの 素朴な表現がとても面白い。 となりには、昇天するキリストと 最後の晩餐の場面が残っている。い ずれも、損傷の激しいのが残念だ。 |
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| リョー・ミネルヴォア/聖母被昇天教会 Rieux-Minervois/Église Ste-Marie de l'Assomption |
| 2 Aude |
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カルカソンヌの北東に広がる田園地帯の中 心に在る、のんびりとした平和な町である。 表通りから一筋裏に入った家並みの中に、 どう数えても「七」角形の鐘塔が見えた。聖 堂は十四角形の洗礼堂形式で、各々の辺の外 側に礼拝堂が付いているという、とても珍し い建築である。 一番の目的は柱頭彫刻だった。カベスタニ ーの職人 Maitre de Cabestany と呼ばれる 石彫刻師の一連の作品が、数多く残されてい るからである。 写真はその代表作で、聖母被昇天の柱頭彫 刻である。聖母や周囲の天使の特異な風貌が 特徴だが、確かな技術と複雑な意匠がこの荘 厳な主題を、輝くばかりに見事な芸術として 完成させた。 この職人の作品はナルボンヌやカルカソン ヌ周辺に分布しているが、作者の個性的表現 が希薄であった中世においては、貴重な存在 であると言える。 |
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| サン・パプール/聖パプール教会 St-Papoul/Église St-Papoul |
2 Aude |
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カルカソンヌとトゥールーズの丁度真ん中 辺りに、この静かで小さい村が在る。教会に は後世に造られた回廊も在り、壮大な規模を 誇っていた。 ここにも前述の「カベスタニーの職人」の 作品が残っている。教会の内部には展示室が 在り、一連の作品が展示されていた。従来は 聖堂内部の柱頭を飾っていたものと思われる が、間近で見るとその技術がいかに優れてい るかが理解出来た。 しかし、この職人の生きた作品に興味があ ったので、表へ出て後陣へと回り、屋根の下 の軒持ち送りに挟まれて残る柱頭を見た。 写真はその内の一つで、「ライオンの穴の 中のダニエル」を表現した傑作である。 かなり高い場所に在るので、肉眼では良く 見えず、望遠レンズでこの程度だった。 しかし、奇怪なライオンの姿や、特異な人 物表現には、十分この作者の個性を見る事が 出来る。彼の最高傑作が残る、ル・ブールー (Le Boulou) へは是非行かねばならない。 |
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