3 ちょっくら台湾(その3)
そろそろホテルに着いてもいい時間だ。
ホテルに着いたら一休みして、すぐに街へ繰り出そうか…?弟とそんな計画を立てていると、ここでガイドさんがまたマイクを取った。
「みなさん、台湾元を持っていないでしょう。これから、金龍というお土産屋さんへ寄りましょう。そこで私がお金を準備しますよ。ホテルで両替するとレートが悪いですが、私は特別のレートで準備します。皆さん使う分だけ両替してくださいね。」
台北の繁華街を通るバスの中で、ガイドさんの説明は続く。
「このみやげ物屋では、ここでしか売っていないパインケーキがありますよ。試食もできますから、食べてみてください。奥で阿里山のお茶を飲むことができます。」
そして私たちの有無を言わさず、みやげ物屋の前で降ろす。
金龍という名前にふさわしく、金と赤をモチーフにした地下一階にあるみやげ物屋。豪華絢爛な装飾が施された階段を下りると従業員一同、一斉に私たちに声をかけてきた。
「阿里山のお茶、安いですよ」
「アクアマリンのネックレスですよ」
日本人客が多いためか、こぞって日本語での勧誘が始まる。そんな店員の間を縫って、ガイドさんは私たちを店の奥へと導いていく。
休憩スペースというよりは、どう見ても、茶を売る店員が客に味見をさせるような、テーブルと8人くらいでいっぱいの長イスが並んだだけの空間。ガイドさんは、そこに私たち12人をぎゅうぎゅう詰めに座らせ、店のおばちゃんに「彼らに茶を入れてくれ」と頼んでいる。無愛想なおばちゃんは、「何で入れないといけないの」なんてぶつぶつ文句言いながらも、私たち一人一人に台湾茶をもてなしてくれる。
…悪いけど、言ってること、わかるんだけどな。ガイドさんぜんぜん段取りつけないで、勝手に話進めていたんだろうな、なんて思ってしまったが、ついでに食べてみろと促されたナッツやら何やらのおつまみがなかなかうまい。まぁいっか〜、と流すことにした。
予 告
4 ちょっくら台湾(その4)
さすが、ガイドさん。。。
次回もお楽しみに〜
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