「予約していた早川ですけど…。」
 旅館に入るなり、フロントで姉貴はそのようなことを言う。
 …どうやら予約までしっかりとっていたらしい。
 すぐに着物姿の女性が来て、部屋に案内してくれた。


 部屋は2階、畳敷きの二人で使うには十分すぎる広さの部屋だった。
 備え付けのシャワー室、トイレと有料テレビ。
 奥の方は洋風の寝室になっているのか、ベッドが二つ。多分あそこで寝るのだろう…。
 ザァァと波の音が聞こえた。やっぱり海が近いのだ。
「あー…。疲れたぁぁ……」
 仲居さんが部屋から出て行くなり、ごろりと姉貴が畳みの上に寝ころぶ。
 そりゃあ、あんな運転を何時間もやってれば…。
「おなか減ったから料理、すぐに持ってきてもらおうか」
 部屋の広さを愉しむように、姉貴はごろごろと畳の上を転がる。
 俺も、木製の大きなテーブルの側に座る。
「なぁ、姉貴…?」
「うん?」
「…駆け落ちって、どういうことなんだよ?」
「冗談に決まってるじゃない。もしかして本気にした?」
 クスクスと悪戯っぽく笑う。それなら、
「じゃあ、なんで…いきなりこんな所に?」
「んー、車を買ったら思ったよりお金が余っちゃったからさ。明と一緒に旅行でも行こうかな〜って」
「旅行って…やっぱり初めからそのつもりだったのか…」
「当たり前じゃない。この私が道に迷うなんて間抜けなこと本気でやると思ったの?」
 この姉貴だからこそ、と言いたかったが止めた。
「まぁどうせ明日明後日は土日で休みじゃない?だから2泊3日の温泉旅行に丁度いいと思ってね」
「…2泊ってことは明日もここに泊まるのか?」
「あんたが金出すんなら別の宿にしてもいいよ?」
 ドライブでその辺をぶらっと回る、と言われたから財布など当然持ってきている筈はない。
 …つまり、俺は何をするにも姉貴の指示を仰ぐか従うしかないということか…。
「旅行なんて…、それじゃあ初めからそう言ってくれよ……わざわざこんな回りくどい―――」
「だってそれじゃあ面白くないし。折角の秘密の計画なんだから明を驚かせたかったしね」
「確かに…驚いたけど…」
 そう、驚いた。
 確かに驚いた。
 二十歳過ぎてまでこんな子供じみたある種たちの悪い冗談のような計画に人を巻き込む姉貴の性格に、だ。
 当然、巻き込まれた俺が知らなかったというわけだから―――
「このこと、親父達は―――」
「知らないわよ、だって秘密の旅行だもん」
 言葉を遮って、姉貴が言った。にやりと、意地悪っぽい笑みを付け加えて。
「…一応、電話くらいしといたほうがいいんじゃないのか?」
「いらないんじゃない?2,3日留守にしたくらいで警察呼ばれるような年でもないでしょ?」
「…そんなもんなのかなぁ…」
 それでも、やはり置き手紙の一枚くらいは置いておくべきだったのかも知れないと思った。
「それにさ、あのクソ親父…あたしのこと嫌いみたいだから、案外居なくなってせいせいしてるかもね。……明はお気に入りみたいだから心配してるかもしれないけど」
 姉貴が言うことは分かる。姉貴と親父は表だった対立はないものの、何かと仲は悪そうだった。
 昔から良くもなかったが、やはり決定的だったのは姉貴が第一志望の大学に落ちて滑り止めに受かった時から…だろうか。
「まぁ、とにかく、細かいことは言いっこなし。折角の旅行なんだから今を楽しむ事だけ考えましょ?」
「今を楽しむ…か……」
 確かに、姉貴の言うとおりここには親父も母も居ない。部屋の中には俺たちだけ。
 そしてそれは俺が望んだこと。姉貴と、二人きり…。

 しばらくして、仲居さんが料理を運んできた。刺身やら煮物やらなにやらの他に見たこともないごちそうが次々に出てきて、並ぶ。
「いただきま〜す」
 よほど腹が減っていたのか、料理が来るやいなや割り箸をぱちんと割って食べ始める姉貴。俺はまだ車酔いが治っていなかったので余り食欲は無かった。
「なによ、食べないの?」
 刺身の赤身をぺろりと食べながら、姉貴がそんな事を言う。
「ちょっとまだ、食えない…」
「なに言ってんの。夜は長いんだから…今食べとかないと体持たないわよ?」
「へ…?」
 姉貴の意味深な言葉に思わず疑問詞が出た。姉貴はふふふと笑うと俺の言葉に応えることなく、料理を食べ続けた。
 …食っておいたほうが、良さそう…だな。


「お風呂はね、何回入ってもいいのよ?」
 風呂場に向かう途中、姉貴が説明をした。まぁ、実際にそう一日に何度も入る人は居ないだろうが、それでも入り放題というのは確かに嬉しい。
「ちなみに混浴はないから、残念だったわね〜?」
 男湯と女湯に別れる。
 脱衣所の籠の中は衣類が一つも入っていなかった。つまり貸し切り…ということか?
