Q1.…初舞台の時の印象はどうでしたか? |
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狂言では、「猿に始まり狐に終わる」という言葉があり、狂言「靱猿」の子方で初舞台を踏むのが慣例です。私も5歳の時に勤めましたが、とても楽しい経験だったと記憶してます。子猿の役ですので、そのしぐさを師匠から教わり、真似ることによって稽古していきます。またこの曲は舞事も大事な要素ですので、ひたすら型をおぼえていくわけです。随分長く稽古したようですが、ひとつの型をおぼえて、出来るようになると、うれしかったですね。初舞台の時は不思議と緊張せず、楽しく勤めました。その後は多くの狂言で子方を勤めることになりました。 まぁ子供の頃はそれでよかったんですが、その後成長してくると、大変険しい道のりとなるわけですね(笑)。今でもそうですが・・・。
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Q2.…母校(宝塚北高校演劇科)の思い出などお聞かせください。 |
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ここでは、高校の通常授業とともに、演劇の基礎的な事が学べるカリキュラムでした。演劇の基礎である「劇表現」や「クラシックバレエ」「古典芸能」「声楽」など多々の授業があります。柔軟性があまりないので、舞踊系の授業は苦戦しましたね。よく狂言になっていると言われましたが・・・。ただ、ジャンルは違えども、舞台としての様々な技術や考え方が学べたのは非常に有意義でした。
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Q3.…今までで印象に残っている演目や役はなんですか? |
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やはり狂言「釣狐」でしょうか。この曲は、狂言の中でも最高秘曲に位置づけられていて、非常に大事に扱われます。また数々の秘伝や習い事があり、狂言の卒業論文といったところでしょうか。 曲のありすじは、ある老狐が一族の危機の為に、猟師の伯父に化けて、狐狩りをやめるよう、説得をはかります。しかし帰途で捨て罠を見つけた老狐は本性をあらわし罠の餌を食べようとします。 この曲では、猟師の伯父である「白蔵主」の出立ちの装束の下に、狐の皮の装束を着込んでいます。また、四つ足動物である狐が2本足で立っている様を表現するために、ひざを深く曲げ、わきをしめ、前傾姿勢で演じます。装束の重み・熱による消耗など、体を酷使したうえに、数々の口伝・習い事を勤めることが要求されます。 私も23歳の時に勤めましたが、当分絶対に勤めないと堅く思いましたが・・・そろそろ勤めてもいいかなと思うこの頃です。
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Q4.…オフの過ごし方を教えて下さい。 |
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まとまった休みがあればキャンプに行きます。自然の中で、旨い料理とビールで乾杯はとても良い気分転換になります。また元気であればMTBトレッキングもタマに行きますが・・・なかなか(友人たちと)休みが合わないので閉口します。まぁ、さしあたっては飲みに行くのが多いですね(笑)。
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Q5.…今はまっているものはなんですか? |
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これは言えません(笑)
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Q6.…狂言の魅力とは? |
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狂言は単純に古典としてくくられるものではありません。今も昔も変わらない、人間の本質を笑いを通して、鮮やかに描き出した文化。能楽舞台の上に、様々な世界が作り出され、笑い、共感し、考えさせられますね。
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Q7.…これから初めて狂言を見る人に一言。 |
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狂言という単語は認識されたかもしれません。ただし、まだまだ狂言の魅力まで広まったとは思っていません。是非、たくさんの舞台をご覧になって、お客さんそれぞれのアプローチで、狂言を楽しんで頂ければと思います。
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…ありがとうございました。 |