東京地方裁判所 その12

懲戒手続きの就業規則違反
  1. H人事課長は、Tに「貴殿に関する懲罰審査委員会開催通知及び自宅待機命令」(甲4)を示す前、懲戒解雇の原案が固まった(H人事課長調書)と述べ、Tに事実を確認することなく懲戒解雇を固めていた。
  2. 懲罰委員会運営基準(乙11)第7条では当事者の「事実の確認」が要件となっているにも拘わらず、それがなされていない。
  3. 自宅待機命令当日には「風紀・秩序を乱し、またはそのおそれがあるとき」とし、Tに対し、自宅待機命令という処分を行った。
  4. 上記は、懲罰委員会が開催される前に、既に、処分が決定しており、懲罰審査委員会当日の懲罰委員会は、形式にすぎなかったことを明確に示している。
  5. 同運営基準第5条の3では「性格的に一方に偏しないよう人選する」とあるが、H人事課長は懲罰委員会の内容は非公開(H人事課長調書)とし、コニカは、利害関係者に対しても懲罰委員会の内容を明らかにしない
  6. 上記は、本懲罰委員会が公正に行われたものではないことを物語っている。
  7. 同運営基準第11条で労組との協議が義務づけられている。
  8. しかし、コニカは、Tが所属するユニオンとの協議を行わなかった。コニカは、現在もユニオンと団交拒否状態である。
  9. 同運営基準第13条では労働基準監督署への報告が義務づけられている。
  10. しかし、コニカは、労基法第20条に基づく除外認定の申請を労基署に対し行わなかった。
  11. コニカは、懲戒通告(甲6)で指定した口座とは別のTの口座に、予告手当を送金したが、その金額は、労基法第20条に定める1ヶ月分の賃金に満たない金額であった。コニカは、その後も不足額を支払おうとはしていない
  12. Tは、懲戒解雇を認めていないのであるから、この満額に満たない予告手当の返還を申し出たが、コニカに受領拒絶されたので供託した。
  13. 従業員就業規則(乙12)第98条には、懲戒は別に定める「懲罰委員会規程」(乙10)により懲罰委員会にはかって行う。と定められている。
  14. 懲罰委員会運営基準(乙11)第1条は、懲罰委員会規程の取り扱い補足として定める。と規程されている。
  15. よって、上記の通り、懲罰委員会運営基準に数々違反した本件懲戒解雇は、従業員就業規則第98条で定めた手続きに違反した懲戒解雇でもある。

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