フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ受章
『星の王子さま』 Le Petit Prince
2006年12月23日(土・祝)〜24日(日) レパートリーシアターKAZE
作 :サン=テグジュペリ SAINT-EXUPÉRY
訳 :内藤濯 岩波書店刊
構成・演出:浅野佳成
音楽:八幡 茂 舞台美術:松井るみ 照明:坂野貢也
効果:深川定次 衣裳:出川淳子 舞台監督:山根大
製作:佐藤春江
後援:フランス大使館
〈キャスト〉
王 子:白根有子 飛行士:西垣耕造 ヘ ビ:酒井宗親
キツネ:工藤順子 花 :仲村三千代 星の住人たち:栗山友彦
■1989年の初演以来、1300ステージを超える上演を続け、
文化庁主催「本物の舞台芸術体験事業」をはじめ、全国の若い観客を対象とした
全国巡演公演を重ねているKAZEの代表作。
サン=テグジュペリの限りない優しさと励ましのメッセージは、
60年を経てなお生き続け、私たちに送られている−。
入場料…………当日4000円/前売3800円
学生割引3300円(全席自由席)
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12/23[土・祝] |
24[日] |
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2:00 |
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6:00 |
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レパートリーシアターKAZEと『星の王子さま』
生きることを見つめ直すサン=テグジュペリの詩情溢れるメッセージ
『星の王子さま』は第二次世界大戦のさなか、1943年に作者が亡命中のアメリカで出版され、いまなお年令を問わず全世界の人々に愛され親しまれている、フランスの作家サン=テグジュペリの名作です。
作品の冒頭に「すべての子どもだった大人へ」と献辞が書かれています。つまり、子どものための童話ではなく、大人のために向けられた《生きる意義》を見直すファンタジーです。作家サン=テグジュペリは、プロペラ機時代の優れた飛行士でした。『星の王子さま』も、砂漠に不時着した作者自身の体験が生かされています。
「かんじんなことは目には見えない」 見るとは、友情とは、生きる価値とは
見渡す限りなにもない砂漠に不時着した飛行士と、小さな小さな星からやってきたという王子さまの出会いと別れを描いた、不思議な夢のような物語。
ふたりの間には友情が芽生え、王子さまは巡り歩いてきた他の星々での見聞を語ります。また、王子さまは砂漠で出会ったキツネから「かんじんなことは目には見えない。心で見なければ」というメッセージを受け止めます。しかし、やがて王子さまには自分の星に帰らなければならない別れの刻がやってきます。一瞬のまばゆい光とともに王子さまは姿を消し、一緒に行きたいと願った飛行士は、誰もいない砂漠にただひとつ星が光っている鮮烈な思い出とともに取り残されるのです。
いまやこの地球上で、誰もが飢餓や貧困や差別と戦う意義を知りながら、人間存在の危機感におののくしかない現代人。とかく時間に追われ、自分すらも見失いがちなさびしい人生。
いったい懸命に生きる価値とは何なのか。人間らしい「いのちの輝き」の一瞬に出会えるとはどういう時なのか。
サン=テグジュペリは『星の王子さま』という「出会いの場」をわれわれに提示して、生命や友情や《生きる意義》への想像力を刺激するのです。「かんじんなものは目に見えない。心で見なければね」と。
KAZEのレパートリー『星の王子さま』 1300ステージ
1989年、新宿シアターアプルでの初演以来、北海道から沖縄まで1300ステージ以上の上演を重ねてきました。1995年からは、文化庁「本物の舞台芸術体験事業」として高校生・中学生・小学生を対象に、「教師と生徒もドラマの中に参加する参加型」の実験的上演を続け、評価を得ています。
生徒さんたちからは、KAZEホームページの掲示板や、手紙、感想文といった形で率直な感想が日々私たちに寄せられ、さまざまな出会いが生まれています。
日本における『星の王子さま』の上演
1994年には、サン=テグジュペリ作品の著作権継承者であったフレデリック・ダゲイ氏とその代理人であるガリマール社のジャクリーン・スーフィー氏がKAZEの稽古場を訪れ、上演作品の内容について討論を行いました。そこで適切な助言もいただき、構成・演出も一新しました。
また、演出スタッフや俳優が何度かパリを訪れ交流を重ねてきましたが、2004年にはサン=テグジュペリ遺族の会代表のオリヴィエ・ダゲイ氏と、ガリマール社のフレディック・マサール氏が来日し、香川県の小学校での公演を鑑賞されました。
そして今年、『星の王子さま』の上演を通してフランス文化を日本国内に普及させるために貢献したとの評価により、フランス共和国文化通信省から芸術文化勲章シュヴァリエを叙勲されました。
サン=テグジュペリは、今もなお、若い精神に限りない優しさと
励ましのメッセージを送り続けているのです。
そしてKAZEの『星の王子さま』は、戦後60年を迎えた現在、
とかく経済優先で市場論理が先行し、地球環境や人間の生命が
軽く見られる時代風潮の中で、ひたむきに《生きる意義》を見つめ直し、
同時代を生きる仲間に友情と命の尊さを訴えるファンタジーの舞台です。