リオネー地方
   のロマネスク
 
 Lyonnais Roman 
 
   
 
   Église St-Maurice
    
St-Maurice-de-Gourdance Ain 
 
 リヨンはフランス第二の大都市だが、一歩郊
外へ出れば、緩やかな起伏の田園地帯である。
 オーヴェルニュやブルゴーニュに隣接してお
り、魅力的なロマネスク教会が数多く残された
地方でもある。
 サヴォアはスイスにも似た風土で、古代より
アルプス越えの道がイタリアへと通じていた。
シャモニーからはモンブラン・トンネルでアオ
スタ谷に直結しているし、また、フレジュ・ト
ンネルを抜ければスーザの谷からトリノへと通
じている。
 
 
 
 
 県名と県庁所在地
    
1 Rhône (Lyon)
    
2 Ain (Bourg-en-Bresse)
    
3 Haute-Savoie (Annecy)
    
4 Savoie (Chambéry)
 
 
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 リヨン聖マルタン・デネ教会
  Lyon/Église St-Martin-d'Ainay 

      1 Rhône    

          
 
 
 10世紀カロリング朝の時代に建てられたプ
レ・ロマネスクの礼拝堂を起源とし、12世紀
初頭にパスカル二世によって献堂されたバシリ
カである。
 鐘塔の玄関、三廊式の聖堂、半円形祭室と二
つの小祭室などは、11~12世紀の建築とさ
れている。近世に大きな修復があったが、基本
的な構造に変化は無いものと思われる。
 柱頭彫刻は傑作揃いで、特にアダムとイヴ、
聖ミカエルの龍退治、カインとアベルなどが印
象に残る。
 リヨン最古の10世紀礼拝堂が左の写真で、
Chapelle Ste-Blandine といい、聖堂の南側
に隣接して建っている。
 
 
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 リヨン聖ポール参事会教会
  Lyon/Collégiale St-Paul 

      1 Rhône    

          
   
 
 リヨンは、ソーヌ Saône とローヌ Rhône
という二つの川に沿って開けた町である。ソー
ヌはブルゴーニュから、ローヌはスイス・アル
プスから流れてくる。
 リヨンの旧市街はソーヌの西岸で、かつてロ
ーマ人が築いた植民都市が在った高台の麓に当
る。
 この教会は旧市街の北端に位置しており、ソ
ーヌ河畔からもサン・ポール駅前広場からも、
教会の鐘塔を望むことが出来る。

 9世紀に創建されたリヨン最古の歴史を有す
るが、その痕跡を現在見ることは出来ない。
 現在の聖堂は12世紀の後半に建設され13
世紀に完成した、大半がゴシック様式の建築な
のである。
 まあ、ロマネスク信奉者から見れば、ほとん
どわざわざ訪ねる価値は無さそうだったが、ロ
マネスクのバイブルでもあるゾディアック叢書
が掲載をしているので散歩がてら訪ねてみた。
 写真は三廊式身廊の南側廊アーケードで、ロ
マネスク・テーストが少し残っている部分だろ
う。アーチ上部のフリーズや柱頭彫刻などに、
ゴシックとは違うニュアンスが感じられて、い
くらかは溜飲を下げることが出来た。
 外へ出て背後から聖堂を眺めると、楕円形の
後陣と二重アーケードが連なる八角鐘塔が見え
た。ロマネスクからゴシックへと、様式が移行
して行く時代のテキストとしては最適だろう。
 
 
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 リヨンガダーニュ美術館
  Lyon/Musée Gadagne 

      1 Rhône    

          
   
 
 ソーヌ川の西岸に広がる旧市街は世界遺産に
指定されているが、その中ほどやや北寄りにガ
ダーニュの館
Hotel de Gadagne というルネ
サンス様式の建物が残されている。
 現在は博物館になっており、有名なマリオネ
ット博物館と歴史博物館とに分かれている。

 歴史博物館の一部に、リヨン周辺の中世美術
の遺構が展示されており、後述のバルブ島の旧
ランベール教会に在った彫刻が数点所蔵されて
いる。
 目を見張るようなコレクションではないが、
他の教会の柱頭やレリーフと共に展示されてい
る内容は興味深い。
 写真はランベール教会に在ったレリーフで、
受胎告知
Annonciation と説明札には記され
ていた。タンパンか祭壇の断片ではないかと思
われるが、とするとこの像は大天使ガブリエル
ということになる。
 左側にマリア像らしき部分が残っており、大
天使ガブリエルは右側となる。構図としてはと
ても珍しいだろう。一般的にはマリアが右、天
使は左に描かれることが多いのである。
 この人物の手には百合を象徴した笏が握られ
ているので、大天使ガブルエルと考えられる。
天使が笏や十字架を持つ図像は、カロリング美
術の伝統であるという。
 もう一点印象に残ったのは、シャルルマーニ
ュの冠
Couronne de Charlemagne というレ
リーフだった。
 
