或る高原リゾートの2018年

廃車体

古バス民族学

夏休み中のラグビー合宿での練習試合。先輩が見つめる中、ボールの奪い合いが続きます。
彼らには、そのすぐ脇にある大型バスの廃車体など、視界の片隅にも入りません。
こんな感じで廃車体が何気なく置いてあるのが、この地域の特徴です。

大型バス
廃車体
BA20

撮影:(2018.7)

元上田交通 いすゞBA20(1968年式)
BA20

撮影:(2018.7)

正統派の地元路線バス事業者の廃車体として、貴重な存在。状態も良好です。
正面方向幕には「富士山」、側面方向幕には「下之郷」と入ります。
使用方法は、農地の休憩所のようで、簡易トイレが脇に置かれるという、この地のスタンダードがここでも見られます。

廃車体
RE100

撮影:(2018.8)

自家用 日野RE100

自家用の送迎バスだった車両が、物置として地味に目立たない場所で生き延びています。保護色の茶色に塗られています。
前ドア車で、正面窓は2枚ガラス。
サッシなので1976〜77年式。

廃車体
HU275AA

撮影:(2018.7)

自家用 日野P-HU275AA(1985年式)

ついこの前に元淡路交通のエアロバスに代替された日野ブルーリボンが、秘かに置いてありました。
路線シャーシに2扉の観光ボディという組み合わせは、80年代の観光路線バスを想起させ、この地の送迎バスの魅力の一つでした。

廃車体
MR520

撮影:(2018.7)

自家用 三菱MR520

バス窓の廃車体としては、この地でも最後の1台となってしまったようです。グランド脇に置かれていますが、夏になるとこのように木々に覆われ、近づくのも難しくなります。
淡路交通カラーの青色をちょっと濃くした感じのカタログカラーで、やはり地元のホテル名が入る送迎バスでした。ウィンカーの形状から1969〜72年式。

廃車体
MP117M

撮影:(2018.8)

元成田空港交通 三菱MP117M
MP117M

撮影:(2018.8)

この地域では有名な廃車体の一つでしょうか。側面に飛び出した大きな二つの方向幕と3つのドア。いずれも成田空港の国際線旅客を輸送していた証です。側面方向幕の一つは英語を表示していました。よく見ると、「自動ドア」には「OUT DOOR」の表示が、「ワンマン出入口」には「ENTRANCE」の文字が添えられており、インバウンドなんて言葉もなかった時代から2ヵ国語展開をしていたことが分かります。
正面も大型方向幕ですが、年式は1978〜79年。

中型バス
廃車体
RM80E

撮影:(2018.8)

自家用 日産デK-RM80E

日産ディーゼルの中型車で、ホテルの送迎バスとして使用されていたものが、敷地内で現存しているという状態です。
年式は1980〜83年の間。富士重工の4Bと呼ばれる丸い屋根のスタイルとしては最終期のものです。

廃車体
RM80E

撮影:(2018.8)

自家用 日産デK-RM80E(1981年式)

上の車両と同形車。正面の社名表示とカラーデザインが異なります。フォグランプもありません。
やはり地域内の送迎バスとして使用されていたものが、物置代わりに置かれています。

避難所
RM80E

撮影:(2018.8)

自家用 日産デK-RM80E(1983年式)

角張った富士重工6Bと言われるボディにモデルチェンジされた初期のもの。メトロ窓の最前部と最後部の隅にだけRがあるのが特徴。
標高の高いグランドの避難所となっている1台です。元々はこの地で送迎バスとして使われていた車両です。

避難所
RL300

撮影:(2018.8)

自家用 日野RL300(1978年式)

避難所バスは、3台が並んで置かれており、いずれも茶色1色に塗られ、「避難所」「タンカこの中にあります」のステッカーが貼られています。
元は送迎バスで、同じタイミングで置かれたものと想像します。
ドアと窓は開けられており、いつでも避難できるようになっています。

避難所
RL301

撮影:(2018.8)

自家用 日野K-RL301(1980年式)

避難所バスの3号車。
車両に貼られた表示類は、以前に見たときは手書き看板でしたが、3台まとめて新調されています。

廃車体
RL301

撮影:(2018.8)

自家用 日野K-RL301

これは今回新たに発見したもの。地域内に数多く存在したと思われる日野の中型車の短尺車。
やはりグランド近くに置かれていますので、用品倉庫を兼ねているのだと思います。

廃車体
RL301

撮影:(2018.7)

自家用 日野K-RL301

やはり地元の送迎バスだった日野の中型バスですが、通りすがりに見ると、どうしてもJRバスに見えてしまうカラーリングが微妙です。
上田交通の廃車体とL字形に並んでいます。

避難所
RJ172BA

撮影:(2018.8)

自家用 日野P-RJ172BA

避難所バスが1台増えていました。こちらは、送迎バス時代のカラーデザインのままで、茶色く塗られていません。

廃車体
B623E

撮影:(2018.8)

自家用 三菱B623E

かなり前から存在する廃車体で、だいぶ奥の方のグランド脇に置かれています。
グランドでは練習の真っ最中なので、近づくことも出来ず、遠くから撮りました。ネットの線がぼんやりと写っています。

廃車体
MK115F

撮影:(2018.8)

自家用 三菱MK115F

これもかなり前から存在する廃車体で、グランド脇に物置として仮設トイレとともに置かれているという、この地区での正しい廃車体の使い方。
茶色く塗りつぶされていますが、段々とペンキが褪せてきて、カタログカラーの塗り分けが見えてきました。

小型バス
廃車体
シビリアン

撮影:(2018.8)

自家用 日産シビリアン

グランドの端に、大型コンテナと仮設トイレに囲まれ、その車種を見極めるのも難しかった廃車体ですが、崖の下から見上げるという方法がありました。
正面のおでこに通気孔がないので1979年式以降で、かつ側面にセイフティウィンドウがないので1980年式までということも分かりました。

廃車体
シビリアン

撮影:(2018.8)

自家用 日産シビリアン

これは今回初めて撮影したもの。以前ちょっと離れた場所に同じものがありましたが、さすがにそれをここまで移動したのではないでしょう。
セイフティウィンドウを持つので1980〜82年式。ハイルーフで、後面に開き戸の非常口を持ちます。

廃車体
BM320T

撮影:(2018.8)

自家用 日野BM320T

1966〜76年の間に製造されたスケルトン構造の小型バス。
グランドの物置としての用途のようで、中にはネットが詰め込まれています。
側面には「どろんこプリンス」の文字。子供専用だったのでしょうか。それとも、スポーツを終えて、汚れたまま乗ってもいいよという優しいメッセージ?

その他
SUGACAFE(スガカフェ)
DB100

撮影:(2018.7)

トヨタDB100

廃車体というところに分類するのは惜しい存在ですが、かつて「カンカン号」という名前がついていたボンネットバスが、お洒落なカフェに生まれ変わっていました。
お店で買ったスィーツを車内で食べるという仕組みです。
記念写真のスポットとしても人気です。

注意事項
本ページは、「廃車体は文化遺産である」と言う趣旨によって作成しております。当サイトを訪れる方は、この趣旨を御理解いただける方だと思いますが,万が一,本ページの悪用による廃車体への損傷等があった場合は,本ページ及び関連する事項は即刻削除いたします。
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80s岩手県のバス“その頃”