保存車の世界

保存バスギャラリー

ボンネットバス(特殊車)

みんなでしあわせになるまつり

撮影:53様(栗原市 2022.9.18)

ここでは、4輪駆動のボンネットバスや電源車からの改造車など、特殊なボンネットバスを紹介します。このような車両は現存するボンネットバスの中では数多く見られます。特に4輪駆動車は、その特殊性から代替できる車種がなく、かなり遅くまで製造されていました。そのため、ボンネットバスの保存ブームの中でピックアップされる機会に恵まれたものと思われます。
また、元は旅客用ボンネットバスではなかった車両からの改造車も登場しており、それもここにまとめます。

4輪駆動車

ボンネットバス
TSD40

撮影:小野澤正彦様(敷島営業所 2009.9.27)

山梨交通 いすゞTSD40(1966年式)

岩手県交通が「まきば号」として使用した後休車となっていたものを、1997年に親会社の国際興業が譲受し「さわらび号」として復活、さらに2002年にグループの山梨交通で数度目かの再デビューを図りました。
山交(やまこう)の語呂合わせによる「805」の希望ナンバーをつけています。イベント運行などに使われることがあるようです。

ボンネットバス
TSD40

撮影:小野澤正彦様(土佐山田市 2010.11.22)

自家用 いすゞTSD40(1966年式)

土佐電ドリームサービスで廃車になった元岩手県交通のボンネットバスは、個人の方が引き取り、自家用ナンバーで再デビューを果たしました。
写真は、「ゑびす昭和横丁」のイベントに参加したときの姿。土佐電のままの姿です。

動態保存車
TSD40

撮影:小野澤正彦様(水戸市 2010.2.21)

自家用 いすゞTSD40(1967年式)

元山形交通のボンネットバス。ヘッドライト4灯の特注ボンネット形状に特徴があります。
現在、日本バス友の会(NPOバス保存会)の所有です。写真は水戸偕楽園の「漫遊バス」として使用中の姿。方向幕には「格さん号」の名前が出ています。

ボンネットバス
TSD40

撮影:ぽんたか様(桐生市 2014.11.2)

自家用 いすゞTSD40(1967年式)
TSD40

撮影:ぽんたか様(桐生市 2014.11.2)

元山形交通のボンネットバスで、廃車後に天元台ロープウェイがスキー場の送迎用に引き取り、その後にやはり地元の中布温泉中屋が所有していました。ヘッドライト4灯の特注仕様で、NPOバス保存会の保存車と同型です。ボディカラーは明るめのデザインに変わっています。
現在では個人所有になっているとのことで、2014年に「第9回クラシックカーフェスティバルin桐生」に登場し、久々に姿を見せてくれた時の写真です。

ボンネットバス
TSD40

撮影:小野澤正彦様(富山市 2009.8.15)

中越バス販売 いすゞTSD40(1967年式)

中古バス販売会社で看板代わりに置かれているボンネットバス。現在ナンバーはついていません。
撮影者によると山形県の八谷鉱業所で使用されていた車両とのこと。前ドア車で非常口は後ろ面にあります。方向幕に「1967」とあるのが年式でしょう。

動態保存車
TSD40

撮影:小野澤正彦様(佐原市 2008.3.9)

自家用 いすゞTSD40(1968年式)

角型の後ろ面に非常口を持つ北村製作所製ボディのボンネットバス。岩手県の富士モーターサービスが所有していたことが知られていますが、その後個人の方が引き取り、旧国鉄バスのカラーに塗り替えました。正面に動輪マーク、側面にツバメマークが取り付けられ、往時の国鉄バスをしっかり再現しています。
佐原市で「佐原町並み号」として運行している姿。

八幡平号
TSD40

撮影:岩手県交通ファン様(西根営業所 2005.11.6)

岩手県北自動車 いすゞTSD40(1968年式)

岩手県北自動車が冬季の松川温泉のほかイベントなどに使用するボンネットバス。同社ではかつて4台のボンネットバスを所有していましたが、これはその生き残り。それもオリジナル車で、岩2ナンバーで残ります。
4輪駆動のTSDは各地に残りますが、これは数少ない川崎ボディ。