 
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 リヨン (バルブ島)
     旧聖ランベール教会

  Lyon (L'Ille-Barbe)/
  Ancienne Église St-Rambert
 

      1 Rhône    

          
   
 
 ソーヌ川に沿ってリヨンの中心街から約5キ
ロ程遡って行くと、川の中央の中島であるバル
ブ島が見えて来る。
 島には橋がかかっており、車は北から南へ一
方通行で渡ることが出来た。

 島の歴史は古く、5世紀には修道院が建造さ
れたとされるが、現在確認出来るのはロマネス
ク様式の鐘塔と後陣だけである。
 写真はソーヌ川南岸の国道脇から撮影したも
のだが、緑濃い周辺の景観に溶け込んでとても
絵画的である。
 塔や半円形後陣は大分荒廃しているように見
えるが、建設当初の様式は十分伝えているよう
に思えた。
 早速島へ渡り、教会へのアプローチを試みた
のだが、門は完全に閉鎖されており塀と別の建
物に囲まれているので、内部の見学は全く不可
能に思えた。隣接する高級旅籠レストランに尋
ねたのだが、判らなかったので諦めた。
 この教会に在った“受胎告知”などの彫刻や
レリーフは、前述のリヨン旧市街に在るガダー
ニュ美術館に保存されているのだが、今回はそ
の一部しか見ることが出来なかった。もう一度
来い、ということなのだろう。

 かのポール・ボキューズ
Paul Bocuse が運
営するビストロ
Bouchon で、その晩はリー
ズナブルなリヨン料理とワインを楽しんだ。
 
 
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 ベルヴィル・シュル・ソーヌ
       聖母教会

  Belleville-sur-Saône/
     Église Notre-Dame
 

      1 Rhône    

          
 
 ボージョレー Beaujolais 地区の東端に在る
ソーヌ河畔の町である。
 12世紀に創建された教会は町の中心に建っ
ており、ロマネスク様式の鐘塔が目印となる。
 70mもある長い身廊が特徴だが、三廊式ア
ーケードの柱頭より上の窓や天井はゴシック様
式に改築されている。
 アーケードも天井も尖頭アーチで、柱頭や円
柱の起供部
Culot に施された彫刻だけがロマ
ネスクらしさを示していたのだった。
 写真は柱頭のひとつで、彩色の残る奇妙な人
物像である。キュロ部分にも、怪物や人食い怪
獣などが描かれていて、ロマネスク空間を演出
している。
 外部、聖堂後方からは、ゴシックの上部以外
に、半円形後陣、鐘塔などロマネスク様式の建
築が見られた。
 
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 アヴナ聖母教会
  Avenas/Église Notre-Dame 

      1 Rhône    

          
 
 
 ボージョレーの葡萄畑に囲まれた村に建って
いる12世紀の教会で、写真の見事な祭壇彫刻
で知られている。
 祭室の中央に置かれた石灰岩製の祭壇で、四
方の面には、技術的にも優れた彫刻が施されて
いる。
 写真は、正面の彫刻で、四福音書家の象徴に
囲まれた栄光のキリストと十二使徒の像だが、
荘厳さに包まれて実に美しい。
 裏面には、告知、訪問、三王礼拝、誕生、奉
献、昇天など、聖母物語が描かれている。
 
 
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 サン・タンドレ・ド・バージェ
     
聖アンドレ教会
  St-André-de-Bâges/
    Église St-André
 

      2 Ain    

          
   
 
 マコン Mâcon の町とはソーヌ Saône 河の
東対岸に隣接する格好で、バージェと呼ばれる
広い地域が有る。
 集落から離れた場所に、この教会はポツリと
建っており、特異な八角の鐘塔がすぐに眼に飛
び込んでくる。良く眺めると、アーチ窓や盲ア
ーチ装飾が施された堂々たる美しい塔である。

 中央の入口と上部の窓以外、ファサードには
ほとんど窓は無い。全面に装飾盲アーチが意匠
されており、地味だが特徴の有る構成である。
 だが、アーチ門のタンパンやまぐさ石には何
も彫刻されておらず、また唯一の柱頭彫刻もか
なり摩滅していた。巻物を持つ聖人の様だが、
聖パウロなのか、あるいは他の聖人なのか判ら
ない。

