平成22年1月(睦月)の短歌
寒気と突風に負けじと身を引き締めて迎えた2010年。この切り良き数字と寅年に私も心機一転・・・などとちょっぴり抱いた夢。でも、自身の体調と相談しながら「虎穴」の二文字をわきまえてのことであるが・・・。そして「ありがとう!」の多き寅年にしたいと願う。
疾風の埠頭に向かい新年を告ぐる汽笛の鳴るを待ちおり
(しっぷうの ふとうにむかい にいどしを つぐるきてきの なるをまちおり)
午前零時の5分前に私はターシャと外へ出た。申し合わせたように娘とほやほやの息子の嫁ちゃんが追って来たので、ターシャをまんなかにして寒気と強風に震えながら門に立って船から鳴り響く汽笛を待っていた。
埠頭より吹き荒ぶ中新年を告ぐる汽笛の間近にきこゆ
(ふとうより ふきすさぶなか しんねんを つぐるきてきの まじかにきこゆ)
凄まじき埠頭の汽笛消えにけり吹き荒びつつ2010年明くる
(すさまじき ふとうのきてき きえにけり ふきすさびつつ 二せん十ねんあく る)
「おめでとう!」私たちは、がっちり握手を交わした。強風に吹き飛ばされないように足を踏ん張って立ち共有していたほんの数分がこんなにも感動的な「新年の挨拶」になったのだろう。冷たい手に互いの温もりが伝わり、母としての喜びをかみ締めることのできた2010年のスタートだった。
ふつふつと厨満たして六人となりたる族(うから)の雑煮を作る
「小さいころのお姉ちゃんにそっくりね」焼いている餅がぷーっと膨れる
健やかに族の集う三が日十二本の箸ざくざく洗う
「よくもまあこんなに飲んだのね」正月三日びん缶ボトル分別しつつ
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