たいしたことのないこと / つれづれにぽこあぽこ

快適な速度と安全な速度

2002.11.21

 以前、新規格の軽自動車は快適だと書きましたが、 それはあくまでも旧規格の軽自動車やひと昔前の普通車と比べての話。 同じ時期の軽自動車と普通車を比較するとやっぱり普通車の方が快適です。 その快適さが危険という話も以前に書きましたが、 今回はもう少しつっこんで話をしてみます。

 たとえば、 私の軽自動車と某友人の普通車では体感速度が 20km/h くらい違うように感じます。 友人の車で 80km/h くらいで走っているのと 私の車で 60km/h くらいで走っているのとで振動その他が同じくらいに感じるってことです。 まあ、私の車が 80km/h くらいまでそこそこ快適だとすると、 その友人の車では 100km/h くらいまで快適なわけです。 だから、なんとなくそのくらいの速度まで安全なような気がしてしまうんですけど、 そんなわけないですよね。

 自動車の安全基準ってたしか 50km/h くらいでの衝突実験の結果によって定めてるんでしたっけ。 まあ、60km/h だろうと 80km/h だろうとその基準をオーバーしてるってわけですが、 果たしてどのくらいオーバーしてるんでしょうか?

 え? それぞれ 10km/h オーバーと 30km/h オーバーだろって?

 いえいえ、違います。そのように単純な考え方をしていると事故を起こしたときには死んでしまいすよ。 ここはどの程度基準速度より衝撃が増すかと考えるのが適当でしょう。

 自動車が衝突などによって急停止したとき、 自動車の内部に乗っている人間はそのままの速度で動き続けようとします。 その動きをシートベルトやエアバッグ、 はたまたハンドルに胸を強打という形で阻まれるわけですが、 そのときの衝撃とはつまり走行しているときの運動エネルギーです。

 というわけで、 車体の重さは考えないで内部に乗っている人の持っているエネルギーについて考えます。

 体重が 60kg だとすると、 50km/h で移動しているときの運動エネルギーは 5796.3J(ジュール)。 これは 60kg の人が高さ 9.8m(3階建てのビルくらい?)から飛び降りたときの衝撃と同じくらいです。 ほとんどの自動車はこの衝撃に耐えられることは保障されているわけです。 つまり、あなたは3階建てのビルから飛び降りても大丈夫なマットを持っていると思ってください。

 これが 60km/h で移動しているときの運動エネルギーは 8366.7J 。 ビルの高さは14.2m(4階建てくらい?)になります。 さらに 80km/h で移動しているとすると 14785.2J 。 ビルの高さは 25.2m(8階くらい?)。 100km/h なら 23185.2J 。 ビルの高さは 39.4m(12階くらい?)。

 運動エネルギーは速度の2乗に比例します。 つまり、速度が2倍になるとエネルギーは4倍になるわけです。 実際には衝突の瞬間にはブレーキを踏んでいることが多いですから、 そう単純にはいかないのですが、このことは基本ですので覚えておきましょう。

 さて、大きいマットも小さいマットもビルの3階から飛び降りても命の保障はされてます。 大きいマットの方が小さいマットよりも落ちたときのショックも少ないし、 もっと上から飛び降りても大丈夫なような気がします。

 でも、あなたはそのマットの上に何階から飛び降りようというのですか?


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