保存車の世界

鉄道車両

南部縦貫鉄道の保存車

南部縦貫鉄道は東北本線野辺地駅から七戸を結ぶ未電化の私鉄で、レールバスが走る鉄道として有名でした。しかし、沿線人口・資源の少なさで開業当初から苦しい経営が続き、1997年に廃止となりました。
廃止後、関係者の方々などの手により車両はすべてそのままの姿で残され、動態保存されています。また南部縦貫レールバス保存会により、GWを中心に一般公開も行われ、更に撮影の日と乗車の日を分けるなど、愛好者に配慮した日程が組まれています。

動態保存車
キハ101

撮影:牧場主様(七戸 2008.5.3)

南部縦貫鉄道 キハ10形(101号)

1962年の開業時に2両が用意された富士重工製の機械式気動車。全国的にも珍しいレールバスで、当時の富士重工製のR9型バスボディとほとんど同じ構造・スタイルをしています。エンジンは日野自動車製で、同年式のBT10型バスなどに使われていたものと同じです。
輸送量の小さい私鉄用に低コストで導入できるというメリットがあったものの、最大需要に対応できないデメリットのほうが大きく、普及しませんでした。

動態保存車
キハ102

撮影:牧場主様(七戸 2008.5.3)

南部縦貫鉄道 キハ10形(102号)

101号と同形車。
南部縦貫鉄道には2両あり、1980年代にメーカーの富士重工が新世代のレールバスLE-Carを開発する際に参考とされたとのことです。

動態保存車
キハ104

撮影:牧場主様(七戸 2008.5.3)

南部縦貫鉄道 キハ10形(104号)

国鉄キハ10形を譲受した車両。1980年の入線で、大型車体を生かして朝夕の学生輸送を中心に使用されていましたが、輸送力過剰のため最後は予備車となりました。
現在機器不良のため車庫内にて保管されているとのことです。
車号が一つ飛んでいるのは、かつてこの間に常総筑波鉄道(現関東鉄道)から譲受したキハ103号が存在したからです。

動態保存車
D451

撮影:牧場主様(七戸 2008.5.3)

南部縦貫鉄道 D45形(451号)

開業時に砂鉄輸送用に導入された凸形ディーゼル機関車。しかし、砂鉄輸送の中止により沿線の農産物などの輸送に転向、それも国鉄合理化のあおりを受けて1984年には終了し、事実上の休車となりました。
後ろにいるのは元羽後交通のDC25形

動態保存車
DB11

撮影:牧場主様(七戸 2008.5.3)

南部縦貫鉄道 DB10形(11号)

開業時に用意された富士重工製の軌道用モーターカーですが、現役時にも機械扱いではなく車籍がありました。
床下に油圧式転車装置を備えており、方向転換が容易に行えるそうです。通常は前位にスノウプロウを取り付け、除雪用に活躍していました。現在もその姿のまま保存されています。

参考文献
  1. 朝日新聞社(1973)「世界の鉄道1974年版」
  2. 藤山拓(1997)「南部縦貫鉄道」(鉄道ピクトリアル97-4増)163-167
  3. 南部縦貫鉄道レールバス愛好会公式サイト「思い出のレールバス」
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80s岩手県のバス“その頃”