 聖堂は三廊式、翼廊の有る十字型であり、交
叉部に鐘塔が立ち、小礼拝堂が付いている。後
陣からの眺めは、三つの半円祭室が並ぶなかな
かの景観であった。
 聖堂全体が均整の取れた建築であり、遠景が
絵になる教会だった。
 
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 ヴァンデン聖母教会
  Vandein/Église Notre-Dame 

      2 Ain    

          
 
 
 ブール・アン・ブレス Bourg-en-Bresse
の町の西10キロに在る、小さな農村である。
 ブレス産の鶏として、食通の方なら御存知の
地方だ。
 教会は町の礼拝堂の様な可愛らしい建築で、
木造屋根の入母屋造りである。聖堂自体は、そ
れ程古いものではなく、おそらくルネサンスか
バロック期のものではないだろうか。
 見たかったのは、入口にタンパンのような格
好で飾られた、写真の彫刻であった。元来タン
パンであったのだろうが、ファサード建築は失
われているのである。
 二人の天使に支えられた栄光のキリスト、最
後の晩餐、洗足の場面、などが描かれた見事な
彫刻である。このタンパンをもつ扉口の在る、
創建当初のファサードがいかに壮麗であったか
を想像するのは楽しかった。
 
 
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 イリア聖ローラン教会
  Illiat/Église St-Laurent 

      2 Ain    

          
   
 
 アン県の南西部、ブレスとリヨンの中間地帯
はドンブ
Dombes 高地と呼ばれる丘陵地帯で
ある。小さなロマネスクの教会が点在する魅力
的な地方で、イリアもその一つ、ヴァンデンの
西20キロに在る簡素な村である。

 聖堂は単身廊に翼廊の備わった十字型で、小
さな半円の祭室が在る。鐘塔は交叉部の上では
なく、別の場所に単独で後世に建てられたらし
い。後陣の外壁などはかなり修復されており、
窓の輪郭などやや不自然な部分も見られた。

 見所は内陣で、特に祭室部分の装飾が素晴ら
しかった。三つ在る半円アーチ窓の両側が、そ
れぞれ盲アーチになっており、フレスコで聖人
像が描かれている。色彩が鮮やかで、眼の大き
な聖母マリアの像が、特に印象に残った。

 写真は、二つ在る重要な柱頭彫刻の一つで、
自ら目隠しをする人物の顔が彫られていて珍し
い。盲目的な人物、つまり異端或いはシナゴー
グ(ユダヤ教徒)を象徴しているのかもしれな
い。
 もう一つの柱頭には、鬼のような顔の怪獣が
彫られており、共に宗教的な比喩又は諧謔的な
暗示を表現した興味深い主題と考えられる。
 
 
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 サン・ポール・ド・ヴァラックス
      
聖ポール教会
  St-Paul-de-Varax/
     Église St-Paul
 

      2 Ain    

          
 
 ドンブ地方のもう一つの重要なロマネスクの
遺構で、ブルグの南18キロに位置するやや大
きな村である。
 ここで珍しくも、フランス人の団体ツアーと
出くわしたのだが、中世の教会巡りが目的だそ
うだった。私の6×7判カメラに興味を示す人
が多かった。
 聖堂はかなり改築されており、見るべきロマ
ネスクは、南門の小タンパンとこの西面ファサ
ードである。
 扉口上のタンパン部分には、二人の天使や聖
人群像を伴った栄光のキリスト昇天が描かれて
いる。顔の大半が削られているが、精緻で美し
い彫刻である。
 左右の帯状レリーフも傑作で、門の右側に地
獄の懲罰が、左に聖ポールの物語が彫り込まれ
ている。
 彫刻の内容も素晴らしいが、全体に簡素なが
ら均整のとれた美しいファサードだった。
 
 
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 コンデシア聖ジュリアン
  
Condeissiat
/Église St-Julien 

      2 Ain

          
   
 
 前述のサン・ポールからは北東に10キロほ
どの場所に在る集落である。この辺りは湿地帯
で数多くの池沼が点在しており、狩猟が盛んだ
と聞いた。

 小さな村だが、ここに在る教会は
Paroisse
とのことなので“教区教会”だろう。
 11~12世紀の創建になる教会だが、14
世紀に破壊されており、ロマネスクとしては単
身廊に半円形後陣という素朴なプランや八角形
の鐘塔などに、その面影を留める程度である。