 そういえば駐車場も車は少なかった。客自体が少ないのだろうか。
 穴場なのか、それとも不人気なのか…。


 浴室は思っていたよりも遙かに広かった。なんだか修学旅行で泊まったホテルの事を思い出した。
 あの時は友達とか、全然知らないやつとか大勢入っていて、混み混みで全然ゆっくり出来なかったなぁ…。
 でも、こうして広い風呂に一人きりというのも逆に落ち着かない。
「………………」
 とりあえず、風呂椅子の一つに座り、体を洗う。
 誰もいないとはいえ、体も洗わずに風呂に入るというのはやはり失礼だろう。
 いつも通り、体を洗って湯に浸かった。
「ふぅ………………」
 さすがに湯船は自宅の風呂とは違う。
 ゆっくりと手足を伸ばして入れるというのは言いしれぬ開放感。
 車酔いの疲れがじわりと湯に溶けて散っていくような、そんな気持ち良さ。
 …思わず寝てしまいそうになるから怖い。
 見ると、他にもサウナ室。曇ったガラス戸の向こうには露天風呂らしきものも見える。 意外にきちんとした宿かもしれない。
「……………」
 体を湯に任せて、目を閉じた。
 家を出てからほぼ誘拐同然にここまで連れてこられて、風呂に入っているという状態を改めて考えてみる。
 最近の姉貴の動向と、急な旅行。
 姉貴は金が余ったから、と旅行の事を言っていたがどうもそれだけでは無いような気がする。
 同じ家に育って、ずっと姉貴だけを見てきたから分かる。
 今の姉貴の様子はどこかおかしい。何処か、無理をしているようにも見える。
 俺は…どうするべきだろう。いつも通りに振る舞うか、それとも…。
「……………」
 のぼせたか、少し頭がクラクラする。
 湯の温度が熱い…、出る…か。

 浴衣を着た。
 姉貴が詰めていた着替えというのは殆どが下着ばっかりだったし、普通の服は帰りの時にとっておきたかったからだ。
 それに、浴衣は嫌いじゃない。このゆったりとした感じが好きだ。気分までリラックスできる気がする。


 部屋に戻ると既に姉貴が先に帰ってきていた。同じく浴衣姿で長い髪をタオルでまとめて、缶ビール片手にテレビなどを見ていた。
「あ、明。おそかったね」
 酒が入っているせいか、普段より少し陽気に見えた。
「明も飲む?冷蔵庫にいっぱい入ってるよ〜」
「…こういうところの酒って高いんじゃないのか?」
 備え付けの小型の冷蔵庫の上に載っている価格表を見てみる。…350mlのビール一本で600円。…さすがに高い。
「なぁにケチ臭いこと言ってんの。お金はあたしが出すって言ってんだから好きなだけ飲めばいいじゃない」
 けらけらと、酔っぱらいの様に笑う姉貴。こういうの、絡み酒って言うんだろうか…。
「一応…未成年なんだけどな……」
 とは言うものの、俺も全く酒を飲んだことがないというわけではない。たまに親父に勧められて飲んだりしたくらいで、まだ酒が旨いと思えるほどに飲んだわけでもない。
 それでも姉貴につき合って一本くらいは飲んでもいいかと思った。
「ああ、明。あたしの分もついでに取って。これもうカラになっちゃった」
「わかったよ…」
 キンキンに冷えたビールを2本、テーブルの上に置く。姉貴がその一本を手にとってぷしゅっ、と栓を抜く。
「かんぱ〜い」
「乾杯」
 カコン、と缶を合わせて、ビールを飲んだ。…やっぱり、美味しいとは思えない。
「はぁ、、ぁ…、明とお酒飲むの…これが初めてかなぁ…?」
 姉貴はほんのりと頬を桜色に染めて、とろんとした瞳を向けてくる。
