平成22年5月(さつき)の短歌
こだわりは捨ていしものを毛糸編む指のもつるる春寒き夜
藤の花淡く漂う公園のベンチの上に雨静かなり
金次郎の銅像建てる廃校の跡地に藤の花の風吹く
保育園の前立ち話のママさんら 私と盲導犬の行く手を阻む
芽吹き雨すっぽりすぽすぽ濡れにつつ紫陽花の葉のグーンと広がる
イヌフグリ、スミレ、オーレン、カタクリの咲き継ぐ国上(くがみ)の山道登る
囀り(さえずり)の中の小道を登り来てポロシャツのボタン一つ外しぬ
「切りますよ、いいですか?」「はい、大丈夫です」こんな会話がつけっ放しのテレビから聞こえてきた。その雰囲気に何か引き付けられ、拭き掃除の手を止めてテレビの前に駆け寄った。
抗がん剤の副作用で髪が抜け、人の前に出ることができなくなった患者さんに「かつら」を安価に提供している美容院とそのお客のボランティア団体の紹介だった。「この髪が悩んでいる方にお役に立てばうれしいです。ショートをしばらく楽しんでから、またロングにできるんですから」と女性は明るくインタビューに答えていた。
暗いニュースが多いこのごろ、久しぶりに耳にしたホットな話題に私の心もほんわり。立ちつくしたまま、髪を撫でて・・・「こんなに薄くなった髪ではボランティアは無理」と現実の寂しさに直面させられてしまった。
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