 西正面のファサードは、上部の薔薇窓と写真
の半円形アーチの扉口で構成された簡素な意匠
である。
 タンパンには楕円の中に栄光のキリスト像が
刻まれており、その輪郭には
SIC RESIDENS
CELO NB XPS BENEDICIT
と記されている。
ラテン語は判らないが“主は天に在りて我らを
聖別された”というような内容だろう。
 タンパンの周囲にも、
XPI とか MARIE
ほかに
JULIANI などの名が見られ、この教会
設立の趣旨が刻まれているのだろうと思う。
 扉口両側の柱頭はやや摩滅気味で内容ははっ
きりしないが、左に悪魔のような面と二人の戦
士、右に悪魔のような像の尻尾が有翼の竜へと
変身している(?)ような場面が彫られている
のだが、何故か神社の狛犬を想起していた。
 
 
 
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 シャヴェリア
    洗礼の聖ヨハネ教会

  Chaveyriat/
    Église St-Jean-Baptiste
 

      2 Ain  

          
 
 
 ドンブ高地の北の端に当る場所で、ブール・
アン・ブレスの真西15キロ、先述のコンデシ
アの真北6キロという位置である。
 定期的に市場の立つ古い町で、教会の起源は
12世紀らしい。
 木造の玄関間を持つ単身廊の聖堂で、天井は
木組み、祭室は三つの半円アーチ窓を持つ楕円
形である。身廊と祭室を仕切るアーチが設けら
れ、北側に鐘塔への扉口が開かれている。
 祭室の三つの窓両脇に六本の円柱があり、そ
れぞれの柱頭に優れた彫刻が残されていた。
 写真はその内の一基で、ライオンに挟まれた
冠の人物像で、ダニエルの物語らしい。
 他にも、鷲や牛やロバらしい、動物を中心と
した彫りの良い彫刻が印象に残った。
 
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 サン・モーリス・ド・グルダン
    聖モーリス教会

  St-Maurice-de-Gourdans/
    Église St-Maurice
 

      2 Ain

          
 
 
 リヨンの東約30キロ、ローヌの支流である
アン
Ain 川に沿って開けた町である。
 12世紀の教会は町の東に建っており、先ず
その聖堂の長さに驚かされる。単身廊に翼廊が
交差した十字形の聖堂で、主祭室の他に両翼に
小祭室が設けられている。
 写真は、トンネルのような身廊と、奥の祭室
である。壁面の盲アーケードが荘重で、半円筒
ヴォールトの天井と併せ、特異な雰囲気を持っ
た空間に仕立て上げている。
 三つある梁間の最奥の写真なので、梁間は手
前にもう二つある。いかに長い身廊かが想像出
来るだろう。
 楽園追放などのフレスコ画が堂内全体に見ら
れるが、やや後の時代の作品と見た。
 
 
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 リュイ聖母被昇天教会
  Lhuis/Église de l'Assomption 

      2 Ain  

          
   
 
 アン県の県境となっているローヌ川が、スイ
スから南へ向かって流れ出てから一気に西北に
向きを変える辺りの、段丘上に在る小さな町で
ある。

 教会は町の中心の新道と旧道の分岐点に建っ
ており、写真のように鐘塔と後陣が12世紀創
建の歴史在る佇まいを堂々と今に伝えている。

 単身廊に内陣と半円形祭室という基本的なプ
ランで、内陣の北側に鐘塔が隣接している。
 身廊は尖頭形交差穹窿の天井であり、祭室よ
りも広い間口になっていることから、後世の増
築なのだろうと推測した。
 祭室は、半円形の後陣と身廊を結ぶ位置に在
り、三つの窓を持つ後陣が敬虔な雰囲気を醸し
出していた。窓と窓の間に二本づつの円柱を立
てたアーケードが意匠されており、厚みのある
二重の窓が荘重なイメージを演出しているよう
に見えた。
 祭室の後方に、鐘塔へと通じる扉口がある。
塔の下部は小祭室になっており、方形の上に八
角に積み上げた円蓋が秘められている。
 改築、増築は顕著だが、聖堂背後から見た写
真の眺めは、均整のとれたロマネスク建築の簡
素な美しさを示す好例だろうと感じた。スイス
・アルプスにも近い、この地方独特の爽快な風
土の中で育まれてきた歴史と文化が示す清々し
さがそう感じさせたのかもしれない。
 
 
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 サン・ランベール・
    アン・ビュジェイ

     /
聖ドミティアン礼拝堂
  St-Rambert-en-Bugey/
     Chapelle St-Domitien
 

      2 Ain

          
   
 
 ローヌの流れの北側にビュジェイ Bugey
区が在り、この町はアン川の支流であるアルバ
リーヌ
Albarine 川沿いに細長く発展した瀟洒
な集落である。
 町の中心から背後の崖へ登って行く道が在る
が、町を展望出来るあたりまで上った高台に広
大な修道院
Abbaye de St-Rambert が見えて
来る。
 この礼拝堂は修道院の一画に建っており、修
道院の方が鍵を開けて下さった。