「そう、なるかな…」
 ちびりとビールを口に含む。
「あたしさぁ…、あんまりお酒好きじゃないんだ……」
「俺も好きじゃないかな」
 ちびりと、口に含む。
「…明と一緒に飲んだら、少しは美味しいかなって思ったけど…あんまり変わらないや……」
 クスッ、とつまらなそうに笑う。
「明、あんたが考えてること、当ててあげようか?」
「………?」
 急に、姉貴は少し真面目な顔をしてテーブルの上にずいと乗り出してくる。
「『なんで急に旅行に連れてこられたのか?』……でしょ?」
「……車を買って金が余ったから、じゃないのか?」
 俺は態と惚けた。
「ふふっ…、そうじゃないって気づいてるくせに…」
 姉貴がちびりと、ビールを口に含む。
「…わたし、ね。最近明のこと避けてたの…気づいてた?」
「…当たり前だろ。あんなに露骨に…」
 俺が不満そうに言うと、あははと姉貴が笑う。
「ふふっ、ごめんね。…少し考えたいことがあったから…明と一緒にいると…ちょっと…ね」
 俺も、ちびりとビールを口に含む。
「その考えたいことってのと、旅行と、何か関係してるのか?」
「ううん…、結局一人で考えても分からないって気づいたから…、だから旅行は今まで明に寂しい思いをさせたお詫びのつもり。…納得いった?」
「……………」
 正直に言えば、納得がいかない。
 結局姉貴が言った『考えたいこと』とは何なのか、それが気になった。
 聞けば、姉貴は教えてくれるだろうか?それとも、それは無粋か…。
「なんとなく、納得いった…」
 ちびりと、口に含む。
「そ、か。良かった…これで普通に旅行を楽しめるわね」
「…楽しいかどうかは、明日の日程次第かな。予定は決めてるのか?」
「ん、それなりにね」
 姉貴は曖昧な返事を返すと立ち上がってまた冷蔵庫を開いて、缶ビールをまた2本持ってくる。
「姉貴、俺はもういらない…」
「そう?じゃあ、あたしが2本飲もうかな」
 そう言う姉貴自身、ふらふらとおぼつかない足取りだ。ふらふらついでに、さっきまで自分が座っていた側じゃなく、俺の隣にぺたりと座り込んだ。
「あはっ…巧く歩けないや」
 確信犯的な笑みを浮かべて、すりりとすり寄ってくる。ふわりと、石鹸の香りがして…。
「ふふっ、何堅くなってんのよぉ…。いつもみたいにがばーっ!っと襲ってこないの?」
 エサをねだる猫のように、姉貴がすり寄ってくる。いや、すり寄るだけじゃない、ぞぞぞと浴衣の胸元から手を差し込んでくる。
「いやっ…ちょっと……」
 何故か、緊張した。家じゃないからか、それとも姉貴と一緒に居られなかった期間が長かったからか、どうもそういう行為に対して抵抗を感じる…。
「明が襲わないんなら―――」
 ふいに、姉貴は不適な笑みを浮かべて、ぐいと缶ビールを呷って―――
「んくっっっ!?」
 突然、押し倒された。そのまま唇を奪われて、舌と一緒にビールを流し込まれる。
「んっ…ぷっ!」
 くちゅくちゅと姉貴と、俺の舌でビールをかき混ぜる。とろりとアルコールの香りが口いっぱいに広がって普通に飲むのより何倍も酔わされるような…。
「は、、、ぁ……」
 姉貴が唇を離して、熱っぽい吐息。のしっ、と跨ぐようにして俺の上に載ってくる。
「ふふっ…家じゃないから…かな?明が大人しいのは…」
 目を細めて、ふふりと笑う。
「大丈夫よぉ…? ここは”そういう客”が来る所なんだから………ちょっとくらい大声出したって誰もこないんだから…」
 そう、言われても…緊張がほぐれないのは俺が小心者だからだろうか…?
