平成24年5月(皐月)の短歌
「この匂い去年もしてたね」椎の木の芽吹き初めたる児童公園
(「このにおい きょねんもしてたね」 しいのきの めぶきそめたる じどうこうえん)

ようやくに会議終わりてたどる路地小石が一つ靴に入りくる
(ようやくに かいぎおわりて たどるろじ こいしがひとつ くつにいりくる)

震災より七年経たる田麦山新たな家並みに草萌えの風
(しんさいより ななとせたちたる たむぎやま あらたなやなみに くさもえのかぜ)

手探りにようやく触れしとがり葉の杉の緑の眼裏に映ゆ
(てさぐりに ようやくふれし とがりはの すぎのみどりの まなうらにはゆ)

ふんわりと遠き初恋シノバルるクローバー咲き匂う芝生におりて

笑ってたメガネの人は誰だろう 意識が夢に取り残される

   夢か現か…。
   メガネをかけて笑っていた人は誰だろう?
   小学生のころにメガネをかけていた 隣の席の男の子?
   中学生では もう二人いたような…
   それとも、高校時代の あの人だったかしら?
   意識だけを残して消えて行った 夢

大ないに鳥居倒されし笠間稲荷藤棚の陰に柏手を聞く
(おおないに とりいたおされし かさまいなり ふじだなのかげに かしわでをきく)

被りたる帽子のつばを翻し真っ直ぐに緑風 笠間工芸の丘
(かむりたる ぼうしのつばを ひるがえし まっすぐにりょくふう  かさまこうげいのおか)

 一端の芸術家よろし笠間焼のてび練に挑む夫婦の湯飲み
(いっぱしの げいじゅつかよろし かさまやきの てびねりにいどむ めおとのゆのみ)

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