保存車の世界

鉄道車両

山梨県の保存電車

山梨県で見つけた保存電車です。地方私鉄の電車というのは、探してみればそれなりにあるようです。鉄道というものが地域の誇りであること、また鉄道会社も貴重な遺産という認識を持っているからでしょう。
なお、一部に隣接県のものもあります。

復元保存車
モ1

撮影:河口湖駅(2006.12.9)

富士急行 モ1形(1号)

富士急行が創立60周年記念事業の一環として1986年に復元した創立時の電車。
1929年の富士山麓電気鉄道開業時に用意された鋼製車の1両で、1954年の車体更新時に車体のみ上田丸子電鉄(→上田交通)に譲渡されました。これが1983年に廃車になったため、富士急行で譲り受け、登場時の姿に復元しました。
その後、創立80年を記念して2006年に河口湖駅前に展示場所を得ました。

復元保存車
7

撮影:増穂町(2006.10.28)

富士急行 7形(7号)

1962年に廃止された山梨交通電車線の車両が1両、かつての終点だった増穂町に保存されていました。
山梨交通は1930年に開業したそうですが、この車両は終戦後1948年の増備車。
1962年の廃止後、上田丸子電鉄へ譲渡され、更に1971年には江ノ島鎌倉観光電鉄へ譲渡、1986年に廃車となったものを町が譲り受け、生まれ故郷が永住の地となりました。
当初はチョコレート色で保存されていましたが、2006年に山梨交通時代のオレンジ色に塗り直されました。客用扉や正面窓下の行き先板入れなどは江ノ電時代のままです。

保存車
モハ5707

撮影:一宮町(2004.10.2)

富士急行 モハ5700形(5707号)

小田急デハ2200形を出自とする富士急行モハ5700形が、山梨県内の企業に引き取られ保存されていました。小田急時代の旧塗装になって綺麗に保存されています。
1954年に小田急で初めて登場した高性能車で、東急「青ガエル」5000系相鉄5000系などと同期生で、オーソドックスな外観ではありますが、名車の一つです。

保存車
モハ5708

撮影:一宮町(2004.10.2)

富士急行 モハ5700形(5708号)

上のモハ5707号の相棒です。同じ企業の敷地内に少し離れて保存されています。保存状態は小田急カラーも含めて2両とも同じです。
初期の高性能車は電動車2両でユニットを組む形態が推奨されており、この車両はパンタグラフ、制御器、抵抗器等をつんでいる偶数車(小田急時代は奇数車)。ちなみに上の5707号はパンタグラフはなく、電動発電機などを積んでいます。

過去の車両

廃車体(利用)
モハ3102

撮影:富士見町(2004.10.2)

富士急行 モハ3100形(3102+3101号)

富士急行3100形が保存されていました。
この車両は、富士急行が創立30周年を記念して1956年に新造した車両で、日本ではじめての狭軌用WN駆動を採用したという特筆すべき車両です。更に、クロスシートの採用や新塗装の採用などで、富士急行が観光鉄道として不動の地位を築くきっかけとなった車両でもあります。
塗装は塗り替えられていますが、正面の上のほうに昔日の面影が見えます。
(ポンコツ屋赤木様によると、2017年9月現在、撤去を確認)

富士急行 モハ3100形(3101号ほか)
モハ3102
現役時代

富士急行3100形の現役時代の写真です。この時期は後輩の5000系とともに富士急行の看板車両の一翼を担っていました。
ブルーの濃淡のツートンカラーはこの3100形で採用されたもので、2枚窓の湘南スタイルに良く似合います。
年は違えど、撮影の日付が同じなのは、もちろん偶然です。

撮影:河口湖−ハイランド(1977.10.2)

保存車
モハ5716

撮影:甲斐市(2004.10.2)

富士急行 モハ5700形(5716号)

富士急行モハ5700形ですが、こちらは小田急時代はデハ2320形であったため、上の2両とはスタイルが異なります。正面は後に長く標準となった貫通路付スタイルです。1959年の登場時は2扉セミクロスシート車で、箱根方面への準特急などに使用されたそうです。その後に3扉ロングシート化されましたが、扉間の中央の窓が1個だけ幅が狭いのがその面影です。
現在個人宅で「模型蒸汽機関車館」(実物どおりに表記)として使用されており、このカラーはオリエント急行などの客車をイメージしたものかもしれません。
(2013年7月に撤去を確認)

小田急電鉄 デハ2320形(2328号ほか)
デハ2328
小田急時代

上のモハ5716号の小田急での現役時代の写真がありました。写真の2両目がデハ2327号で、この年の内に廃車になり富士急行に譲渡されました。末期の小田急ではこのように同系列で6両編成に組成されていました。

撮影:和泉多摩川−登戸(1983.5.3)

参考文献
  1. 岸上明彦(1991)「他社へいった小田急の車両」(鉄道ピクトリアル91-7増)169-174
  2. 高嶋修一(1998)「甲信越・東海地方のローカル私鉄の保存車・廃車体」(鉄道ピクトリアル98-4増)246-248
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