 姉貴は、マグロのままの俺を不満そうに笑うと、
「くすっ…じゃあ、あたしが襲っちゃおうかな」
 ゾクリと背筋が冷える、笑み。ざわざわと姉貴の指が蜘蛛のように這ってきて、俺の浴衣をはだけさせていく。
「っ……」
 何故か恥ずかしかった。もう何度も姉貴の前で裸は見せたというのに、姉貴に脱がされるというのが恥ずかしかった。
「んっ…明、、、顔赤いよ…?」
 姉貴が囁きながら、被さってくる。ちゅっ、と頬にキスをされて、そのままぺろりと舐められる。
「ねぇ…明?」
 囁かれて、ぞっ…と耳に姉貴の舌。つつつと、這ってくる…。
「っ…何、だよ…」
 ぶっきらぼうにしか、言葉を出せなかった。
「明…さ、わたしのこと考えて…オナニーしたことある?」
「なっっ…!」
 耳を疑った。姉貴の口から『オナニー』なんて言葉が飛び出したのが信じられなかった。
 驚く俺を見て、姉貴はクスリと笑う。そして、囁いてくる。
「わたしはね、あるよ。明のコト考えながら…3回くらいかなぁ…」
 普段の姉貴からは、考えられない発言だ。本当だとしても、冗談だとしても。
 明らかに酔っている。しかも悪い意味で。
「ねぇ…明もあるんでしょ?白状しなさいよ」
「っっ…」
 はむっ、と耳を噛まれた。くわえ込まれた部分を、そのままちろちろと舌で弄ばれる。
 っっ…理性が、溶ける!
「…俺も、ある」
 白状、してしまった…。すると姉貴は俺の耳たぶを解放して、代わりに耳元に、
「何回くらい?」
 そんなことを聞いてくる。しかも…妙に嬉しそうな口調で。
「…覚えてるわけないだろっ…そんなの…」
 そう、覚えているわけはない。姉貴と体を重ねるまでは、ずっと…そうだったのだから。
 逆に言えば、姉貴と体を重ねてからは一度もしたことはなかった。考えてみると妙な話だ。
「ふぅん…、数えられないくらいしたんだ」
 姉貴はにっこりと微笑むと、勝手に結論を出してしまう。まぁ…確かにそれが本当なんだけど、釈然としない。
「なんか、嬉しいな。そんなに…わたしのこと想ってくれてたんだ…」
 つっ、と口に姉貴の唇。そのまま、ぺろりと唇を舐めると、唇はつつと首の方へ下がってくる。ちゅっ、ちゅっ…と時々、跡をのこす様に吸い上げながら、胸板まで。
 ゾクゾク…するッ。
「明の中のわたしって…どんなことされたんだろ…、気になるなぁ…」
 ちゅっ、と乳首を吸い上げて、姉貴がそんな言葉を漏らす。
 …さすがに、言えるわけはない。
「私の中の明はね、丁度今みたいな感じだったよ?無抵抗の明を、私が無理矢理犯すの…。だから、かな? なんか…デジャヴみたいで、思い出しちゃった」
 …でも、姉貴は言う。聞いてもいないのに…。
 今度から、何か姉貴に喋らせたいときは酒を飲ませるといいのかもしれない…。
「ふふっ、ホントに…大人しいんだから…」
 姉貴の手が、胸板の上を、腹の上を這う。
「ッ…!」
 トランクスの上から、にぎにぎと握られた。やばい、今夜の姉貴は、積極的だ…。
「ちょっと、濡れてる…。男も…濡れるんだ…」
 姉貴の手が、トランクスの中に入ってくる。さわさわと、撫でるように愛撫してくる。
 っっ…だんだん、我慢が効かなくなってくる。
