写生・デッサン 吉田敦彦作品集
Rearistic-drawing by Atsuhiko Yoshida
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私が抽象表現に近い作品を作る一方で、以下にあるような描写(デッサン)を続けてきたのは上記の気持ちがあるからです。抽象にしても、描く以上、対象(抽象においてはキャンバス空間のことです)が正確に見えていなければならない。その目は常に研ぎ澄ましていなければならない。そのためには描写が一番良い方法だと思うのです。
また、絵画を表現と捉えていますが、人間の内面を底なしの泉とは思っていない。泉の水は伏流水だから、どこかで天(自然)から補給してもらわなければ涸れてしまうはず。内面を充実させるためにも自然の描写が最善の方法だと思っています。
ですから私の描写はまったく単なる正確な写生です。当然、常に実物を見て描き、写真などからの引き写しは行いません。ただ、自然から受けた感動をありのままに表現するためには、若干の強調や空間構成上の整理はやむをえないことと思っています。キャンバスの空間は限られていますし絵の具の色彩は自然の加算混合の色彩にかなうはずがないのですから。
とはいえまた、ゴッホやセザンヌやピカソなどなどの、先人たちの表現領域開拓の跡を受け継ぎながら未だに描写だけに頼ったり、そのための技法だけを見せびらかすような行きかたを認める気はありませんが。
三宝柑
F4