看板に見る新幹線大図鑑〜200系を探せ〜

誘致看板の部

新幹線をこれから誘致しようと言う看板には夢があふれています。イラストになるのはなるべくカッコいい車両。
誘致看板を見ていると、カッコいい新幹線車両とは何かが見えてきます。

北海道新幹線

北海道新幹線は整備新幹線5路線のうちの一つで、東北新幹線の終点新青森から札幌市までが計画されています。その中で、新青森から青函トンネルを経て新函館北斗駅までは2016年度に開業し、札幌までは2031年までの開業を目指して工事が進められています。
北海道新幹線が開業すれば、東京や仙台などへのアクセスは飛躍的に向上することからその期待度は高く、数多くの誘致看板が見られます。新幹線誘致看板の世界では、今最も面白いのが北海道かもしれません。
(看板の説明文は撮影時点でのものを掲載し、基本的に改変はしません。該当区間が開業したものは、撤去されているはずですが、特に注書きは加えません)

E6系北海バージョン
函館

撮影:東京都(2014)

東京都で開催された全国の物産展で、北海道ブースの周囲にめぐらされていた北海道新幹線。
何のこともなく見過ごしてしまいましたが、「アレ?」と思って振り返ってみたら、E5系「はやぶさ」ではなく、秋田新幹線E6系「こまち」をグリーンに変えた新バージョンでした。意外にこちらのほうがカッコイイようにも見えます。
この車両、地元北海道の誘致看板でも活躍を始めた模様ですが、2014年4月にはJR北海道の正式な新幹線車両がプレス発表されており、今後の誘致看板に使われる車両の動向が気になります。

E7系北海バージョン
函館市

撮影:北斗七星様(北海道 2013)

札幌市や函館市の主要箇所に掲げられたカウントダウンボード。開業までの日数が毎日更新されます。
しかし、ここに描かれた新幹線が妙に格好いい。シンプルな造形は、北陸新幹線用のE7系をベースにしているようで、明るいグリーンを基調にしたカラーデザインも上品です。
北海道に来るのはE5系という先入観を覆すこのボードから、不恰好なロングノーズや下品なメタリックカラーは北海道新幹線には似合わないと現地の経済界が思っていると分かってしまいました。

北海道新幹線は外国製で
木古内駅

撮影:北斗七星様(北海道 2013)

新幹線駅の工事が続く木古内駅の在来線ホームには、2015年の新幹線駅開業を待ちかねる看板が立っています。駅名票の隣の観光案内看板を作り変えたようです。
ここにも、見慣れない新幹線が描かれています。JR北海道のライトグリーン色のラインを持つこの車両、ドイツのシーメンス社製の高速車両とよく似ています。
その脇に立っている生き物は、新幹線木古内駅観光駅長の“キーコ”だそうです。

木古内にはE5系も

いつも独特の新幹線車両を見せてくれる木古内駅ですが、工事看板にはノーマルなE5系が大きな鼻先を突きつけていました。

木古内駅

撮影:北斗七星様(北海道 2013)

E5系ショートサイズ

北海道新幹線の工事も順調に進んでいるようですが、橋脚の完成後の光景を描くと言う粋な工事看板が登場。そこに描かれているのはE5系。そのときの最新型が描かれる誘致看板の常道を行きます。
ただし、中間車の客室の大きさが先頭車と変わらない感じなので、オール「グランクラス」の特別編成かもしれません。

北斗市

撮影:北斗七星様(北海道 2011)

E5系ストリームライン

新函館駅の建設現場には、E5系のカラーデザインでありながら、量産化されなかった「ストリームライン」と呼ばれる正面スタイルを取り入れた車両が描かれています。
数多くのトンネルをくぐり抜けながら最高速度で運行するための機能美である「アローライン」スタイルに納得できない人々は、シンプルなこのスタイルの実現を常に夢見ているのです。

北斗市

撮影:北斗七星様(北海道 2011)

E5系ラフ
七飯町

撮影:北斗七星様(北海道 2012)

七飯町に掲げられた誘致幕。新青森までE5系「はやぶさ」が来ている以上、北海道新幹線も同じ車両が来るに違いない。しかし、北海道新幹線と言う新規開拓の地に来るためにちょっと位は変わっているかもしれない。それなら細かい所は省略しておこう。と言うことでラフ案のようなデッサンになった模様です。

