27,金属錯塩は美色じゃ

硝酸AgNO3 溶液に アンモニアNH3水を加えると茶色いどろどろしたものができてくる。
どんどんアンモニア水を加え続けると、あれっ、ふわっと無色透明になるじゃないの。
薄い硫酸銅 CuSO4溶液にアンモニア水を加えると青白いどろどろしたものができてくる。 
どんどんアンモニア水を加え続けると、あれっ、透明で青紫色になるじゃないの。
 
これは水と仲良しのアンモニアの分子が銀や銅のイオンにくっついた(化学結合した)か
らなんだよ。それぞれ、銀アンモニア錯イオン[Ag(NH3)2]+と銅アンモニア錯イオン
[Cu(NH3)4]2+になった。
 
コバルト(V)イオンCo3+ は典型的な錯イオンをつくることで知られている。
塩化コバルト(U)CoCl2水溶液に塩化アンモニウムと活性炭(炭の粉)、アンモニア水を
入れて、この混合液の中にぶくぶくと空気を通し、2,3時間したらろ過する。
 
赤褐色のろ過液の中には生成したコバルト(V)アンモニア錯イオン[Co(NH3)6]3+ が含ま
れる。活性炭は触媒といって反応の前後には変化していない物質だけれども反応速度を速
めるために加えるものです。
 
[Co(NH3)6]3+ は正式(学名といいます)にはヘキサ(6)アンミン(NH3)コバルトV(Co3+)
オンといいます。コバルト(V)イオンにくっついた(結合した)アンモニア分子を配位子
といいます。
 
配位子は非共有電子対を金属イオンと共有することによって結合しています(アンモニア
NH3 は 共有電子対 N:H を3つと 非共有電子対 N: を1つもっている)。[Ag(NH3)2]+
直線形、[Cu(NH3)4]2+正四面体、[Co(NH3)6]3+正八面体金属錯イオンとよばれる。
 
金属錯イオンは可視部の光線に吸収帯を持つので美しい色をしているものが多い。錯イオ
ンの吸収スペクトルの分析から化学結合の様子を知ることが出来る。また、金属錯イオン
は種々の触媒にも用いられている。
 
EDTA(EエチレンDジアミンTテトラ酢酸【酢酸はAアセチックアシド】は2つの窒
素Nと4つの酸素Oの部分で金属イオンを包むようにして安定な錯イオンをつくるので、
飲みこんだ毒性の金属イオンを遮蔽する(毒性を無くする)のに使われたりする。
 

そこで問題だ。
 フェリシアン化カリウム、別名「赤血塩」はK3[Fe(CN)6] ヘキサシアノ鉄(V)酸カリ
ウムという化学式で表します。 [Fe(CN)6]3- は直線、正四面体、正八面体のどれか。

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答え、正八面体

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