平成24年8月(葉月)の短歌
タンデムのリズムに乗ってペダルこぐ緑風切り分け上る坂道
(タンデムの リズムにのって ペダルこぐ りょくふうきりわけ のぼるさかみち)
タンデム自転車のリズムつかみてペダル漕ぐ傾ぎつつ切るカーブのスリル
シュワシュワッとのど潤せる生ビールこの幸せは真夏日の使者
(シュワシュワッと のどうるわせる なまビール このしあわせは まなつびのししゃ)
若者がリズミカルにてメール打つペコペコペコの無機質な世界
ほてる足波に洗わせ眼裏の水平線へ眼を凝らしいる
(ほてるあし なみにあらわせ まなうらの すいへいせんへめをこらしいる)
里の家ひときわ高し蝉しぐれ大き欅の真下に入りぬ
(さとのいえ ひときわたかし せみしぐれ おおきけやきの ましたにいりぬ)
蝉しぐれひた鳴く並木を抜け出でて父母の眠れる墓土はもう秋
今日はもう9月5日、猛暑を置き去りにしたまま「夏」は過ぎてしまった。朝夕に は虫の音が聞こえ、自然界は確実に「秋」の気配が濃くなっている。
ゴーヤーが勢いよく葉を広げ、南側の窓いっぱいに程よい日陰を作ってくれている。昨日弟が「これでもうおしまいかな?」と15センチほどのかわいいゴーヤーをもぎ取ってくれた。さーて、このかわいいゴーヤーちゃん、どうやって食べてあげようか…。最後となると急にかわいくなって、いつものようにすぐに包丁を当てることができない。猛暑にもめげずに風の音を届けてくれた風鈴とテレビの横に今少し並べておくことにしよう。
風の調べ届けくれたる風鈴のほこり払いてゆく夏惜しむ
コール音三回鳴りて真夜中の電話切れたり 蟋蟀(こうろぎ)の鳴く
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