 修道院の起源は5世紀の隠者聖ドミティアン
によるものらしいが、礼拝堂の名はそこに由来
するという。崖地に建つ礼拝堂は近年の建築だ
が、その階下がクリプト(地下祭室)として保
存され、崖下を通る道からは地上階となって扉
口がある。

 クリプトは9~10世紀の建築とされ、道の
側から眺めると、三つの半円形後陣が並んでい
るように見える。
 写真は中央の主祭室に当る部分で、四本の円
柱と天井の交差穹窿によって形成された九つの
梁間が、何ともプリミティヴで心に響く眺めだ
った。中央が膨らんだ円柱の形が古典的で、素
朴な柱頭が堪らなく良い。
 北側と南側に小祭室が在って、中央に二本の
円柱が建つ純朴な空間を創出している。石工の
悪戯かと思われるような、動物や手形の稚拙な
彫刻が嬉しい。
 
 
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 ナントゥア聖ミシェル教会
  Nantua/Église St-Michel 

      2 Ain

          
   
 
 スイスからリヨンへと通じる重要な行路上に
栄えた町で、7世紀にはベネディクト会の修道
院が創始されていたらしい。
 11世紀に建造され、12~13世紀に修復
された聖堂が、現在は教区教会として存続して
いるのだそうだ。

 聖堂は三廊式十字形で、ロマネスクを基礎と
しているが、その上にゴシック様式の修復が積
み重なった、というようなイメージの建築であ
る。左右六本づつの束ね柱が六つの梁間を形成
し、尖頭横断アーチで仕切られた天井は交差リ
ブ・ヴォールトとで構成されている。
 身廊の外壁は半円アーチ窓のロマネスク様式
だが、採光窓を持つ上層部を補強するための飛
びアーチ
Arc Boutant が見られる。ゴシック
へと移行する過程を見せている、と言える。

 写真は西正面の扉口で、ここでも従来のロマ
ネスク門に、ゴシックの前壁を増補している。
柱頭やタンパンは当初のままだろうが、タンパ
ン上段の図像が破壊されてしまっている。
 しかし下段のまぐさ石部分の「最後の晩餐」
の図が、ほぼ完璧に残されているのが嬉しい。
使徒たちの衣の襞までが、繊細に表現された秀
逸な彫刻である。
 それだけに、タンパンの彫刻がどれほど素晴
らしかっただろうか、と想像してしまう。中央
は栄光のキリストで、周囲は天使だったのでは
ないだろうか。
 
 
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 アランジュ
   城付属聖フランソワ礼拝堂

  Allinges/Chapelle
    St-François de Château
 

      3 Haute-Savoie

          
 
 
 レマン湖南岸の中心都市トノン Thonon
郊外にある山間の町で、町外れの廃墟となった
古城の中に、10~11世紀創建の礼拝堂が在
る。
 正面入口は平凡だが、祭室のドーム部分に描
かれたフレスコ画は11世紀半ばのもので、保
存状態はかなり良いほうだろう。
 アーモンド状の光背の中には栄光のキリスト
像、その周囲に四福音書家の象徴の動物が描か
れている。
 さらに左右に六枚の翼を持った二天使と、聖
母マリア、洗礼の聖ヨハネが立っている。ドー
ムいっぱいに描かれた、無駄の無い美しい構図
である。
 下部に描かれた四人の半身像は、忍耐・謙遜
・慈愛など四つの美徳を表現したもの、という
解説があったが、きちんと判読できなかった。  
 
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 ドゥサンジー聖ローラン教会
  Desingy/Église St-Laurent 

      3 Haute-Savoie

          
   
 
 ジュネーヴの南西40キロ、サヴォアの中心
であるアヌシー
Annecy からは西北に30
という位置に、この小さな村がある。
 見渡す限り起伏の続く変化に富んだ田園地帯
で、この村へと至るドライブは心和む時間を楽
しめた。

 村の広場に建つこの教会は、規模は小さいが
司教区教会
Église paroissiale としてこの地
方の中心的存在であったようだ。
 正面ファサードや単身廊の部分は、明らかに
ゴシック以降に改築されており、少々がっかり
した。しかし、写真で見る通り、翼廊との交差
部に建つ鐘塔と、半円形に飛び出した後陣にロ
マネスクの様式を見ることが出来た。
 後陣が真っ白に塗られていたので、思い描い
ていた姿との間にかなりの差があったように感
じられた。しかし、白粉を塗ったが造作は変わ
らない顔のようなもので、許容範囲内の修復と
割り切った。余り良い喩え、とは言い難いが。