昭和44年号
TSD40

撮影:小野澤正彦様(福島県 2014.5.25)

広田タクシー いすゞTSD40(1969年式)

元岩手県北自動車の「八幡平雪渓号」で、宮城県のイベント企画会社に譲渡されていたものを、2014年に福島県の広田タクシーが譲り受けました。
イベント企画会社時代のカラーに、イラストと愛称を書き加えて使用しています。
昭和44年というと、ボンネットバスとしては新しい方ですが、今になると「昭和」と書いただけで「古いもの」をイメージさせることができてしまうようです。

ボンネットバス
TSD40

撮影:栗原市(2019.9.15)

自家用 いすゞTSD40(1970年式)
TSD40

撮影:栗原市(2019.9.15)

元古川営林署の所有で、1980年に宮城県川崎町の峩々温泉が引き取り、「蔵王銀嶺号」と名付けて送迎などに使用してきました。
北村製作所製ボディで、前面にウィンチのついた4輪駆動車という積雪地仕様のボンネットバスです。
個人が引き取り、2019年にかつての栗原電鉄のカラーに復刻の上、再デビューを果たしました。

ボンネットバス
TSD40

撮影:小野澤正彦様(糸魚川市 2011.10.9)

電気化学工業 いすゞTSD40(1970年式)
TSD40

撮影:小野澤正彦様(糸魚川市 2011.10.9)

新潟県糸魚川市のデンカ鉱山のボンネットバス。職員輸送用に購入したもので、後面に非常口がついた自衛隊などで見られる仕様です。ドアは最前部にありながら、ドアの窓は上側のみです。
購入時から所有者が変わらないボンネットバスとして数少ない車両となっています。
最近リニューアルを受けたようで、外観はきれいです。地元のイベントの際に無料バスとして運行している姿です。

創造号
TSD40

撮影:小野澤正彦様(アクトランド 2015.5.15)

技研製作所 いすゞTSD40(1971年式)

高知県鳥形山の鉱山で使用されていた4輪駆動のボンネットバスで、1985年に技研製作所が取得して修復を開始、1989年に車検を取得したそうです。同社のボンネットバス第1号として、「創造号」と名付けられました。元は高知県で路線バスに使われていたとのこと。
現在ナンバーはついていますが、ボンネットバス博物館内で展示されています。

改造車

保存車
TSD43

撮影:ぽんたか様(江戸東京たてもの園 2019.8.25)

自家用 いすゞTSD43
TSD43

撮影:ぽんたか様(江戸東京たてもの園 2019.8.25)

1968年式のバスボディと1979年式のトラックシャーシを組み合わせて福山時計自動車博物館で復旧したボンネットバスです。北村製作所製のボディで、後面は角型ながら扉がつきます。説明板によると元自衛隊とのこと。
現在の所有は個人の方だそうで、江戸東京たてもの園で借り受けているということのようです。
2019年に、都営バスの1960年代カラーに塗り替えられました。

温故知新号
TSD40

撮影:小野澤正彦様(福島県 2014.5.25)

五百目自動車工業 いすゞTSD40(1972年式)
TSD40

撮影:小野澤正彦様(福島県 2014.5.25)

福島県の一企業が所有するボンネットバスで、イベントなどで見ることのできます。
上側にしか窓のない折り戸や後面の非常口が特徴のボディスタイルです。説明板によると、車体は元航空自衛隊だそうです。
平成初期に廃車体を引き取り、エンジン等を移植、仮ナンバーで復活させました。その後、2009年に同型のダンプトラック(1973年式)のシャーシに交換し、車検を取得したそうです。標記した年式はボディ年式です。

保存車
FB100

撮影:小野澤正彦様(福山自動車時計博物館 2010.7.26)

福山自動車時計博物館 トヨタFB100(1965年式)
FB100

撮影:小野澤正彦様(福山自動車時計博物館 2012.11.23)

トヨタボンネットバス最終期のもので、ガソリンエンジンのFB。更に木炭車に改造されています。年式的には木炭車などの戦時中の代燃車とは無関係です。
車体は尾張車体だそうですが、日本自動車博物館の車両とはスタイルが異なります。
元は撮影用の特殊車で、2枚折り戸ですが、窓が4枚ずつあります。

