古バス民族学

ロンドンバス・・・のようなもの

バスの中でも人気なのが赤い二階建てバス、いわゆるロンドンバスです。飲食店やらイベントの広報車やらで、全国各地で見ることができます。
しかし、実際のロンドンバスを購入するとなると、その希少性から高価であったり、また車両であるという特殊性からメンテナンスに苦労したりします。
そんな中で、ロンドンバスと思わせて実はロンドンバスではない、という物件も各地に存在します。

名もなきパン職人
名もなきパン職人

撮影:伊那市(2021.5.22)

固定販売車 CKKS-G009
名もなきパン職人

撮影:伊那市(2021.5.22)

高級あんぱんを販売する屋外店舗で、2021年にオープンしました。
見るからにロンドンバスですが、イミテーションで、中国のCKKS社製の固定販売車を輸入したようです。
ワンサイドキャブで最後部にドアがある点、側面の引違窓など、ルートマスターの特徴をうまくトレースしています。ボンネットの中にはエアコンの室外機が見えます。タイヤは10穴で、大型車両用のものを使用しているようです。
2階席は屋根が開くようになっていて、イートインスペースになっているようですが、予約制販売になっており、この席で高級あんぱんを食べることはできませんでした。

オリジナル料理「Rainy.J」
Rainy.J

撮影:江戸川区(2021.7.31)

建造物
Rainy.J

撮影:江戸川区(2021.7.31)

建物の構えをロンドンバス風に作り込んだオリジナル料理の店。「アフタヌーン・ティー」「Rainy.J」の文字とイギリス国旗の看板が並びます。
ロンドンバスの特徴を出す工夫には凝っていて、ワンサイドキャブの左に覗くボンネット、二つのタイヤとその間にある扉、リアにはテールランプ、とそれらしいパーツが散りばめられています。
窓には、日本のナンバープレートがついたロンドンバスが「アフタヌーン・ティー」のロゴを付けている姿なども掲示されています。2016年のキャンペーンの時の写真のようです。

ラーメン店
ラーメン店

撮影:広島市(2007.11.10)

広島電鉄 日野RC100Pほか
ラーメン店

撮影:広島市(2007.11.10)

こちらは本物のバスですがロンドンバスではなく、バス廃車体を2台くっつけて2階建てバス風にしたものです。それでもメトロ窓車を選び、後面は丸型、入口は後部にオープンデッキ風に作るなど本物のロンドンバスをかなり意識した作りです。
上の車体は金産ボディで、前ドア車を中ドアに改造した車両です。中ドア部分は隣の建物とつながる通路に活用されています。下のバスは西工ボディの三菱車でMAR470あたりでしょうか。同形車は広島電鉄にもいたようです。

廃車体
ロンドンバスもどき

撮影:広島市(2021.5.29)

広島電鉄 日野RC100Pほか
ロンドンバスもどき

撮影:広島市(2021.5.29)

ラーメン屋は閉店し、奥にある居酒屋の看板代わりになってしまいました。
手入れがされているのか、それほど劣化してはいません。
前面を見てみると、国旗などを掲げる旗ポールが残っています。

カフェ「ロンドンバス」
ロンドンバス

撮影:八尾市(2007.11.28)

建造物

ロンドンバスを模った建物の喫茶店。タイヤもついていますし、2階前面の傾斜やオープンデッキ、ロンドントランスポートのマークなど、実物をかなり意識した作りです。店内にも本場のロンドンバスの写真が飾ってありました。
地元にも定着しているようで、「今ロンドンバスにいてる」と携帯電話で友人を誘っているお客さんも見られました。
(2010年に閉店。建物は残るが、色が変わり、タイヤもなくなっている)

昔からあったロンドンバスもどき
ロンドンバス

1985年に発行された「決定版!全国2階バス総登場」(クラリオンバス機器ニュース別冊)をめくってみると、その25ページに面白い写真を発見しました。
一つは豊橋市にあるというコーヒーハウス「ロンドン」。鉄筋コンクリート造りと思われるしっかりした建物ですが、細部にロンドンバス風の味付けがなされています。
また、白黒写真では、福山市にあるお好み焼き屋さん「ニカイバス」。これは、いすゞのバス(BU10)を2台重ねて2階建て風にしたものです。同じ広島県で2021年時点で現存する元ラーメン屋さんとは、全く同じ発想です。
ロンドンバスもどきは、以前から存在していたことが分かる資料です。

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80s岩手県のバス“その頃”