35,染料の原料は・・。

鉄Feと塩酸HClを用いてニトロベンゼンC6H5NO3を還元するか、ニッケルや銅などの触
媒を用いてニトロベンゼンC6H5NO3を水素H2で還元すると アニリンC6H5NH2 という。
アミノ基−NH2 を持つ物質ができる。アニリンC6H5NH2 無水酢酸(CH3CO)2O と反応
させると アセトアニリドC6H5-NH-CO-CH3 と酢酸CH3COOH ができる。アセトアニリド
はアンチフェブリンともよばれ、100年以上も利用されてきた 解熱剤 である。
 C6H5-NH2 + (CH3CO)2O → C6H5-NH-CO-CH3 + CH3COOH
 
アニリンC6H5NH2を塩酸HClに溶かし,亜硝酸ナトリウムNaNO2水溶液を冷却しながら
加えると塩化ベンゼンジアゾニウムC6H5N2Clが得られる。これにフェノールC6H5OHの
水酸化ナトリウム水溶液を加えると橙赤色の p-ヒドロキシアゾベンゼン C6H5-N=N-C6H4
-OH が得られる。
 
p-ヒドロキシアゾベンゼン C6H5-N=N-C6H4-OH の-N=N-はジアゾ基といい、この2重結
合にかかわる部分の電子が目で見える光の色を吸収するので 発色団 という。また水酸基
-OH は発色団の電子に影響を与えるので 助色団 という。
 
ジアゾ基をもつ芳香族化合物と他の芳香族化合物からアゾ化合物を生じる反応を カップリ
ング という。カップリングによって数多くの鮮やかな染料が合成されている。
 

そこで問題だ。
アニリンは酸か、塩基か。
 
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答え、塩酸など酸によく溶ける炭素化合物なので塩基である。アミノ基(−NH2 )は一般
に塩基である。

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