保存車
DB100

撮影:小野澤正彦様(日本自動車博物館 2009.8.14)

日本自動車博物館 トヨタDB100(1965年式)

トヨタが1965年にモデルチェンジした4灯の近代的なフロントグリルを持つ車両。もっとも、このグリルはバスではほとんど見かけません。
この車両自体もバスではなく、日本電電公社の発電用自動車だそうです。また、ボディは尾張車体製だそうです。

ボンネットバス
BX721

撮影:小野澤正彦様(所沢市 2014.10.19)

自家用 いすゞBX721(1961年式)
BX721

撮影:小野澤正彦様(所沢市 2014.10.19)

個人所有のボンネットバスで、元は電源車。現在は、西武バス風のカラーに塗られています。
銘板によると、車体は京成自動車工業製だとのこと。いすゞ製の交流移動発電機を搭載していました。
2014年に「第18回クラシックカーフェスティバルinところざわ」に登場した時の写真です。

保存車
T370

撮影:小樽交通記念館(2005.6.19)

小樽交通記念館 三菱T370

JR北海道が1990〜95年の間「フロンティア号」として復元運行していたボンネットバスで,珍しい三菱のボンネットバスです。旧型ゆえ営業運行が限界となり,記念館に譲渡されました。
三菱のボンネットバスは、ボンネットバス全盛期の大型車B系がありますが、それは1962年までに生産中止となっています。この保存車はそれとは全く異なるトラックシャーシの四輪駆動車。呉羽製のバスボディを架装したもので、炭鉱輸送のために作られたそうです。四輪駆動の腰高なスタイルです。
小野澤正彦様よると自動車展示館の収蔵庫に保管中。

新造車

こべっこ2世号
FTR32FB

撮影:須磨公園(2005.4.9)

神戸市交通局 いすゞU-FTR32FB改(1993年式)

神戸市交通局が、生粋のボンネットバス「こべっこ号」の代わりに“新造”したボンネットバス。いすゞの中型トラックシャーシに、京成自工でボディを新造したそうです。部分的にはオリジナルと異なる点はあるものの、よくここまでのものを作り上げたものと感心します。よくある「レトロ風」ボンネットバスとは異なるものと捉え、ここに掲載します。
当初は自家用ナンバーでイベント用でしたが、2000年に営業ナンバーを取得し、定期観光に運用されています。

過去の保存車

あづま号
TSD40

撮影:小野澤正彦様(南九州市 2011.4.17)

南九州あづま交通 いすゞTSD40(1964年式)
TSD40

撮影:小野澤正彦様(南九州市 2011.4.17)

元岩手県北バスのボンネットバスです。4輪駆動のTSD40では数少ない富士重工製ボディの車両で、一時中古車販売会社に引き取られましたが、2010年に鹿児島県の貸切バス会社に移籍しました。
九州新幹線全通に伴う指宿地区の観光ツアーに使用されるため、車体には開聞岳など周辺観光のイラストや観光地図が描かれています。
現在、個人所有となっています。

蔵王銀嶺号
TSD40

撮影:菅原義人様(峩々温泉 2005.4.23)

自家用 いすゞTSD40(1970年式)

青森営林署が所有していたものを1980年に引き取り、雪深い峩々温泉への送迎バスとして復活させました。4輪駆動を生かした使い道と言えるでしょう。
「蔵王銀嶺号」と名付けられたこのバスは、北村製作所製のボディを持つ前ドア車。
現在個人所有となっています。

ボンネットバス
TSD40

撮影:five thousand様(日光市 2004.5.12)

湯元旅館 いすゞTSD40(1971年式)

岩手県北バスが所有していた北村製作所製ボディを持つボンネットバス。
日光の旅館が引き取り、綺麗に整備して使用していました。
(小野澤正彦様によると、所有者の旅館は廃業しているそうです。)

保存車
TSD43

撮影:江戸東京たてもの園(2005.1.29)

いすゞTSD43

写真は、旧都営バスカラーを模したデザインだった頃。
映画に出演した際に、「東京都営」の文字や帯が入れられるなど、それっぽい味付けがされたそうです。

ボンネットバス
TSD43

撮影:亀岡市(2006.8.26)

