平成25年7月(文月)の短歌
さわさわと紫陽花に降る雨音を窓辺に立ちてしばし聞きおり
(さわさわと あじさいにふる あまおとを まどべにたちて しばしききおり)

紫陽花の大き花まりまさぐれば見えし日のわれ吾に語りく
(あじさいの おおきはなまり まさぐれば みえしひのわれ われにかたりく)

もう少し歩いてみよう雨後の朝百合の香ただよう路地を曲がりぬ
(もうすこし あるいてみよう うごのあさ ゆりのかただよう ろじをまがりぬ)

投票を終えたる帰路はゆったりと百合の香の路地へ盲導犬促す

ふっくりのキキョウのつぼみ指先でぽんと弾けばぽっかり咲けり
(ふっくりの ききょうのつぼみ ゆびさきで ぽんとはじけば ぽっかりさけり)

もう少し休んでいいよと雨音がアラーム止めたる気だるき吾に
(もうすこし やすんでいいよと あまおとが アラームとめたる けだるきわれに)

 雨、曇り、ときに雷とともに豪雨といったような天候で終わってしまった7月であった。このめまぐるしい天候と同じように、私の生活も落ち着かないうちに8月をむかえ、今日はもう4日。これといった予定のない日曜日は久しぶり。6時前に早朝の風を切って我が家全員の散歩にスタート。ラジオを聞きながら歩いている夫が「おい、やっと梅雨明けしたぞ」と教えてくれた。例年より遅い「夏本番」の到来である。

   三つ四つ触れつつ計る頃合いを今朝はどっちのゴーヤをもごうか

 葉の陰にかくれるようにちょこんとぶら下がっているゴーヤーに触れたときの感触は、いたずら盛りの幼い息子の仕草と重なってしまう。ネットをたどりながら、三つ、四つ…といたずら息子を追っかけ捕まえたように、またほろにがいゴーヤーの匂いを楽しめるのも「夏」が届けてくれるひと時、私はこの暑い夏が大好き。

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