 内陣へと入ると、祭室部分は創建時を想わせ
る半円アーチとドームで構成されているが、身
廊も含め天井は全て交差リブボールトだった。
 鐘塔を支える十字交差部の両側に左右翼廊の
小祭室があり、特に北翼廊四隅のアーチの下の
起拱石部分に、奇妙な風貌をした人物の顔が彫
られていた。ロマネスク的だが、時代は下がる
かもしれない。
 
 
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 ロヴァニー受胎告知教会
  Lovagny/
   Église de l'Annonciation
 

      3 Haute-Savoie

          
   
 
 アヌシーの西方10キロほどの丘陵地帯にあ
る、農業を中心とした小さな村落だった。近く
にフエール峡谷
Gorges du Fier という観光
地があるそうだが、立ち寄る気は無かった。

 教会は村を象徴するように、広場に面して建
っている。最近修復されたものか、ネオ・ロマ
ネスクのファサードのように見える。扉口の半
円形タンパンには、近年作ながらこの教会らし
く受胎告知の場面が彫られていた。
 単身廊は三つのベイを持っていて美しいのだ
が、ここもかなり後世に修復されたようだ。

 創建時のロマネスクがしっかり残っている部
分は、今回のサヴォア地方に共通していたのだ
が、ここでも後陣と鐘塔がそれであった。

 写真は後陣後方から眺めたもので、石積の表
面が露呈している分だけプリミティヴな印象を
受ける。後陣の石は、ファサードと同様に新し
いものかもしれないが、均整の取れた姿となっ
ている。
 屋根の下のロンバルディア帯装飾と軒持送り
石は、そのまま用いられたようだ。
 鐘塔は、十字聖堂とは別に独立した存在とし
て、北翼廊の小祭室部分に建っている。
 
 
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 キンタル御訪問教会
  Quintal/Église
     de la Visitation
 

      3 Haute-Savoie

          
   
 
 アヌシーから南へ10キロ、アヌシー湖から
南へ伸びる
Montagne du Semnoz セムノ山
地に沿った山間の村である。
   
 壁面が塗り替えられているので、新しい建築
のように見えてしまい、私たちは一瞬がっかり
したのだったが、じっくりと観察している内に
一寸待てよ、と感じ始めたのだった。
 改修の手は入っているものの、基本的な建築
構造は、この地方ではかなり古い11世紀の建
築だったのである。

 鐘塔の下層が扉口玄関間になっており、身廊
は単身廊、翼廊のある十字形で、両翼に小祭室
を擁した三つの後陣を持つという、とてもユニ
ークな平面プランを残している。

 聖堂全体で小さな窓が9個ほど有るだけとい
うことだけでも、初期ロマネスク的な建築が守
られてきた証しとなるのかもしれない。
  
 西の鐘塔ファサードにも用いられているのだ
が、写真の後陣にも見られる盲アーケードの意
匠は、決して洗練された使い方ではないが、何
とも素朴な壁面装飾になっている。
 窓の位置の不自然さや途中で切れた装飾柱な
ど、後世の改造を臭わせる要素もありそうだ。
 
 
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 ヴュ・ファヴェルジュ
     洗礼の聖ヨハネ教会

  Viuz-Faverges/
    Église St-Jean-Baptiste
 

      3 Haute-Savoie

          
   
 
 アヌシーの町からアヌシー湖畔を、南西に向
かって車を走らせた。シャモニー
Chamonix
やアルベールヴィル
Alberville へと通じる国
道である。
 約25キロ行ったあたりに巨大な岩山が見え
てくるが、その辺りがヴュの集落でさらに奥の
ファヴェルジュと統合して町を形成している。

 この教会はヴュ地区に在り、岩山を背景にし
て、背後は広い墓地になっていた。
 ちょうどミサが行われており、生きた教会と
して機能していることは喜ばしいかった。

 基本的には12~13世紀の基礎が残ってい
るそうだが、後陣や鐘塔の下層部あたりがオリ
ジナルに近いようだ。
 三廊式だが、建築の規模に比して角柱が太い
ために、側廊の幅が極端に狭く感じられる。
 天井は横断アーチと交差穹窿によって構築さ
れているので、どこまでが修復されているのか
はなかなか判断出来ない。
 特に古そうなのが塔の真下部分で、四方の束
ね柱の柱頭に植物の連続模様が彫り込まれてい
た。この部分は翼廊交差部のようにも見え、従
来のプランは単身廊の十字形で、後世に側廊が
追加されたのかもしれない。
 
 
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 マルソ洗礼の聖ヨハネ教会
  Marthod/
    Église St-Jean-Baptiste
 

      4 Savoie 

          
   
