保存車の世界

保存バスギャラリー

小型バス

いわゆる“マイクロバス”と呼ばれるサイズの小型のバスの保存車です。マイクロバスは車体が大きく、バスに分類される半面、自家用で使用されることが多く、バス側からのアプローチなのか、自家用車側からのアプローチなのか、曖昧な存在です。そのため、保存対象にもなりにくく、保存車の数は多くはありません。

保存車(やまゆり1号)
やまゆり1号

撮影:キュービック様(町田市 2014.4.1)

町田市 いすゞリフト付バス(1962年式)

1962年に町田市といすゞ自動車が共同開発した日本で初めての車椅子用リフト付バスが、町田市の手により保存されています。
いすゞのハイルーフエルフをベースすることで、ウォークスルー可能な低床を実現した福祉輸送用車両です。後面に観音開きの扉があり、そこにリフトが取り付けられています。
これがバスの保存車のカテゴリに含まれるかどうかは微妙なところですが、この35年後に同じようなコンセプトでいすゞ「ジャーニーE」が作られていることから考えて、先進事例であることは間違いありません。

動態保存車
RK170B

撮影:トヨタ博物館特別展示(2014.2.23)

トヨタライトバスRK170B(1963年式)

トヨタ車体がトヨタ「コースター」50周年を記念し、1967年式のトヨタライトバスをベースに2013年に復元した初代ライトバス。3台の廃車体を集め、そこから部品を流用したり新造したりして、登場時に忠実な姿をよみがえらせました。
2015年にトヨタ博物館に寄贈され、通常は非公開です。写真は特別展示。

保存車
ローザ

撮影:札幌市交通資料館(2005.6.19)

札幌市交通局 三菱B20D(1963年式)

札幌市交通局では郊外や山間地路線用に1963年にマイクロバスを導入、道路の拡幅などが実現する1974年まで増車しながら使用されたそうです。現在では全国的に普及しているマイクロバスの路線使用としてはごく初期のものではないかと思います。
車両はマイクロバスの中では傑作と言える通称「だるまローザ」。路線バスのため、方向幕付でハイルーフになっています。

保存車
ライトローザ

撮影:霊山観音(2018.10.23)

帝産オート 三菱ライトローザ

京都市東山の霊山観音の境内に、元帝産オートの小型バスが保存されていました。
帝産オートの創設者で、かつ霊山観音の創設者でもある石川博資氏(1891−1965)が、従来遊覧バスと呼ばれていたものに「観光バス」の呼称を発案しました。このバスは後年の車両ですが、氏が生前に愛用していたキャデラック・フリートウッドとともに、交通安全祈願の意味も込めて保存されています。
ライトローザは、前照灯が4灯の1970〜73年式。

移動図書館ひまわり号
ひまわり号

撮影:畦道ノスタルヂィ様(可児市 2024.1.8)

日産シビリアン(1991年式)
ひまわり号

撮影:畦道ノスタルヂィ様(可児市 2024.1.8)

岐阜県可児市の移動図書館が、2023年9月に32年間に及ぶ活躍を終えるに当たり、市内の商業施設「ヨシヅヤ可児店」に展示されることになりました。車内には絵本もあり、休日には図書館として開放されるとのこと。
現役時代のナンバープレートが、記念収蔵で取り付けられています。

保存車(ダーウィン901)
DMV901

撮影:北海道鉄道技術館(2018.11.10)

JR北海道 DMV901
DMV901

撮影:北海道鉄道技術館(2018.11.10)

軌道と道路との両用車両ですが、適当な掲載カテゴリーがないため、ベースとなった小型バスの所に掲載します。
JR北海道が、1995年製のマイクロバス・日産シビリアンをベースに、2004年に製作したDMV(デュアル・モード・ビークル)です。鉄道敷設区間は前後にある車輪を降ろして鉄道として走り、線路のない区間はタイヤを使って道路を走るという方式で、過疎路線の効率運行のために試験を重ねました。2008年度のグッドデザイン・サステナブルデザイン賞を受賞しています。
2010年に廃車となり、改造を行った苗穂工場にて保存。現在、同敷地内の北海道鉄道技術館の保存車の1両となっています。
DMV自体は、改良型の試作車も製作されましたが、JR北海道として調査・開発費用の限界から、現在は試験は中止されています。

ビューティーバス「美容師のちから」
シビリアン

撮影:日本自動車博物館(2018.9.2)

日本ロレアル 日産シビリアン
シビリアン

撮影:日本自動車博物館(2018.9.2)

東日本大震災の復興支援活動として、2011〜2015年の間、東北地方を巡回した移動式美容室です。美容室に通うことが困難な被災した方々と、職場をなくした美容師の職場支援を兼ね、マイクロバスの車内にセット面2台とシャンプーブース1台を設けました。岩手、宮城、福島の3県の計15市町村を訪問したそうです。
車両は日産からシビリアンの寄贈を受け、タカラベルモントで内装、設備を担当しました。
プロジェクトの終了を受け、日本自動車博物館に寄贈されました。

保存車
ポンチョ

撮影:日野オートプラザ(2018.1.8)

日野ポンチョ SKG-HX9JLBE(2011年式)

日野オートプラザの屋外展示場に置かれた小型バス「ポンチョ」。コミュニティバスなどに適した小型のノンステップバスです。
この車両は平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合した2011年発売のモデルで、2ドアのデモ車のようです。
保存車としてのリーフレットへの記載や説明板はなく、正式にここに保存されるのかどうかは不明です。

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80s岩手県のバス“その頃”