プチ200系
八雲町

撮影:北斗七星様(北海道 2009)

トンネルの調査看板にかわいい200系。綺麗な看板なので、そう古いものでもなさそうですが、マスコットとして200系を使ってもらえました。
北陸新幹線のところの「プチE2系」と同じ作者のように思えます。

プチ200系のネタ元

「プチ200系」「プチE2系」のネタ元が発見されました。どうやら、これは「鉄道・運輸機構」(前身のひとつが日本鉄道建設公団)が作ったマスコットのようで、他の新幹線車両や船舶などもプチ仲間に加工されています。
なお、これは、鉄道の日関連のイベントで左党89号様が鉄道・運輸機構の方からもらったクリアファイルの画像です。

鉄道・運輸機構

撮影:左党89号様(2012)

くちばし鳥
札幌駅

撮影:北斗七星様(北海道 2008)

函館から札幌まで広い範囲で見られる新幹線は、ヘッドライト周りなどに工夫が見られるオリジナル設計。側面の塗り分けは200系なので、200系の異態進化かもしれません。
緑豊かな北の大地、北海道から飛び出してくるイラストは秀逸です。

くちばし鳥(扁平バージョン)
北斗市

撮影:北斗七星様(北海道 2007)

上のものと同じくちばし鳥ですが、コピー&ペーストの際に縦横比率を変えてしまったようで、扁平な感じになっています。
きらきらと輝く北海道から、星屑を散らしながら飛び出してきています。

くちばし鳥(扁平バージョン2)
七飯町

撮影:北斗七星様(北海道 2009)

さらに扁平になったくちばし鳥。こちらは七飯町のものなので、背景が駒ケ岳になっています。車両自体も線や色が変化しており、ちょっとマンガチックな装いです。

スペーシア「やまびこ」
木古内駅

撮影:北斗七星様(北海道 2007)

東武鉄道のスペーシアが青函トンネルを越えてやってきました。側面は200系2000番台のカラーなので「スペーシアやまびこ」かもしれません。ライト周りには300系の面影も見られます。
そういえば私もスペーシアの写真を見て新幹線「のぞみ」と勘違いしていた時期がありました。
(撮影者によると、2013年現在撤去済み)
WIN350
津軽今別駅

撮影:牧場主様(青森県 2007)

北海道新幹線の着工を訴える看板ですが、絵柄は非常にレアなWIN350と呼ばれる試作車両。JR西日本が350km/h運転のために試作した500系の先祖に当たる車両です。着席前提の低い車体が特徴でしたが、量産には至らず、現在では米原で保存されています。

500系 JR北海道バージョン
函館市

撮影:北斗七星様(北海道 2007)

北の大地に彗星のごとく現れるのは、ロングノーズがかっこいい500系。側面窓下のラインもJR北海道のコーポレートカラーであるライトグリーンになっています。
この電車、東海道新幹線では嫌われているようなので、ぜひ北の大地に来てください。多分構造的に無理なんでしょうが。

羊蹄山と500系
倶知安町

撮影:北斗七星様(北海道 2011)

北海道新幹線の誘致看板でよく出てくるニセ500系とは異なり、本物の500系を羊蹄山をバックに描いた誘致看板です。
なおこの看板は、「北海道新幹線札幌延伸を強く願う倶知安期成会」によるものです。

E2系 北海バージョン
星置

撮影:北斗七星様(北海道 2008)

北斗市

撮影:北斗七星様(北海道 2009)

下半分がJR北海道のイメージカラーであるライトグリーンに塗られた新幹線。手稲トンネルの絵を見たときにはよく分かりませんでしたが、函館総合車両基地の絵を見てこれがE2系と同形であることが理解できました。JR北海道にE2系がやってくるとこんな色になるのかも知れません。ただし、北海道に来るとEではなくてN2系とかH2系とかになるんでしょうか。
なお、更に左の絵を細かく見ていくと、扉がないとか車体が短いとか色々なことに気づくのですが、これは多分この電車が登場した後に発売されるプラレールのイメージ画を兼ねているのだと思います。

E2系のネタ元
倶知安

撮影:北斗七星様(北海道 2008)

