26,脱水症には点滴だ
 
昨年の夏、水も飲まずに山仕事をしていたら目が回ってぶっ倒れた。幸い吾が娘が見つけ
て菰野厚生病院へ運んでくれた。医者は「脱水で血液どろどろになったんやなあ」、と言
って一時間かけてリンゲル液を点滴してくれた。
 
リンゲル液は血液と同じ重量モル濃度である。重量モル濃度とは水1kgに溶かされた溶質
粒子のモル数で表される濃度のことである。細胞は半透膜といって、水のような小さな分
子は通すが蛋白質のような大きな分子は通さない膜でおおわれている。
 
大豆は水につけるとふくらむ。大豆の皮は細胞膜(半透膜)でできていて、膜の中側と外
側で浸透しようとする圧力に差ができているからです。この圧力の差を浸透圧とよんでい
ます。
 
気体の圧力が分子運動(熱運動)によるのと同じように、浸透圧も溶質の分子運動による
ものです。気体の状態方程式(PV=nRT)と同じように、ΠV = nRT がなりたつ。
V:希薄溶液の体積、n:溶液中の溶質のモル数、T:溶液の温度、Π:浸透圧。

これを浸透圧に関するファント・ホッフの法則という。溶質となる試料wgの分子量をM
とすればM=wRT/ΠV だから定数R=0,082atm・l /mol・K だから、他の数値は測定で求め
られ、分子量を求めることができます。
 
人間の血液の浸透圧は約7気圧です。0.9% のNaCl溶液や5%のブドウ糖液の浸透圧も
約7気圧です。同じ浸透圧のものを等張液と呼んでいます。注射液は血液と同じ等張液を
使います。リンゲル液も等張液です。
 

そこで問題だ。
生理的食塩水を100ml作るには約何グラムの食塩がいるか。

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答え、0.9% だから 100×0.9/100=0.9   0.9g

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