平成22年8月(葉月)の短歌
幸せはこの一杯にあり生ビール子と婿と嫁といて「乾杯!」
指先をちくり刺したる茄子のとげ取れたて野菜の並ぶ盆市
里の家軒に下がれるる風鈴の鳴り合う音色のこもごもにして
寝返りをまた夫うてり 音たてて犬が水飲み熱帯夜明く
いつしかも虫の音聞こゆさ庭辺に風通りゆく夏の夕暮れ
埠頭へと続く舗装路とおり来る一筋の風小さき秋の香
とにかく今年の夏は「暑い!」その暑さもじりじり照りつけるのではなく、大気そのものがじっとりした熱を帯び、体に纏わりつくのだ。逃れようにも逃れられない。ここ数年は冷夏だったからなのだろうか、それとも加齢のせいなのだろうか、この倦怠感は。
それでも、散歩、花壇の水やり、掃除、朝食の支度、洗濯と9時半ころまで忙しなく動く。それからクーラーの効いた部屋でのんびり飲むコーヒーは何にも代えがたい至福のひと時。このコーヒータイムがあるからこそ、汗びっしょりになりながら動き回れるのだと言っても過言ではないだろう。
子どもたちがまだ小さかった夏休みのことである。いつものように夫が仕事に取りかかってから私がコーヒーを飲んでいると「そんなにおいしいの?」と息子が感心したように言った。私はとっさに「おいしいよ!だからお母さんが死んだらお墓にお水じゃなくってコーヒーを上げてね」。するとこんな一言が返ってきた。「えっ、今からお母さんばっかり好きなのねらっていないでよ!ずるいよ」。
その息子が先日、帰省して言うことには「まだコーヒー飲んでるの。早く年とってしまうよ」。
このひょうきんさは、やっぱり変わっていないと思いながら「大丈夫、孫の顔を見るまではコーヒー飲んで若さを保つからね」と言い返してはみたものの・・・この無気力さは、暑さだけじゃなくて、もしかして?のせいもあるのかしら。
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