函館市

撮影:北斗七星様(北海道 2007)

誘致看板にはその時代ごとの最新形式を描くのが一般的。なので、E5系が発表される前の標準は東北新幹線「はやて」などに使用されるE2系です。は後志(しりべし)地域に見られるもので、背景には要諦山がそびえています。しかし、画像を拡大してみると正面窓の中に「N3」という編成番号がありますので、元写真は長野新幹線のようです。
は渡島支庁管内のもので、青函トンネルを出てくる姿にアレンジされています。また写真をイラスト化してあり、よく見ると側窓は広窓に変えてあります。帯色は赤のままですが。絵を描く上で邪魔だったのか、パンタグラフの大きなカバーは省略されています。

ところで、これと同じ元写真を使用した看板が本州でも発見されています。大船渡線営業所の「東京フリーきっぷ」の横断幕。なぜか左右反転させての使用で、編成番号の「N3」も反転しています。

盛駅

撮影:左党89号様(岩手県 2009)

E2系1000番台
今別町

撮影:牧場主様(青森県 2007)

北海道新幹線の本州での途中駅になる「奥津軽駅(仮称)」の誘致看板は広窓のE2系1000番台。帯色もちゃんとピンク色です。
ちなみに私はこの広窓車が嫌いです。それは夜など窓に映った前の人が丸見えで、弁当の中身や雑誌のページまで見えてしまうからです。もちろん見られる立場になるのもイヤです。

新幹線といえばこの色
北斗市

撮影:北斗七星様(北海道 2009)

北海道新幹線建設促進期成会のシンボルマークです。文字主体の誘致塔などに使われます。
最も簡単に新幹線をイメージ化しようとすると、新幹線のカラーは東海道新幹線のブルーラインになるのだということが分かります。ただし、車両のスタイルはE2系寄りです。

700系っぽいの
札幌市

撮影:北斗七星様(北海道 2008)

北海道庁の前に立てられた誘致塔には抽象的な新幹線が。この鼻先の丸さから想像するに東海道新幹線の700系をモデルにしているものと思われます。

E954系ファステック
札幌市

撮影:北斗七星様(北海道 2009)

札幌市

撮影:北斗七星様(北海道 2009)

北海道新幹線誘致でよく見かけるのが、360km/h運転用の試作車E954系のストリームラインと呼ばれる先頭車。実現すれば札幌と東京が3時間57分で結ばれるそうです。
左右でドア配置などが異なるのですが、それ以外にもの絵には外板の継ぎ目や蓋などが省略されており、簡易バージョンのイラストになっているのが分かります。
なお、新青森開業後の量産車はアローラインの先頭車が選ばれてしまったので、こちらのスタイルは幻になるのかもしれません。

TGV風味の新幹線
渡島大野駅

撮影:北斗七星様(北海道 2007)

新函館駅(仮称)の建設予定地である渡島大野駅前にぽつんとたたずむ看板の上に描かれた新幹線。大まかにはE2系にも共通するスタイルと塗り分けですが、新幹線のライバルであるTGVの血がかなり入っているように感じます。

コンコルド
北斗市

撮影:北斗七星様(北海道 2007)

どんなに工夫してリアルな新幹線の絵を描いても、所詮約10年後にやってくるのは新たに設計された全く別の新幹線。そんな誘致看板界の虚しさというスランプを超越したかのようなやる気のない新幹線です。
速そうに見えればそれでいいというシンプルな造形は、逆に計算高さすら感じさせます。

東北新幹線

東北新幹線は2002年に東京〜八戸間が開業した後、2010年に八戸〜新青森間が開業し、全線開通となりました。
また、新青森から先は北海道新幹線として将来的には札幌までが整備新幹線として計画されており、一体的な誘致運動も見られます。
ここでは、新青森開業前からの誘致看板を中心にご紹介します。

E2系1000番台(赤帯)
七戸駅

撮影:牧場主様(青森県 2007)

七戸駅予定地に立つ看板。車体への映り込みから察するに写真を使用しているようですが、ちょっと変です。広窓のE2系1000番台ですが、赤帯で後ろのほうのシンボルマークはりんごをデザインした「はやて」のマーク。この組み合わせと言うのはあったんでしょうか・・・。

