滑脳症とは

MRIやCTなどの普及で滑脳症の診断が多くなったように最近思います
先生方の研究のおかげで、かなりの原因がわかり始めており遺伝子レベルでの研究がさらに進んでいます
  小児神経学会でも滑脳症等脳形成に関する発表も毎年あります

現在、厚生労働省精神・神経疾患研究委託費
『重症心身障害児(者)の病因・病態解明、治療・療育、および施設のあり方に関する研究』
において、脳形成障害解明のため、滑脳症親の会 lissangel も協力しております



滑脳症親の会では、滑脳症だけでなく、他の病名がついている脳の形成障害についても
1人で悩まずに一緒に取り組むことができるよう、やりとりをした上で入会も可能としています
繋がりのあるアメリカのlissencephalyネットワークの考えを原点に孤独な家族を作らない
今後の厚生労働省研究班への提案もたくさんできるのではないかと考えています


<滑脳症の分類>
滑脳症は「神経細胞の移動が障害されて起きる病気」で,主に大脳皮質のかたちが正常と異なって,さまざまな形態的特徴を示し,
それぞれの特徴により細かく分類されています
滑脳症の原因はさまざまですが,形態的な特徴と原因とは一致していることが多いため,以前から脳のみための違いで分類されていました 当初は亡くなられた患者さんの脳を調べて分類された病理分類が主流でしたが、MRIの出現により生前でも脳の形がわかるようになり、画像分類が中心になっています 
最近では、滑脳症の原因となる遺伝子異常がいくつか明らかにされ、遺伝子の働きに基づいて分類が数年ごとに修正されています

 現在(2007年)の分類を表に記しました

神経細胞移動障害 原因遺伝子
1) 古典型滑脳症無脳回厚脳回 LIS1(PAFAH1B1), 14-3-3e (YWHAE), DCX, RELN, VLDLR, ARX
2) 皮質下帯状異所性灰白質 DCX, LIS1
3) 脳室周囲異所性灰白質 FLNA, ARFGEF2
4) 丸石様皮質異形成 FCMD, POMGNT1, FKRP, POMT1, POMT2
5) 多小脳回裂脳症 GPR56, (EMX2は例外的)
6) 限局性皮質異形成片側巨脳症 不明

神経細胞移動異常症・皮質構築異常症の原因遺伝子

遺伝子 遺伝子座位 疾患・表現型
LIS1(PAFAH1B1) 17p13.3 古典的滑脳症(稀に異所性灰白質)
LIS1+14-3-ε(YWHAE) 17p13.3 Miller-Dieker症候群
DCX Xq23 男:古典的滑脳症(無脳回 厚脳回)
女:皮質下帯状異所性灰白質
FLN1(FLNA) Xq28 脳室周囲異所性灰白質、他
ARFGEF2 20q13.13 脳室周囲異所性灰白質+小頭(2家系)
ARX Xq22.13 男:XLAG水無脳症、West症候群、精神遅滞、他
女:脳梁欠損
RELN 7q22.1 厚脳回+小脳低形成(2家系)
VLDLR 9p24 厚脳回+小脳低形成(Hutterite家系)
EMX2 10q26.11 両側または片側裂脳症(稀)
GPR56 16q13 両側前頭頭頂多小脳回
XLAG;外性器異常を伴うX連鎖性滑脳症

滑脳症は一つの病気ではなく,たくさんの原因で細かく分かれます
当然のことながら様々な病気を伴うこともあります
その点をしっかりと認識して頂きたく思います

大脳皮質形成障害

1、古典的滑脳症(無脳回症ー厚脳回症) 滑脳症T型
 ・孤発性滑脳症
 ・Miller-Dieker症候群
 ・局在性滑脳症・厚脳回症(多少脳回あり)

2、丸石様滑脳症 
 ・福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)
 ・Waiker-Warburg症候群
 ・筋眼脳症候群

3、多小脳回症
 ・両眼シルビウス裂周囲多小脳回症
 ・その他の部位 両側対称性多小脳回症
 ・非対称性多小脳回
 ・裂脳症

4、片側巨脳症

5、広汎性異所性灰白質
・脳室周囲結節状異所性灰質室
・皮質下帯状異所性灰白質
・脳軟膜異所性灰白質

6、局所性異所性灰白質

                      ※随時説明文を紹介します


           滑脳症の子供達は、脳表が平滑な脳で、脳溝・脳回の認められない状態である

               無脳回  古典的滑脳症・滑脳症T型(LIS−1)
      

      妊娠7週に脳室壁が胚芽細胞層内で神経芽細胞が増殖を初め、8週には皮質に向かって遊走を開始する
      T型は神経芽細胞の遊走が停止し、最終到達点でない部位で増殖が起こってしまった病態であり、
      厚い異常皮質を特徴とする  多くの症例では、完全に脳回が欠如する無脳回症と少数の平坦で幅広い
      脳回の存在する肥厚脳回症が混在している 前者は頭頂後頭葉に、後者は前頭葉、側頭葉に多く見られる

       Miller-Dieker症候群(MDS) (滑脳症の中でも稀にある染色体異常)

      1963年にMillerが、 1969年にDiekerが報告し、1980年にこの名前がついた
      大脳は普通6層構造をしているが、それが4層になっていて、外見上では脳表面は溝に乏しくなめらかである
     遺伝形式は、常染色体優性遺伝で、染色体17p13.3の微細欠失により、お互いに無関係な複数の

     遺伝子が欠失して発症する隣接遺伝子症候群と考えられている。
     症状が重度なので親子例はないが、親が、17p13.3を含む相互転座や腕間逆位の保因者で配偶子
     形成時に17p13.3の欠失を生じて罹患児をみる例がある。
     滑脳症・特異顔貌(小頭症、側頭部の陥没、突出した広い前額・上向き鼻孔・薄い上唇・内眼角離開・鼻根部平低など)
     精神運動発達遅滞・てんかんなど。

     また心奇形・腎奇形・多指症・合指症などさまざまな先天奇形を合併し、予後不良。
     
     isolated lissencephaly sequence (ILS)  その他
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