28,化学の定番・系統分離

試料にどんな金属元素が含まれているか調べるには先ず高温で焼いて酸化物にし、濃硝酸
でぐつぐつ煮るのよ。これですべての金属元素は水に溶ける 硝酸塩 (NO3を含む化合物)
になるってことさ。
 
各金属元素は溶液から適切な試薬を加えて沈殿をつくり、 ろ過して分離 する。陽イオンに
なりやすい金属(金属のイオン化傾向が大きい)は沈殿をつくりにくい。金属イオンは酸
性で沈殿しないが、アルカリ性(塩基性)では沈殿するものあり。こうした化学的性質を
利用する。
 
第1属・希塩酸を加えると、Cl-で沈殿する金属イオン。
第2属・そのろ液に硫化水素H2Sの気体を通す。S2−で沈殿する金属イオン。.
第3属・更に、そのろ液煮沸して硫化水素を追い出し、希硝酸と十分なアンモニア水を加
えOHで沈殿する金属イオン。
第4属・そのろ液に硫化水素H2Sの気体を通す。S2−で沈殿する金属イオン.。
第5属・そのろ液に炭酸アンモニウム(NH3)2CO3溶液を加える。炭酸イオンCO32--により
沈殿する金属イオン。
第6属・最後まで沈殿しない金属イオン。
 
第1属の金属イオンはAgCl(白)、PbCl2(白)、Hg2Cl2(白)の沈殿となっているが、
AgCl(白)は光に当たると黒紫色になり、アンモニア水を加えると銀アンモニア錯イオ
ンとなり溶ける。更にPbCl2(白)は熱水に溶解する。残りはHg2Cl2(白)の沈殿である。
 
第2属から第6属もそれぞれの金属イオンの化学的性質で確認できる。このように第1属
から順に分離して行く方法を 金属の系統分離 というのです。
 
現在では金属元素の検出は各種 クロマトグラフィー や電磁気を使った様々な方法が確立さ
れている。系統分離による方法はあまり用いられないが各金属元素の化学的性質を学ぶに
は良い。
 

そこで問題です。
硝酸は酸化力のある酸です。硫化水素は還元作用のある気体です。還元されたFe2+ が
Fe3+ にもどされているのは第何属の操作でしょう。

2006.1.11         

*質問があったらここをクリック*
 
 
答え、第3属・(硫化水素を追い出し、希硝酸を加えた)

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