 
 ヴュから前述の国道を更に12キロ行くと、
ユジーヌ
Ugine の町に至る。そこはシャモ
ニー方面とアルベールヴィル方面への分岐点に
なっており、冬のリゾートらしい洒落た雰囲気
の漂う町だった。
 マルソの村は、このユジーヌの町の南側に続
く、小高い山地の上に取り付いたような格好で
開けた集落だった。
 この教会の存在はほとんど知られていないの
だが、地元の雑誌にロマネスクのファサードと
して紹介されていたので訪ねてみたのだった。

 下からも見えた鐘塔はロマネスク様式だが、
建築は新しそうだった。教会建築全体が近年の
再建と思われ、見るべき部分はほとんど無かっ
た。

 写真の扉口部分が雑誌に紹介されていたもの
で、ロマネスク時代のものがはめ込まれた格好
で保存されているのである。
 まず目に入るのが、壁面上部左右のレリーフ
である。右に妙な丸顔が三つ、左に十四の半球
体と謎の菊皿紋、その下に龍退治を想わせる図
像などであり、江戸の判じ物より難問だろう。
 柱頭部分の素朴な人物像も、稚拙ながらロマ
ネスクの香りを十分感じさせてくれた。
 不可解な図像にロマネスクを感じる、という
不可解な魅力。
 
 
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 クレリー聖母教会
  Cléry/Église Notre-Dame 

      4 Savoie  

          
 
 
 アルベールヴィルの西方8キロの山の上の村
で、教会は斜面になって広がる牧草地に接して
いる。一面に野草が咲き乱れる別天地で、素朴
な農耕馬が放牧されていた。

 教会の現在のプランが大層ユニークで、写真
手前つまり南側にだけ袖廊の片側が、そして向
こう側にのみ小祭室が付いている。
 つまりは、かなり改修されているということ
だろうが、全体的にロマネスクの雰囲気を失っ
てはいないところが魅力だろう。
 従前は三廊式バシリカ聖堂だったと思われる
のだが、身廊の三つの梁間の天井が交差穹窿と
して残っており、鐘塔部分の円蓋の素朴さと併
せ、嬉しい材料だった。
 祭室に置かれたロマネスク時代の意匠が彫り
込まれた祭壇は、注目に値する作品だった。
 
 
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 アイム聖マルタン教会
  Aime/Église St-Martin 

      4 Savoie

          
   
 
 アルベールヴィルから東南へと入っていくイ
ゼール川
Isère が造る深い谷間は、タランテ
ーズ
La Tarentaise と呼ばれてフランス・ア
ルプスの中枢へと続いている。
 またプティ・サン・ベルナール峠を越えて、
イタリアのアオスタ、ミラノへと通じる古代以
来重要なアルプス越えのルートとして発展して
きた。
   
 麓の町ブール・サン・モーリス
Bourg-St-
Maurice
の町の手前15キロに位置するこの
町は、現在は近代化され、取り残されたかのよ
うにこの教会だけが広場に面して建っていた。

 しかし、古びた石積の鐘塔や後陣など、聖堂
を一目見れば即座に、このロマネスクの教会の
重厚さに心打たれるはずである。
 現在の身廊は単身廊で両側は盲アーケードの
壁になっている。祭室は一段高くなっており、
その左右両側は翼廊状になっていて、それぞれ
小祭室が設けられている。北翼廊部分に鐘塔が
聳えている。
 かつては三廊式バシリカ聖堂だで、側廊のア
ーケードの空間は壁面として埋め込まれたらし
い。創建は11世紀初頭という。
 祭室の真下が、半地下のクリプトになってい
る。写真はその中心で、四本の円柱によって井
桁が組まれ、九つのベイが構築されている。
 素朴な柱頭など、美しい空間だった。 
 
 
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 サン・ピエール・
   デクストラヴァシュ

        旧教会

  St-Pierre-d'Extravache/
      Ancienne Église
 

      4 Savoie

          
 
 
 この廃墟を訪ねることが、今回のサヴォア訪
問の目的の一つだった、と言っても過言ではな
い。或る本のグラビアで見た一枚の写真への想
いが、頭の中で増殖しずっと憧れ続けていたの
だった。
 アルプス・ヴァノアーズ
Vanoise 山塊の向
こう、イタリア国境に近いサニ
Cenis 山塊の
中腹に、写真の崩落寸前といった雰囲気の聖堂
が孤高な姿で建っていた。

