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おじいさんと時計(その2)

2002/09/05

 「おじいさんと時計」でちょっと話に出てきた「大きな古時計」ですが、 この前、平井堅さんが シングルを発売してかなりの人気のようですね。 このサイトにも 「大きな古時計」「おじいさんの時計」「歌詞」「楽譜」「MIDI」「MP3」 などのキーワードを組み合わせて検索してやってきた方が最近非常に増えています。

 まあ、せっかくやってきてくれたんだし、 少しはご期待に応えようかなということで、 「よしなごと」の題材に取り上げてみます。 なにしろもともと大好きな曲ですから(おじいさんと時計参照)。

 まずは歌詞。

「大きな古時計」

大きなのっぽの古時計 おじいさんの時計
百年いつも動いていた ご自慢の時計さ
おじいさんの生まれた朝に 買ってきた時計さ
今はもう動かない その時計
百年休まずに チクタクチクタク
おじいさんと一緒に チクタクチクタク
今はもう動かない その時計

なんでも知ってる古時計 おじいさんの時計
きれいな花嫁やってきた その日も動いてた
うれしい事もかなしい事も みな知ってる時計さ
今はもう動かない その時計
百年休まずに チクタクチクタク
おじいさんと一緒に チクタクチクタク
今はもう動かない その時計

真夜中にベルが鳴った おじいさんの時計
お別れのときが来たのを みなに教えたのさ
天国へ昇るおじいさん 時計ともお別れ
今はもう動かない その時計
百年休まずに チクタクチクタク
おじいさんと一緒に チクタクチクタク
今はもう動かない その時計

 泣けます。 童謡とはいえ、 子供だけに聴かせとくにはもったいないくらいの歌。 しかし、これだけで泣いてちゃいけません。 原詩の方がもっと泣けます。 英語が苦手な私のつたない訳ですが、対訳付きでどうぞ。

“Grandfather's Clock”

My grandfather's clock was too large for the shelf,
おじいさんの時計はとても大きくて棚に載らないので、
So it stood ninety years on the floor;
床の上に90年も立っていた。
It was taller by half than the old man himself,
おじいさんの背丈の半分以上もあり、
Though it weighed not a pennyweight more.
重さはおじいさんとちょうど同じ。
It was bought on the morn of the day that he was born,
おじいさんの生まれた朝に買われてきて、
And was always his treasure and pride.
それからは、いつもおじいさんの宝物だったし、誇りだった。
But it stopp'd short, Never to go again,
でも、その時計は突然止まって、もう動かない。
When the old man died.
おじいさんが亡くなった、そのときに。

Ninety years without slumbering, Tick, tock, tick, tock,
90年間休まずに、チクタクチクタク
His life seconds numbering, Tick, tock, tick, tock
おじいさんの人生を刻んで、チクタクチクタク
It stopp'd short, Never to go again,
その時計は突然止まって、もう動かない。
When the old man died.
おじいさんが亡くなった、そのときに。

In watching its pendulum swing to and fro,
ふりこがカチコチと揺れるのを眺めながら、
Many hours had he spent while a boy;
何時間も過ごした幼い頃、
And in childhood and manhood the clock seemed to know,
少年時代も青年時代も、時計はきっと知っていて、
And to share both his grief and his joy.
おじいさんの悲しみも喜びもともに分け合ってきた。
For it struck twenty-four when he entered the door,
そして、おじいさんが美しい花嫁をつれて入って来たとき、
With a blooming and beautiful bride.
時計は24回も鐘を鳴らした。
But it stopp'd short, Never to go again,
でも、その時計は突然止まって、もう動かない。
When the old man died.
おじいさんが亡くなった、そのときに。

My grandfather said, that of those he could hire,
おじいさんは言っていた、雇うならこの時計だ。
Not a servant so faithful he found:
どこを探してもこんな忠実な召し使いはいない。
For it wasted no time, and had but one desire,
時間を無駄にしないし、唯一の望みは
At the close of each week to be wound.
週末にネジを巻くことだけだ。
And it kept in its place, not a frown upon its face,
でしゃばらないし、顔をしかめたりもしない。
And its hands never hung by its side;
手(=針)を横にだらんと垂らすようなことしない。
But it stopp'd short, Never to go again,
でも、その時計は突然止まって、もう動かない。
When the old man died.
おじいさんが亡くなった、そのときに。

It rang an alarm in the dead of the night,
真夜中に時計のベルが鳴った。
And alarm that for years had been dumb;
ベルはずっと鳴らなかったのに。
And we know that his spirit was pluming its flight,
僕らは知った。おじいさんの魂が飛び立とうとしていることを。
That his hour of departure had come.
おじいさんが天に召されるときが来た。
Still the clock kept the time, with a soft muffled chime,
時計はまだかすかな音で時を刻んでいた。
As we silently stood by his side;
僕らがそっと彼に寄り添ったときには。
But it stopp'd short, Never to go again,
でも、その時計は突然止まって、もう動かない。
When the old man died.
おじいさんが亡くなった、そのときに。

 ほぼ直訳で臨場感もなく非常に申し訳ないですが、 それでさえ、原詩の方がずっと感動的ではないですか。  今回、この歌をよしなごとに取り上げようと思って、原詩を調べて (元タイトル“Grandfather's Clock”は知ってましたから)、 訳してみるまで、 こんなに内容が濃いとは知りませんでした。

 日本語ではひとつの音符に1音(仮名1文字)ずつ割り当てて歌詞を作りますが、 英語ではひとつの音に1音節を割り当てるため、 英語の歌を日本語に訳す場合、 同じ曲なら英語の方がたくさんの内容を盛り込めるのですね。

 内容は少々端折られているとはいえ、 ストーリー展開は日本語版も英語版とほぼ同じ。 ただ、英語版の3番が日本語版ではカットされているようです。 なぜなんでしょう。 うまい具合に詩を作れなかったのか、 「召し使い」という表現がまずかったのか。 真偽のほどはわかりませんが、 ご存知の方がいらっしゃいましたらお知らせ下さい。 あと、面白いのが日本語版では「100年」のところが、 英語版では“Ninety years”と「90年」なところですね。 これはどうやら歌う上での語呂の問題で、 日本語の歌詞を作る際、 90年だとメロディにうまくのらないため100年にしたようです。

 ところで、 日本語版の「天国へ昇るおじいさん 時計ともお別れ」という歌詞ですが、 時計も一緒に止まったのだから、 お別れではなく一緒に行ったのではないかな、と思うのは私だけでしょうか。 英語版では時計とおじいさんとが分かれるという文はないので、 今回、ますますこの考えが強くなったのですが、いかがでしょう?

 というわけで(謎)、 みんなで英語版の歌詞を覚えて、感動に浸りましょう。

 ここで、ここまで読んでくれた方にプレゼントです。

 こんな感じで 楽譜・カラオケ集 もよろしくお願いします。


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