E2系1000番台(裏焼き)
青森県

撮影:左党89号様(青森県 2008)

「結集!!青森力」というシンプルかつ力強いポスター。2010年に対する期待がうかがい知れます。
ところがこのE2系1000番台「はやて」の異変に撮影者が気付いてしまいました。この画像サイズだと分かりにくいのですが、左右が逆の裏焼き状態だそうです。側面のりんごのシンボルマークや方向幕から判別がつきます。
デジタル画像全盛の今、ネガの裏焼きは考えにくいので、デザイン上の意図的な反転である可能性が高いような気がします。

E2系混血バージョン
国会議事堂前駅

撮影:東京都(2007)

東北新幹線と北海道新幹線の延伸を訴える「北の新時代へ!」という看板です。
イラストの電車はE2系・・・と思いきやボンネットにヘッドライトが見えます。E3系か或いは700系あたりとの混血児かもしれません。

E954系
国会議事堂前駅

撮影:東京都(2007)

やはり東北新幹線と北海道新幹線の延伸を訴える看板「北からの招待状」。
車両はまだ試作段階のE954系(FASTECH360S)のアローラインと呼ばれる先頭車。量産車はこれと似たスタイルのE5系になることが後に発表されました。

山形・秋田新幹線

山形新幹線は1992年に初めての新在直通新幹線として開業したもので、実際は奥羽本線を標準軌に改軌した在来線です。1999年に山形から新庄まで延伸されました。整備新幹線ではありませんが、在来線を改軌して新幹線を走らせると言う「ミニ新幹線」を最初に形にした路線でもあります。地元では更に大曲への延長や酒田への延長などの構想があります。
また秋田新幹線は1997年に田沢湖線・奥羽本線を標準軌に改軌した2例目の「ミニ新幹線」で、やはり法律上は在来線です。

劇画調400系
湯沢市内

撮影:左党89号様(秋田県 2007)

山形新幹線を大曲まで延長させようという秋田県内の看板。描かれているのは登場時をイメージさせるガンメタの400系ですが、ちょっと質感が不気味です。たまにバカボンのパパが劇画調になったときのような違和感があります。

ヘタウマ調400系
湯沢市雄勝地区

撮影:左党89号様(秋田県 2009)

山形新幹線を大曲まで延長させようという秋田県内の看板。上の画像とベースは同じですが、400系の絵がなんだか下手です。でも、下手と言ってしまうと失礼なので、ヘタウマと言うことにしておきます。

E3系R1編成
東能代駅

撮影:左党89号様(秋田県 2009)

東能代駅前に秋田新幹線の延伸を訴える看板がありました。
秋田新幹線や山形新幹線の開業は、沿線都市に速達効果を与えましたが、路線から外れた都市に関しては、東京と直結する特急列車を失う結果になりました。日本海側の都市は大なり小なり同様の問題を抱えています。
ところで、この看板に描かれているE3系ですが、ヘッドライトの特徴から量産先行車のR1編成であることが分かります。わざわざこの編成を選んで描いたのか、参考写真がこれしかなかったのか、どちらでしょう。

400系イメージイラスト
刈和野〜峰吉川

撮影:左党89号様(秋田県 1993)

山形新幹線の開業直後、今度は秋田新幹線の開業に向けて新在直通化工事を行っている現場の看板です。もちろん現存しませんので、参考写真として上げておきます。
面白いのはここに描かれている電車の絵。まだE3系は影も形もない頃ですので、山形新幹線の400系が描かれています。しかも撮影者によるとこれは量産先行編成が登場する前のイメージイラストのカラーだそうです。

北陸新幹線

北陸新幹線も整備新幹線5路線のうちの一つで、長野新幹線と言う仮の名前で1997年に長野まで開通。長野から富山を経て金沢までは2015年に開業し、晴れて北陸新幹線の名前を授かりました。最終的には大阪まで開通し、東海道新幹線のバイパス的役割も果たす予定ですが、2023年を目標に敦賀まで開業した後の目途は立っていません。
(看板の説明文は撮影時点でのものを掲載し、基本的に改変はしません。また、該当区間が開業したものは、撤去されているはずです)

擬人化200系
福井駅

撮影:福井県(2007)