湯の花温泉 いすゞTSD43(1976年式)

4輪駆動で北村製作所製ボディを持つ前ドアのボンネットバスですが、年式が新しいためサッシ窓になっています。かつては東北地方で鉱山の職員輸送に使用されていました。温泉旅館の送迎用として使用ののち、現在では中古車販売会社へ譲渡されています。

カンカン号
DB100

撮影:上田市(2016.10.10)

菅清園 トヨタDB100
DB100

撮影:上田市(2016.10.10)

菅平高原で「カンカン号」という名称で送迎などに使用されていたボンネットバス。車体には高原のイラストが描かれています。
車体は尾張車体で、後面に2枚の開き戸があるボディで、後面中央や側面窓下にも開閉式の蓋が並んでいますので、特殊用途車の改造車だろうと想像できます。
2018年にカフェに改造されました。
型式は推定。

復元保存車
JRバス東北

撮影:小野澤正彦様(葛巻車庫 2014.8.22)

ジェイアールバス東北 国鉄バス1号車

JRバス東北の有志の方が様々なパーツを組み合わせて復元したという「国鉄バス1号車」。rondo様によると、いすゞエルフのシャーシを流用しているとのこと。
実際の国鉄バス1号車は博物館に現存しますが、それと比べてもボンネットの形や1枚物の開き戸などにこだわりが見られます。
ベースとなったボディは北村製作所の末期のものと思われますが、サッシ窓が逆に古いボンネットバスの雰囲気をかもし出しているようにも見えます。
現在、個人所有となっています。

ボンネットバス
FUSO

撮影:five thousand様(会津若松市 2007.11.3)

大江戸温泉物語 三菱ボンネットバス

福山自動車時計博物館が1968年式三菱ふそうT330トラックシャーシに帝国製のボンネットバスのボディを組み合わせて作ったもので、バスとしては存在しなかったフロントグリルです。
2006年に大江戸温泉物語に譲渡され、福島県の「湯屋あいづ」で送迎バスとして使用されていましたが、その後宣伝用などで関連会社に渡りました。
(注1)

保存車
E690

撮影:二十四の瞳映画村(2005.9.3)

日産E690(1962年式)

1987年に映画化された「二十四の瞳」のオープンセットなどを保存している施設にあるボンネットバスです。
パンフレットには「撮影用」とあります。「ニッサン」のエンブレムや車内銘板も残っており、シャーシの型式はE690、ボディメーカーは「日産車体」でした。これは「キャブスター」用のシャーシで、ボンネットバスに利用されたというのはあまり聞きません。軸距離も違います。
想像するに、キャブオーバーバスの「キャブスター」をボンネットバス風に改造した代物のようです。
(小野澤正彦様によると、2013年6月に解体)

祖谷のポニー丸
BXD20

撮影:小野澤正彦様(三好市 2009.10.17)

四国交通 いすゞBXD20(1969年式)

四国交通の定期観光バスに使用されるボンネットバスの2台目で、1995年に加わった車両。
1969年式の電源車を改造したもの。ボンネットとシャーシ、運転席部分はタネ車のものを流用していますが、客席部分は東浦自工によりダブルルーフ、展望室付のレトロ調のものを新造しています。定員は少なく、小型ナンバーをつけています。
(2012年に南九州あづま交通へ譲渡)

あづま号
BXD20

撮影:小野澤正彦様(南九州市 2014.5.20)

南九州あづま交通 いすゞBXD20(1969年式)

2012年に四国交通から移動してきたボンネットバス。
四国交通が、1969年式の電源車をタネ車にボンネットとシャーシ、運転席部分を流用して、東浦自工によりダブルルーフ、展望室付のレトロ調に改造したもの。譲渡後もほとんど手が加えられていません。
現在、個人所有となっています。

(注1) 小野澤正彦様の情報によると、2008年冬に「あいづ」を離れ、お台場に展示の後同社の各地域の宣伝に用いられ、その後「ながやま」に移ったものの、「日本元気劇場」の休憩室に転用された。「日本元気劇場」廃業後、2018年9月に敷地内での現存を、私が確認している。
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80s岩手県のバス“その頃”