平成25年9月(長月)の短歌
潮の香に旅の心を託す宵みすずの詩碑をなぞりツツ読む
(しおのかに たびのこころをたくすよい みすずのしひを なぞりつつよむ)
盲いわれ山頭火の句碑なぞるとき潮風ぼーっと汽笛運び来
(めしいわれ さんとうかのくひ なぞるとき しおかぜぼーっと きてきはこびく)
以上に首は山口県下関港にて
一面に虫の音集く遊歩道早朝散歩の歩をひそめ入る
(いちめんに むしのねすだく ゆうほどう そうちょうさんぽの ほをひそめいる)
あっけなく蔓解かれ来るゴーヤーを手繰り寄せつつ夏をしまいぬ
想い出の多き真っ赤なTシャツの断捨離をする夏の終わりに
負傷せし野鳥の憩う里山にひっそり咲けり赤きミズヒキソウ
(ふしょうせし やちょうのいこう さとやまに ひっそりさけり 赤きミズヒキソウ)
虫の音の小さくなりたる厨辺に今日の終いの雑巾濯ぐ
(むしのねの ちいさくなりたる くりやべに きょうのしまいの ぞうきんゆすぐ)
いつから秋に?
お花も小鳥も虫たちも
犬も猫も 子供も大人も
そして 星も月も風さえも
みんな眠った夜の更けに
夏の女神と秋の女神がま向かいて
にっこり笑って握手する
そして夏の女神は静かに立ち去って
残った秋の女神は大きく手を振って
涼やかな朝を連れてくるのです
平成25年10月の短歌へ。
平成25年8月の短歌へ。
限りなく透明な世界のトップページへ。
すずらんのトップページへ。