マサラ日記     previous«  »next

3月6日(月)
           

 ここのところ、なぜかローリング・ストーンズの初期のベスト盤CDを引っ張り出してよく聞いている。『BIG HITS〜 HIGH TIDE AND GREEN GRASS』というやつで、1曲目が「マザー・イン・ザ・シャドウ」で2曲目が「黒くぬれ!」、もちろん「サティスファクション」や「一人ぼっちの世界」も収録。

 中学生の頃、周囲がビートルズ派とストーンズ派に分かれていた。ちょうど、「悲しみのアンジー」がヒットしていた時代である(少し前、トレンディドラマの主題歌にこの曲が使われていて、大いに違和感を感じた)。
 私はストーンズ派で、ビートルズはポップでメジャーなだけとバカにしていた。ビートルズの本当のスゴさがわかりはじめたのは、20才ぐらいで自分で曲をつくりはじめてからだろうか。さらにビートルズはいいなあと思ったのは、インドに関わるにつれてだろう。

 しいていえば、ビートルズはロックの枠を超えた名曲を創り、ストーンズはあくまでロックっぽさにこだわり、彼らが影響を受けた黒人音楽を昇華させる形で名曲を創造していったようにも思える。比較はナンセンスで、どちらも素晴らしい。

 ストーンズの曲に好きなのはたくさんあるが、やっぱり「黒くぬれ!」は別格だ。
 とにかく、ブライアン・ジョーンズのシタールをはじめとしたサウンド全体が死ぬほどカッコいい。歌詞も文学的というか特異で秀逸だ(こういうところに、実はインテリなミック・ジャガーのセンスが光る)。
 私が音楽的にインドに興味を持つようになったのはジョージ・ハリソンではなく、ブライアン・ジョーンズなのである。黒人ブルースの探求から入って、世界のいろいろな音楽に興味が及ぶようになったのは彼のおかげだし、ファッション的にも、彼は私の見事なお手本だ。

 さまざまな楽器を自在に操る天才でありながら、彼にはストーンズで名曲をつくることができなかった。それが、最期、自宅のプールで溺死体となる原因だったのかもしれない。2月28日の彼の誕生日から1週間、「黒くぬれ!」を聴きながら、そんな彼の人生の不思議を考える。

 ブライアン・ジョーンズについてはコチラもどうぞ。

(日記を書いているときのBGM:「黒くぬれ!」。1966年5〜6月の全米・全英ヒットチャート・ナンバーワンでもある)