平成22年4月(卯月)の短歌
声高にキャーキャー話す少女らが降り行きて春の車内の何ごともなし
(こわだかに キャーキャーはなすしょうじょらが おりゆきて はるのしゃないの なにごともなし)

胸内をメールの中に閉じ込めて指の覚えしIDを打つ
(むなうちを メールのなかに とじこめて ゆびのおぼえし アイディーをうつ)

空の雲地の影法師眼裏へ陽春の下ハーネス握る
(そらのくも ちのかげぼうし まなうらへ ようしゅんのもと ハーネスにぎる)

ホーホケキョ 芽吹きの風の山すそに今年初なる登山靴履く
(ホーホケキョ めぶきのかぜの やますそに ことしはつなる とざんぐつはく)

盲い吾の指に見詰むるイカリソウ錨なす花やわらかにして
(めしいわれの ゆびにみつむる イカリソウ いかりなすはな やわらかにして)

イヌフグリ、スミレ、オーレン、カタクリの咲き継ぐ国上の山道うらら
(イヌフグリ、スミレ、オーレン、カタクリの さきつぐくがみの やまみちうらら)

鶯と一日終えたりウォークの25キロのゴールを踏みぬ
(うぐいすと ひとひおえたり ウォークの 25キロの ゴールをふみぬ)

昭和の日42527回地球踏みしめ25キロウォークの完歩証受く
(しょうわのひ 42527かい ちきゅうふみしめ 25キロウォークの かんぽしょううく)

 今年の春は行きつ、戻りつ。それでもチューリップがやっと咲いてくれた。 花も心持小さめだが「春を連れて来ましたよ」とでも言わんばかりに・・・。
 今月の半ばころ、所属している山の会の今年度初の国上山周辺山行に参加した。 前泊した宿で鶯の初々しい声に目覚めた。きっと楽しい山行になると心が弾んだ。
じっとしていると寒いくらい、桜も未だ三部咲きとか。ザックや登山靴を身に つけると体がしゃきっとして、冬眠から覚めたような心地。薄日の中の農道を 歩いているうちに足取りも快調に「山歩き」のパターンを思い出してくれた。
 ここ2,3日、続いていた雨であの階段の多い山道もドロンコで大変だろうと覚悟していたが思っていたよりも歩き易く、階段には土崩れを防ぐための整備がされていた。スミレ、コブシ、ユキワリソウやカタクリの花が咲き続いている景をパートナーから教えてもらいながら、山道を上り下りして312メートルの山頂の三角点に触れた。
いつものことだが、三角点をこの手で触れたときの達成感!充実感!何にも勝る至福のひとときなのだ。だから、また山に登りたくなる!
広い山頂はかなり風が強く、おにぎりを食べているうちに寒さが増し、雲行きも怪しくなり出したので早々に下山したのだった。

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