4. ミュンヘンのシュタイナー学校
まず、ロイヒテンベルガー先生がくれた紙に書いてあった、シュタイナー学校の概要を写しておこう。先生自身「すまん」と言うほど字がヘタでコピーできない。また、おそらく20年ほど前に書かれたもので、数字の違いは(*)で直した。
ヴァルドルフ学校運動
I. 歴史
- 1919年、ヴァルドルフ・アストリア煙草工場の子供達の為に最初の学校が、ルドルフ・シュタイナーおよびエミール・モルトによって開設される。
- 第三帝国期(ナチス時代)における学校閉鎖
- 1945年再開
- 現況
- ドイツ国内に95校以上(*300校以上)
- ドイツ国外に195校以上(*320項以上)
- 多数の幼稚園の他に、身体障害者の為の学校及び寮
II. 組織
- 1年から12年級までの自由、統一された小・中・高総合学校
- すべての学課の関連された教育
- 留年制の排除
- 記号・数字による成績評価に替る、記述による総合評価
- 教科書を使用することなしに、創造的に作成されるノート
- 1年から8年級に至るまでの担任持ちあがり
- 校長制に替るものとしての職員会議(毎週)
- 両親の収入に見合った学費
III. 教育基本原則
- 政治・経済・イデオロギーに迎合することなく、人間の成長過程に見合わせた教育
- 成長しつつある子供の要求にもとって作成された独自の教育プラン
- 強調される4つの課目
- 芸術的、実用的課目(絵画、木工、彫刻、金属加工、製本、手芸、織物、庭園作業)
- 外国語(1年級より2つの外国語)
- 音楽(それぞれの生徒が最低一つの楽器を学ぶ。いくつものオーケストラ)
- オイリュトミー(“動き”の芸術として)
- 主要課目については、3週間にわたり毎日2時間づつ集中的連続的に授業がなされる(*エポック授業)
- 両親との密接なる共同作業(家庭訪問、研修会、学校祭)
- 8年級と12年級の学年末に於ける演劇発表
- 9年から12年級までのそれぞれ2週間にわたる実地教育(三角法、森林、農業、社会施設、工場)
- 授業における技術的補助手段の意識的忌避(コンピュータ、レコード、テープレコーダー、言語教育設備)
IV. 教育意図
- 活動的思考・感受性・意志力の育成
- キリスト教に基づく(それぞれの宗派の宗教教育がなされている)
- 芸術的方法による(教育は創造的、芸術的過程として把握される)
- 社会的責任と社会的自由を目指すところの、頭と心と手の教育
- 人間が本質的に精神的存在であるという、根本的認識
- どんな教育も、第一義的には、己を自ら教育することへ至る助けとなるべきである
(以上)