4 ちょっくら台湾(その4)
おばちゃんは日本語分からないので、結局黙々とお茶を飲み、おつまみを食べていたのだが(中国語はわからないことにしといた)、そういえばさっきからガイドさんの姿が見えない。どこへ行ったのだろう、と辺りを見回すと…いた。ニコニコ笑いながら、手にたくさんのお年玉袋みたいなものを持ってこちらに向かってくる。
「さあ皆さん、両替しますよ。この袋に一万円分入っています。何度も確認しているので間違いないですが、もし少なかったら言ってくださいね」
領収書や証明書なんてない両替。手数料なしで日本円を手に入れるには、もしかしたらガイドさんにとって、なかなかベターな方法かもしれない(果たして、今の日本円にそんな価値があるのかは疑問だが)。私たちにしても、まあまあのレートで一万円ずつまとめて両替してもらえるのは都合がいい。しかもピン札だったし。新しいお金はいつもらっても嬉しいものである。
両替も終わり、いざホテルへ…と思っていると、
「さあ、みなさん。なかなかお土産屋さんに入る時間はありませんよ。ここでちょっと買い物してください」っておい、おい、2泊3日の短期旅行だよ。時間は有効活用しないと!
多少焦り気味の私をよそに、他の日本人たちは笑顔で買い物を始めてしまった。仕方なく私たちも、買うつもりもないのに土産を巡る。
「みなさーん、ここにパインケーキがありますよ」
どこまでも営業熱心なガイドさん。でもなんだか憎めないのだ。その声に乗って、思わずパインケーキを試食、購入してしまった私である。そういえば阿里山のお茶も有名だったよな、なんて記憶が蘇り、阿里山ウーロン茶まで購入してしまったのだった。
結局ホテルに着いたのは午後3時45分。ここであのガイドさんとはお別れ。「では皆さん、最終日にお待ちしてます」なんてご機嫌顔で、ガイドさんは去っていった。
もう1日目は終わりに近づいている。私たちの泊まるホテルは「一楽園ホテル」(ホテルパラダイス)。台湾一の繁華街、西門から徒歩で数分という立地条件に魅かれ、私が決めたものだ。というよりは、値段が安かったというのが一番の理由なのである。値段が安いわりには、取り立てて古いわけでもなく、きちんと動くエレベーターも付いている。部屋は5階。窓を開けると、台北の雑然とした街並みが広がった。
予 告
4 ちょっくら台湾(その5)
|