 いや、そもそも何故俺は我慢をしていたのか、する必要などないのに、姉貴がこんなに大胆になっているのに。
 …姉貴が大胆だから、なのかもしれない。もう少し、姉貴の好き放題にされてみたい…なんて、思ってしまう。
「ピクピク震えて…なんか、可愛い…な」
 酔った姉貴は勝手にトランクスの中から剛直を解放してしまう。
 グン、と天を仰ぐと言うよりはヘソに反り返るというのが正しいその塊を、姉貴の手がギュウと握りしめる。
「っっ…姉貴ッ……」
 反射的に、声が出てしまった。そして、しまったと思った。姉貴がにまっ…と意地悪な笑みを浮かべたから。
「舐めて…欲しい?」
 くち…くちゅっ…。
 鈴口から僅かに漏れている透明な液を、親指の腹で亀頭全体に塗りつけるような、そんな姉貴の仕草。
 こんな状態で、舐めて欲しくないと言えるヤツが居たら、そいつは多分、健康な男子じゃない。
「っ……」
 勿論俺も、健康な男子だ。だから、姉貴の問いに頷いた。
「ダメよ、明。ちゃんと…口で言うの」
 いつもの姉貴なら、頷くだけでも続きをしてくれていたのに、今日の姉貴は厳しい。というかいつもより数段意地悪。
 さらに焦らすように、剛直を握りしめたまま指の動きすら止めてしまう。
 焦燥…するッ。
「っっ…舐めて、欲しいッ、姉貴の…舌で……」
 吐息混じりに、口から言葉が飛び出した。姉貴が、満足そうに微笑む。
「ふふっ、しょうがないわね…、ホントに…明はスケベなんだから……んっ…」
 ぞっ、と姉貴の舌が触れてきた。そのまま裏筋をぞぞぞと舐め上げてくる。
「っっ!!」
 腰が、跳ねた。いつもより数段気持ちよかった。
 久しぶり、ということもある。だが、この気持ちよさはそれだけじゃない気がする。
 酒…か?
「くすっ、明…可愛いよ…。もっと…してあげる……はむっ…んッ…」
 れろりと、姉貴の舌が這ってくる。ぬらぬらした唾液を塗りつけるように、剛直そのものの味を愉しむように。
 舌だけじゃなく、時々唇で吸い付いてくるのが、またいいアクセント。
 ゾクゾクがっ…だんだん大きくなってくる…っ!
「っっ…!!!」
 意味もなく、両手で姉貴の頭を掴んだ。腰を突き出すようにして、姉貴の愛撫に没頭した。
「んっ、明…ぁっ…あむっ、じゅるっじゅっ…ちゅっはぁ…むっ…んんんっ…」
 じゅるりと姉貴の口の中に、剛直が飲み込まれる。
 膣の中とは違う感触。舌と唾液でたっぷりと舐められながら、時折強烈に吸われる。
 ほどよく歯が当たって、軽く引っ掻くような感じになるのが…またっっ…ッ。
「あ、ねきっっ!!」
 急に、来た。根本に蓄積していたドロドロが一気に弾けた。
 ドクンと、腰が跳ねるっ。
「っっ!!」
 姉貴が驚いたように顔を顰めた。その口腔内にどぷどぷと、噴火する火山のように濁液を吐きだした。
「っっく…かはっ、けほっ…!」
 苦しそうに姉貴が唇を離した。途端、ドビュッと白濁が溢れて、姉貴の顔を汚した。
「はぁっ…はぁっ……」
 何度も、何度も。
 打ち上げ花火のように白濁が溢れるたびに、気が遠くなるような、そんな規模の快感。
「けほっ…けほッ…、ごめん…噎せ…ちゃった…」
 べっとりと白濁を顔に貼り付けて、姉貴が謝った。…どうして謝る必要があるのだろう?