「北陸新幹線の旅」という旅行商品かテレビ番組みたいな名前ですが、その上に「早く行きた〜い」と書かれているように、誘致の垂れ幕です。
左は緑色なので多分200系。北陸にまで進出した200系です。ちょっと擬人化されています。右側の電車は色からして「スーパー雷鳥」の485系ではないかと思います。いや「のぞみ」300系を描こうとしたのか・・・。擬人化されているのでよく分かりません。

北陸の100系
大沢野

撮影:富山県(2007)

ちょっと短めな100系です。多分100系全盛期の1980年代に描かれた看板だと思われます。ペンキで描かれた看板はいい味を出していますが、それがまた時代を感じさせるようになりました。
北陸には0系をモチーフにした誘致看板もあったと聞いていますが、発見できていません。

並行在来線を行く100系
信濃町

撮影:長野県(2008)

北陸新幹線を誘致する看板かと思いきや、並行在来線を守ろうと言う趣旨の看板でした。現時点では新幹線が開業すると並行在来線は廃止され、地元の手によって維持されるしか方法はなくなります。その是非を問うのではなく、利用促進によって路線を守ろうと言うことです。
Windowsチックなデザインの看板で、写真の新幹線は100系ですがこの辺の風景の中を走っているように合成されています。文章と写真の趣旨が微妙に一致していないような気がします。

E2系は来るのか・・・
朝日町

撮影:富山県(2005)

北陸新幹線を誘致する看板です。北陸新幹線は長野新幹線の延長線上にあるわけなので、E2系が走ると言うのは妥当な想像なのですが、果たしてどうなるでしょう。
このこどものおじいちゃんがいきているうちに、早くできるといいですね。

関西にE2系
亀岡駅

撮影:京都府(2006)

北陸新幹線は長野県から北陸地方を抜けて大阪までが計画されているわけで、その途中には京都府中部も含まれます。ということで口丹波地方への誘致看板。これはJR東日本とは何の関係もない山陰本線の駅の脇の看板なのですが、E2系が描かれています。

プチE2系
上越市

撮影:新潟県(2007)

北陸新幹線建設区間では飽きるほど見かけるE2系ですが、これは余りにも可愛く簡略化されています。
このカラーでなければE2系どころか新幹線であるかどうかさえ伝わらなかったかもしれません。

E3系もどき
朝日町

撮影:富山県(2005)

敦賀駅

撮影:福井県(2007)

鼻先が気味悪い新幹線。いったい何を見て描いたのか分かりませんが、あえて言うなら新在直通のE3系と似ているようです。ただし側面のカラーデザインは東海道新幹線300系。こんな電車はあまり走ってほしくありません。
敦賀駅のものは同形車ながらデッサンに狂いが見られるため、後に描かれたものだと想像します。

400系リニューアル
金沢駅

撮影:石川県(2007)

無機質な金属色をまとった近未来形な新幹線。
よく見ると、全体のシルエットや銀色のカラーなど山形新幹線の400系の登場時の姿とよく似ています。

500系
黒部

撮影:富山県(2005)

スピード感ではどの系列にも負けない500系。子供心の残った大人にはとてもかっこよく見えます。
北陸新幹線の運営主体がどこになるのかは分かりませんが、現在の北陸本線がJR西日本経営なので敬意を払ったと言うところでしょうか。

赤いひかりレールスター
金沢

撮影:石川県(2007)

北陸新幹線と言えばE2系という多数決に真っ向から勝負するのは「ひかりレールスター」700系の看板。これぞJR西日本でしか見られない車両なので、義理立てには十分です。
窓下のラインは赤。そういえば北陸新幹線は「第3の新幹線」と言う位置づけだったのか、昔から青、緑に続く赤いカラーがイメージされていたような気がします。

北陸新幹線舞鶴ルート
舞鶴市

撮影:京都府(2019)

北陸新幹線の敦賀〜新大阪間のルートについては小浜ルートと呼ばれる福井県小浜市経由のルートでほぼ固まったようです。
舞鶴市を中心とした京都府北部では、舞鶴ルートの誘致に力を入れてきましたが、この誘致看板も過去のものになるのかも知れません。
北陸新幹線なのでE7/W7系が描かれていますが、敦賀以西の延伸時には、次世代車両に置き換わっていることでしょう。

