マサラ日記     previous«  »next

3月31日(金)
           

 仕事からの帰り、新宿駅あたりで、なぜか頭の中を『キャプテン・ビヨンド』のデビュー・アルバムの曲が曲目順に鳴り響く。疲れているのか?

 ハード・ロックになる前のディープ・パープルの初代ボーカル、アイアン・バタフライのギターとベース、さらにジョニー・ウィンターのところにいたドラマーが1972年頃に結成した短命のバンドだが、デビュー盤の充実ぶりは特筆もの。ヘヴィでハードなロックだが、そのオリジナリティはスゴかった。

 この人たちの場合、曲の構成がやたら変。ドラマーのボビー・コルドウェル(甘口のシンガーで同姓同名がいたが、まったくの別人である)がキー・パーソンだったが、この人がほぼ全曲の作詞作曲に絡んでいる。おそらく変なノリの曲づくりは彼の才能の賜物だろう。ドラマーとしてもバツグンだが、異能のコンポーザーでもある(今はフロリダあたりで、ドラムの先生をやっているらしい。もったいない)。

 西荻窪駅に着く頃まで、ずっとキャプテン・ビヨンドが頭の中で鳴っていた。妙な気分である。

 家に帰ったら、午後9時。まとまったものを食べる気も、また、つくる気もせず、インド・オムレツを焼いて、パンとビール。
 インドのオムレツは、薄く平べったく焼く。
 基本はプレーンだが、青唐辛子のチョップ、タマネギのみじん切り、トマトのみじん切り、香菜、砕いたブラック・ペパーなどを混ぜることがほとんど。
 衛生上のこともあり、現地では中まできちんと火は通し、レアで仕上げることはまずない。
 大昔、麹町「アジャンタ」で修業中、当時店のメニューにあったオムレツのオーダーを中味レアで仕上げたら、師匠であるシェフにやんわり注意された。「レアはダメよ」と。日本ならば、レアでいいと思うのだが…。
 インドだと、とくに北の方だと、鉄道駅の構内などでオムレツを焼いてパサパサのトーストにはさんでくれる屋台などもある。何の変哲もないが、妙にリピートしたくなる味わいだ。

 ビールをグビクビ飲んで、食事したら、キャプテン・ビヨンドはストップしていた。空腹の幻聴か。

(日記を書いているときのBGM:ロキシー・ミュージックに続いて、再結成するらしいクーラ・シェイカーのデビュー盤。強力なインドへの執着ぶりが再び発揮されることを期待したい)