Music Academy

極私的インドとロック パート1 〜ブライアン・ジョーンズは文句なしにカッコいい〜

「そもそも、どうしてインド料理を選んだのですか」とか「なぜにインドなのですか」ときかれることがある。
「いや、もともとロックとか好きでしてね。だから」
 というと「はあ」とかいったまま引いてしまう人がけっこう多い。
 要するにロック→インドの図式が十分に理解していただけないのである。
 
 私が洋楽を聴きはじめた70年代初頭、未だロックとはライフスタイルや意思を表現する手段のひとつだったし、音楽が人の精神や社会のあり方を変革しうるとまだ信じられていた。
 そうした中、私の好きだったアメリカやイギリスのロック・ミュージシャンはみなインドと何らかの関わりを持っていた。
 ビートルズのジョージやジョンはいうに及ばず、私がとくに気にしていたのはローリング・ストーンズの故ブライアン・ジョーンズ、レッド・ツェッペリン、ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリクスといった人々である。
 これらリスペクタブルなミュージシャンのことを語ることからはじめよう。

 はじめてブライアン・ジョーンズを意識したのはpaint it black「黒くぬれ」だった。
 イントロのシタールからぶっとび、タブラの入った扇情的なリズムにのけぞった。陰影に満ちた曲調ともども文句なくカッコいいと思った。
 それからレコードのみならず、雑誌や文献でも彼を追いかけた。すると出るわ出るわ、シタールを持ったポートレートやタブラを叩く写真がたくさん。さらにプライベートのコスチュームなども、ときに何ともインドっぽかったりした。おかげで彼は、今でも私のファッションにおける師匠の一人である。
 とにかく、インドやマグレブ音楽をはじめとして、ロックに世界の音を持ち込むことの素晴らしさ、あるいはワールド・ミュージック的音楽観を最初に教えてくれたのが彼だし、「ロックにおけるすべてのインドっぽいカッコよさ」の基盤を私に植えつけたのも、すべてこの人物である。
 楽曲でいえば前述のpaint it black、アルバムでは『aftermath』がまずは必聴だ。ソロ・アルバム『joujouka』もいい。


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