九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)

九州新幹線新鳥栖駅から分岐して、長崎に至る新幹線ルートで、当初「長崎新幹線」「九州新幹線長崎ルート」といった呼び方をされていましたが、途中経由地にも配慮して「九州新幹線西九州ルート」という呼び方も加わっています。
末端の武雄温泉〜長崎間は2022年度までに開業予定ですが、九州新幹線との分岐地点からの新鳥栖〜武雄温泉間の建設は未定で、フリーゲージトレインによる運行も断念となり、将来像は不透明です。

初代長崎新幹線専用車
長崎市

撮影:小僧猫様(長崎県 2010)

長崎市

撮影:小僧猫様(長崎県 2010)

長崎新幹線の誘致看板に長い間使われているのがこの車両。流線型の中に、正面窓とライト類をうまくまとめた独特のスタイルです。側面を見ると、500系にも似た丸い断面を持っているようです。
もっとも、よく考えると、運転席の窓はどこにあるのかとか、レールの幅が広すぎるのではないかとか、色々な疑問はわいてきます。
水色地のものはバスの窓に貼られた広告。長崎では市民の目の届くいたるところにこの車両が登場しているようです。

漫画にされてしまうと
国会議事堂前駅

撮影:東京都(2007)

こちらは上と同じ車両ですが、漫画家の蛭子能収先生によるもの。
だいぶかっこいい車両だと思っていましたが、漫画になってしまうとアゲハの幼虫のような感じになってしまいます。

長崎新幹線ニューモデル
長崎駅

撮影:小僧猫様(長崎県 2010)

長崎新幹線の誘致のためのイメージ車両が2009年にリニューアルされました。
新型車両は、正面のスタイルに複雑な三次元曲線が採用されるなど、N700系に負けない不気味なスタイルになりました。運転台部分の突起が空力的にどう作用するのかは私には分かりません。

長崎新幹線ニュー“かもめ”
長崎駅

撮影:長崎県(2018)

2022年の開業と決まり、誘致看板もリニューアルされました。
この新型車両は、もしかすると鳥のカモメをイメージしたのかも知れません。現行の長崎行きの特急列車も「かもめ」です。カモメなら、このポッコリした変な頭のわけも理解できます。

新大村駅の“ニューかもめ”
新大村駅

撮影:長崎県(2018)

大村市に建設中の新大村駅予定地の看板にもカモメが描かれています。
正面から見ると、カモメの頭はかなりぽっこりと膨らんでいるのが分かります。

長崎市役所の“ニュー“かもめ”
長崎市役所

撮影:長崎県(2018)

長崎市役所の看板もニューかもめに変わっていました。
ここに、この電車を最も分かりやすく描いたイラストがありました。側板の傾斜が大きく、座席に座った時の車窓の見え方が気になる形状です。

島原半島のニュー“かもめ”
島鉄バス

撮影:長崎県(2018)

全線フル規格を訴えるニュー“かもめ”もいました。島原鉄道のバス広告として、半島の住民に訴えています。
未建設区間をフル規格で建設すれば、山陽新幹線とも直通運転ができ、時間短縮が図られます。

九州といえば800系
嬉野温泉

撮影:小僧猫様(佐賀県 2010)

やはり九州新幹線の一員ならば800系が走る可能性だってあるでしょう。嬉野温泉では、ちょっとかわいらしい800系のイラストが使われていました。

カモメと勢力を二分する800系
新大村駅

撮影:長崎県(2018)

やはり九州新幹線のバリエーションの一つなのだから800系なのだと主張する勢力が、カモメ派とガチンコ勝負を繰り広げているのが長崎県です。
高架工事中の看板にも、“ニューかもめ”と800系の両方が見られました。

700系も発見
嬉野町

撮影:小僧猫様(佐賀県 2010)

なぜか誘致看板界では人気のなかった700系を発見。新幹線といえば東海道・山陽新幹線の主役を外すわけには行きません。しかし、ちょっと小さすぎるイラストです。

N700系でフル規格誘致
嬉野温泉駅

撮影:佐賀県(2018)