 とにかく―――、と俺がテーブルの上のティッシュ箱を取ろうとすると、それを姉貴が止めた。
「大丈夫…、明の…だから」
 そう言うと、姉貴は顔にかかった白濁を指に絡めてぺろりと口に含んだ。
 そのまま俺の腹や胸板の上に散った液も、ぴちゃぴちゃと舌で舐め取っていく。
「姉…貴、」
 姉貴のそんな行動に、驚くとか…喜ぶとか…そういうリアクションが取れなかった。
 ただ、呆然と、俺が出した精液を舐める姉貴を見つめることしかできなかった。
「んっ……いつもより、ずっと早かったね…」
 出す前に一言言ってくれればいいのに、と避難の目を向けてくる。
「…そんな余裕、無かったって、…姉貴が、巧いから」
「巧い?…そんなに上手だった?気持ちよかった?」
 嬉しそうに聞いてくる、たとえ下手でも上手と答えてしまいそうな聞き方だ。
 もちろん、俺は頷く。
「そっかぁ…、やっぱり練習って効果あるんだ」
「練習っ!?」
 思わず、素っ頓狂な声を上げてしまった。
「れ、練習って…何したんだよ!?まさか…」
「ん、秘密。浮気はしてないから、安心して」
 にやにやしながら、姉貴が俺の鼻をツンと指先で突いてくる。
「…もしかして、妬いた?」
「や、妬くって…何にだよ!」
「……バナナとかストローとか…かな?」
「………………………」
 安心したような、呆れたような、嬉しいような…。
「なによ、その顔は…。折角明の為に頑張ったのに………………」
「いや、それは嬉しいんだけど…」
 確かに、嬉しい。わざわざそんな…練習というか特訓までしてくれてたというのが。
 姉貴は俺の想像以上に、多分…俺のことを想ってくれてたんじゃないかと思う。
 それなのに、俺は姉貴が相手をしてくれないと勝手に一人で拗ねて、ガキだったわけだ。要するに…。
 なんか…恥ずかしく、なってきた…。
「こらっ、なによ…あたしが目の前にいるのにうわの空?考え事?」
 ぺちぺちと、頬を叩かれて正気に戻った。
「…二人きりの時くらい…あたしのことだけ考えてくれても…いいのに……」
 つまらなそうに、姉貴が言う。…胸が苦しくなった。
「考えてたよ、姉貴のことを…」
「嘘っ、あんまり楽しそうな顔じゃなかったわよ?」
「…姉貴から見たら、俺なんてまだまだガキなんだろうなって…そう思ってた」
「今更なに言ってんの、そんなの当たり前じゃない。あたしの方が3つも年上なんだから」
「そう…だよな」
 もう少し、俺も大人に、姉貴に釣り合う男になりたいと思った。うん、とりあえず子供扱いはされたくない。
「それにね、明?」
「何?」
 ちょっと顔を赤くして、言いにくそうに。
「…そこをそんなにして、真面目な台詞言っても…なんか………」
「……………」
 確かに、姉貴が言うとおりに俺自身はギンギンだった。
 若いって…無知で無謀って意味なんだっけ…。
「じゃあ、俺も…自分に素直になろうかな」
 手を伸ばして、姉貴の浴衣をばっ、と左右に開く。
「きゃっッ…ぁっ、、、」
 ぷるんっ、と小振りな姉貴の胸が露わになる。その片方の頂を、そっと突く。
 姉貴が可愛い声を上げて、急にしおらしくなる。
「姉貴、少し胸大きくなった?」
「えっ、…そう…なのかな……自分じゃ、分からない…けど……」
「揉めば大きくなるっていうのは本当だったのかな?…だったら、もっと揉めば……」
 むにゅっ、と膨らみを手のひらで押し上げるように揉む。
「あっ、…」
 それだけで、体を震わせて声を上げる姉貴。敏感な姉貴。
「明、待って…ベッド…行こ…?」
 熱っぽく声を荒げながら、そんなことを言ってくる。
 断る理由なんか、無いだろう?


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