 イタリア・スーザの谷からトリノへと通じる
フレジュ・トンネル
Tunnel du Fréjus の直ぐ
近くにあるブラマン
Braman) という村から、
細く急峻な
 林道を暫く登って行く事になる。
荒れ果てた崖地や壮絶な谷を越えて行く、ちょ
っとワイルドな冒険ドライブだった。
 林道から更に荒れ果てた小道を登り詰めた所
が少し開けた草原になっており、その先端に遥
かなる山並みを背にした聖堂の姿が見えた。
 10~11世紀ごろの建築と勝手に決めてい
るが、身廊部分が失われた塔と後陣だけの廃墟
であり、素人の情緒が入り込む余地を許してい
ただくことにする。
 感動的な景観のロマネスクの教会だった。
      
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 サン・ジャン・ド・モーリエンヌ
   洗礼の聖ヨハネ旧大聖堂

  St-Jean-de-Maurienne/
    Ancienne Cathédrale
       St-Jean-Baptiste
 

      4 Savoie

          
   
 
 前述の聖ピエール教会から元来た道を、シャ
ンベリー
Chambéry 方面へと戻る途中にあ
るこの谷を代表する小都市である。 
 町の広場の中心に大きな鐘塔が建っており、
思わず“これは古い”と感じさせる佇まいだっ
た。広場に面して二つの教会が並んでおり、塔
は11世紀に創建された
Église Notre-Dame
聖母教会の塔である。扉口と後陣の残るこの教
会は、やや荒れ果てたまま放置されており、内
部へは入れなかった。

 通り一つ隔てた旧大聖堂は、ファサードがル
ネサンス風に、また内陣や天井はゴシックに改
築されている。
 プレ・ロマネスク時代に基礎が建造されたそ
うで、その時代のクリプトが残されているはず
だったが、完全に閉鎖されて入れなかった。
 三廊式身廊のアーケードだけが、唯一残され
たロマネスクの名残であった。太い角柱と豪快
なアーチが、それを証明している。
 柱や壁に、ロマネスク時代の柱頭やレリーフ
の断片が嵌め込まれている。写真はそのひとつ
で、この大聖堂の西扉口のタンパンを飾ってい
た彫刻の一部である。天使の存在を示す大きな
翼、十字架を背負う羊、神の羊を示すラテン語
Ecce Agnus Dei、二人の聖人像、など示唆に
富んだ図像が彫られており、意味或るタンパン
だったことが想像される。
 
 
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 サント・マリー・ド・キュイヌ
     聖母被昇天教会

  Ste-Marie-de-Cuines/Église
      Notre-Dame-de-
        l'Assomption
 

      4 Savoie

          
   
 
 前述のモーリエンヌから8キロ程北西に進む
と、なだらかな山麓に広がる静かなこの小村に
着く。
 こじんまりとした聖堂で、背の高い鐘塔が直
ぐに目に入る。
 鐘塔は西正面に建てられているので、本来は
扉口も兼ねるはずなのだが、ポーチは北側に設
けられていた。塔の壁面にはロンバルディア風
の盲アーケード装飾が見られるが、建築は近代
のものらしい。
 サヴォアでも屈指の古い歴史を持つ教会の一
つだが、往時の名残は今や写真の後陣だけにな
ってしまったらしい。
 先述のキンタル同様、盲アーケード装飾、控
え壁、窓の下の柱状の装飾など、単純には片付
けられない要素がいっぱいだが、プリミティヴ
な後陣だけでもしっかりと保存されていたこと
を喜ぶべきだろうと感じていた。
 
 
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 シャンベリー(レマン)
     聖ピエール教会

  Chambéry (Lémenc)/
     
Église St-Pierre 

      4 Savoie  

          
   
 
 プティ・サン・ベルナール峠を越えるルート
がヨーロッパ東西を結ぶ重要な経路だったが、
古い文化を証明するような遺構がシャンベリー
の郊外レマン地区に残っている。

 教会は15世紀の建造で、ゴシック様式の身
廊は天井の高い単身廊、尖頭アーチの交差リブ
ボールトという構造になっている。
 身廊の南側中程から地下へ降りる階段が設け
られており、この教会の基礎となったメロヴィ
ング王朝 (5~8世紀)時代のクリプトを見る
ことが出来る。

 見所は、写真のロトンド
(
Rotonde) と呼ば
れる円形聖堂で、クリプトの中央に正六角形の
小規模な聖所として構築されたものである。
 おそらくは、洗礼の場所だったのだろう。
 素朴な植物模様の柱頭、粗い石を積んだ円形
アーケードなど、いかにもプレロマン期らしい
プリミティヴな美意識が感じられる。
 正八角形の集中式聖堂の事例は多いが、正六
角形というのは余り見かけない。アルメニア正
教の何処かの聖堂に有った様な記憶があるが、
ほとんど思い当たらない。

 明かりが無く真っ暗だったので、カメラを壁
に押し付けて、高感度スローシャッターで撮影
したものである。 
 
 
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