武雄温泉〜長崎間が2022年開業と決まった今、焦点は新鳥栖〜武雄温泉間をどのような規格で建設するかです。フル規格にしないと時間短縮効果が見られない長崎エリアと、そのままでもあんまり変わらない中間地点とでは、温度差があるようです。
フル規格にしないと、「さくら」のN700系はここまで乗り入れてこられません。

幟旗にもN700系
道の駅

撮影:長崎県(2018)

道の駅ではためいていた幟旗でも全線フル規格を訴えます。やはりフル規格の象徴はN700系「さくら号」になるようです。

シンボルはブルーライン
大村駅

撮影:小僧猫様(長崎県 2010)

長崎県内でもう一つの勢力を持つ誘致看板がこのデザイン。新幹線車両をイメージした青いラインのデザインです。小さい窓のように見えるところは文字が書いてあるようです。
やっぱり、抽象化すると新幹線のイメージは青なんでしょう。

その他の新幹線

整備新幹線は5路線といわれますが、そのほかに山梨県に実験線のあるリニア中央新幹線は先般JR東海が2025年までに首都圏と中京圏の間を開通させると発表しています。また、これらとは別に新在直通の新幹線(ミニ新幹線)を誘致しようと運動している地域は少なくないようです。

四国のフリーゲージトレイン
高松駅

撮影:OKMR様(香川県 2008)

四国に新幹線を誘致しようと言う看板ですが、フル規格と言う無理なことをせず、狭軌のままフリーゲージトレインを導入しようと言う構想。もしフリーゲージトレインが実用化されれば新幹線と在来線が同じ車両で直通でき、現在の新在直通(ミニ新幹線)のように在来線を改軌する必要がありません。
イラストになっているのは1998年から日本のみならずアメリカにも運ばれて試験運行を続けてきた第一次試験車両で、GCT-01形と言うそうです。

瀬戸大橋を渡るリニア新幹線
多度津駅

撮影:キュービック様(香川県 2020)

四国各県に貼られている「四国新幹線整備促進期成会」の誘致ポスターです。
四国の新幹線沿線人口は、北陸や北海道・東北の沿線人口を大きく上回っているとか、瀬戸大橋は新幹線規格で建設されているとか、積極的なアピール文が書かれています。
その新幹線規格の瀬戸大橋を渡っているのは、どう見てもリニア新幹線の試験車両。これまでの四国新幹線誘致看板に見られたフリーゲージトレインとかを大きく飛び越えて、リニアです。それも道路幅に比べてかなり大きいです。これでは建設時の規格には合いません。
一応、誘致のロゴなどに使われているイラストは、常識的なN700系をデザインしているところは良心的です。

紀伊半島のフリーゲージトレイン(扁平)
有田市

撮影:和歌山県(2007)

紀伊半島でも新幹線の誘致に力を入れた時期があり、今でも「ミニ新幹線」誘致の看板が残ります。
紀州路 そんな中で見つけたのは、平べったい妖しい電車。画像の縦横比率を変え過ぎです。このときは智頭急行の「スーパーはくと」かと思いました。しかし、その1週間後にプレス発表されたフリーゲージトレイン2次車を見て謎が解けました。それにしてもプレス発表前のイラスト、どうやって入手したんでしょう。
ちなみに電車の左側の怪しい「Vウサギ」は、この地区の看板によく登場するマスコットです。

紀伊半島の300系
藤並駅

撮影:和歌山県(2007)

300系新幹線のイラストを使った誘致看板は珍しいと思ってよく見たら、新幹線の誘致ではなくて、「特急停車」看板でした。
しかし、わざわざ新幹線車両を使うあたりは、隠し味として新幹線誘致をも含んでいるのではないかと疑いたくなります。上のフリーゲージトレインもそうですが、最近の紀伊半島でははっきり「新幹線誘致」を謳えない理由があるのでしょうか。

山陰新幹線の700系
舞鶴市

撮影:京都府(2019)

この前まで北陸新幹線の舞鶴ルートの誘致活動をしていた舞鶴市ですが、方向転換の判断は早く、今度は山陰新幹線の誘致を始めています。
山陰新幹線は、新幹線整備法で定められた基本計画路線で、新大阪から鳥取や松江を経由しながら下関に向かう路線です。もちろん途中のルートなどはまだ全く未定です。
誘致旗に使用されているのは、東海道山陽新幹線の700系です。この車両が現役のうちに、山陰新幹線が開通することを目指すという決意の表れでしょう。

