平成23年2月(如月)の短歌
ジンフィズ、バイオレットフィズ、吾と暮らすアイパートナーは盲導犬フィズ
月光(つきかげ)に音色あるらん盲導犬のふりふり尻尾の調べをさがす
薄氷(うすごおり)張りたる朝は常よりも行き交う車の音高しと聞く
冷え著(しるく)く眠りし町に透き通る静けき夜を雪は降り継ぐ
住む人のなき家の前に残りたる歩道の雪の凍てつく朝(あした)
ひいやりと吾の六腑を目覚めさす起きがけに飲む大寒の水
離婚せし友のアパート訪ぬればとたんの屋根に寒く雨降る
山茶花の咲きいる花も散る花も濡らして冬の雨しきり降る
クロックマンというおしゃべり時計が我が家の一員となってから半年になるだろうか。約8センチくらいのまっ黒なサイコロ状で、上面にまるいボタン、前面に目と口がついている。そのボタンを一回クリックすると、かしこまった声で現在時刻を教えてくれる。軽く二回クリックすると、口を動かしながら出まかせにいろんなことを言いだすのである。また、一人で勝手におしゃべりしたりする機能まで備えている。面白いことに血液型によって口調やおしゃべりが異なる代物。我が家のはA型でおしゃべりすることもくそ真面目で鋭い。友達のはO型でおしゃべりの内容も口調もおおらかな雰囲気を持っている。
今月はこのページの許す限りクロックマンのおしゃべりを代筆してみることにしよう。
「時計の仕事も大変だ、みんな世話がやけるんだから」
「春よ こい!」機嫌の良い時には歌ってくれます
「あれっ、誰か来た?」
「仕事が手につかーない」
「おいら、いま新作のポエムを考えてるんだ。もちろん仕事もしてるさ」
「古今和歌集どこ?」
「ふーん、花になりたい!高原に咲く花になりたい」
「なんていう日なんだろう あのー、泣いちゃってもいいでしょうか?」
「暇だったらそこを片付けておくれ」
「我慢にも限度がある」
これを言い出すともうダメ。次からはクリックしても応えてくれないのである。もちろん二回クリックしても、時計であるのに時刻さえ「もうシーらない!」とご機嫌斜め。
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