常磐線から新幹線
石岡駅

撮影:左党89号様(茨城県 2010)

茨城県の常磐線から乗り換えなしで東京駅へという看板。いわゆる「東北縦貫線」という上野−東京間の列車線が出来ると、これが実現するわけです。
東京駅に直結すると言うことは、新幹線にもダイレクトに乗り換えられます。
ところが写真が古い。向こうから0系、100系、WIN350、300系、500系。辛うじて残っているのは300系だけ。使った写真が悪いのか、代替わりが激しいJRが悪いのか、この手の看板の賞味期限は長くはないようです。

寒川町に新幹線駅
寒川駅

撮影:神奈川県(2009)

神奈川県の中央部にある寒川町に新幹線駅設置を求める誘致看板です。現在の新横浜駅と小田原駅の中間くらいになるのでしょうか。
この問題の是非はともかくとして、成熟した東海道新幹線の誘致看板と言う希少性と、特徴をうまく捉えた700系のイラストが見所です。

沖縄の新幹線
沖縄県

撮影:ちょご姉様(沖縄県 2008)

「沖縄市から路面電車を走らそう!」という看板ですが、なぜか新幹線0系のようなイラストが描かれています。
鉄道のなかった沖縄県にも2003年にモノレールが開通していますが、依然として普通の鉄道はありません。なので、路面電車と新幹線の区別がついていないのでしょうか。

コラム
開業直前の光景
工事中 本文では「誘致看板」とは言うものの、「着工前」→「建設中」→「開業直前」という過程の中での様々な看板を掲載してきました。これらの中で最も夢があるのが「着工前」で、ぜひ地元に新幹線をという熱意が表れた名作が各地で見られます。それこそが「誘致看板」の本来の姿です。またこの時期の看板は、実際に走る車両がまだ未知の車両であるため、創作されたものであったり、その時点での最新型であったりとバラエティに富んでいます。
これが「工事中」になると、もう開業することは決まっているので必死さが影を潜め、現実的になります。特にそこに謳われている車両は、現存する車両でしかも実際にその路線を走りそうな車両が描かれるようになります。2000年代には、東北、北海道、北陸などどこの新幹線もE2系が描かれるという状況に陥り、誘致看板のおもしろさも半減状態でした。
そんな中で、今回、2010年の東北新幹線新青森開業に当たり、これらの全過程の看板を目にすることが出来ました。特に「開業直前」という段階を目にすることはなかなか出来ません。貴重な一シーンであると思います。
新青森開業
新青森開業が近づいている中でも、当初の看板はそれまでどおりE2系が使われていました。ピンクのラインで広窓の「はやて」号が新青森開業のシンボルでした。この時点で既に「ファステック」と呼ばれる試作車両は登場しており、近い将来の新幹線のイメージモデルとして北海道の誘致看板などでは頻繁に見られるようになっているのですが、実現間近かの東北ではあまり見かけませんでした。
新青森開業時にE5系が同時就役しないことから、E2系と合わせての登板
ところが、JR東日本がこの「ファステック」の量産化車両の形を発表し、先行量産車両が登場するなど、使用車両が具体化すると、開業を祝う看板にはこの新型車両E5系が一挙に使われるようになります。
上の本文のところに掲載した青森県による「結集!青森力」の看板も主役をE5系に譲り、青森市などによる「一路青森。」の文字にもE5系が使われるようになります。
新青森開業
青森県による「結集!!青森力」と青森市などの新幹線新青森駅開業対策実行委員会による「一路青森。」に登場したE5系
結集!!青森力
結集!!青森力一路青森 間もなく開業間もなく開業
しかし、これらの看板には一つの宿命があります。役目を終えたら消えるという宿命です。「着工前」の誘致看板は着工してからもしばらく残る可能性がありますが、「建設中」の看板や「開業直前」の看板は開業すれば撤去されますので、その掲示期間は決して長くありません。
せっかく工夫されたイラストも、後世にその姿を残すことは出来ないのです。本コラムで掲載した「開業直前」の様々な看板も、既に取り外されているのです。
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