2.アルミホイール、センターキャップ (2/4ページ)

      

 ホイール&タイヤと、ボディとのバランスについて、もう少し見ていきましょう。上の二つの絵は、タイヤ外径、口径、リムサイズ、オフセットなどを全く同じに描いてあります。違うのはスポーク部分が出っ張っているか、引っ込んでいるかというホイールデザインだけです。しかし、パッと見では左の絵の方がオフセットが出っ張っているように見えます。右の絵は、あたかもタイヤがフェンダーの内側に入っているかのような印象を受けます(実際にはタイヤの位置は全く同じに描いてあります)。つまり、スポーク部分が張り出したデザインではツライチ感を強調しやすく、スポーク部分が引っ込んだデザインの場合は、頑張ってツライチまで出しても、まだタイヤが引っ込んでいるように見えてしまう傾向にあると言えます。

      

 また、ホイールの口径によってもボディとの位置関係は違って見えます。まず一番左の絵を見て下さい。スポーティではありませんが、バランス的にはそこそこまとまった感じに見えると思います。次に、一番右の絵ですが、これは取って付けたような感じでタイヤの納まりが悪く、ボディが持ち上がったような、浮き足だった感じに見えます。上の3つの絵は、ホイールの口径を違えて描いていますが、車高もタイヤの外径も全く同一に描かれています。口径が大きくなると、ホイールの丸の下端がボディ下端のラインから大きく下にはみ出すために、浮き上がったような、取って付けたような印象になってしまうのです。デカければカッコイイといういうのも程度問題で、ボディとのバランスが重要だと思われます。

     

 左は車高を下げたイメージ、右はさらにエアロパーツをつけたイメージです。ここまでやれば、大口径がカッコよく見えます。一般的には、ホイールの口径をを1インチ大きくしたら、車高を1〜1.5cmくらい下げた状態で、元と同じくらいの視覚的バランスになると思います。GOLF4GTIの場合で言えば、ノーマルが16インチですから、17インチにしたら1cmダウン、18インチなら2〜3cmダウンで、元と同じ視覚的バランスに見えるはずです。ノーマルの状態で車高が高めで格好悪いと感じている場合は、その分のダウン量を加算して考えないと、「車高を下げてホイールも変えたのに、ちっとも下がった気がしない」というようなことになります。

 ただ、車高を大きく下げた場合は、フェンダーアーチの弧の中心が、ホイール&タイヤの丸の中心よりも下方向にずれてきますから、いかにもイジってある感じが醸し出されます。フェンダーアーチが複合カーブになっている車は比較的目立ちませんが、GOLFのフェンダーアーチはほぼ真円なので、中心点のズレが大きくなるとそれが目立ち、よく言えばスポーティな、悪く言えば品のない印象になります。上品に仕上げたいという場合には、その辺りにも気配りが必要かと思います。エアロパーツをつければ、実際の車高を下げなくても、ローワード感がでますから、視覚的バランスは取りやすくなると思います。

     

 次に、オフセットやリム幅を変えた場合の見え方の違いを考えてみます。ホイールの外ツラがフェンダーの面より奥に引っ込んでいると、一般的には幅狭で格好悪く見えます。ホイールをツライチくらいまで出っ張らせると、踏ん張る感じがして迫力も増し、格好良く見えると思います。しかし、オフセットを外に出すと、その分だけ車高が高く見えてしまう副作用もあります。これは、車を見る視点の高さが、通常はフェンダーアーチの上端よりも高い位置にあって、見下ろすかたちになるからです。上図の青い線はフェンダーの断面、灰色の四角形はタイヤを前から見たイメージです。二つの絵は同じ車高に描いてありますが、オフセットを外に出すとタイヤとフェンダーの間の隙間が大きく感じられることが分かります。

 雑誌などで掲載される車の写真は、十分離れた位置から望遠で撮ったり、カメラマンがしゃがんで撮影することも多いので、このような視覚効果は期待できないのですが、通常は立った姿勢で数メートルの距離から見ることが殆どですから、オフセットをあまり外に出さずに、ツライチ感を程々のところで我慢しておけば、フェンダーとタイヤの隙間が強調されることはなく、全体としてはまとまった感じに見えます。逆にツライチ感を妥協せずに、本当にツラツラまで外に出した場合は、見下ろし効果が期待できないので、車高をまともに落として、フェンダーとタイヤとの隙間を本当に詰めていかないと、視覚的バランスが取れないということになります。

     

 上の絵は、実際にどう見えるかをモデル化したものです。左はタイヤをフェンダーの内側に少し引っ込めて描いてあります。右は、タイヤをツライチまで出したときの絵です。車高は全く変えていないのですが、右の絵は車高が上がったように見えてしまっています。つまり、ノーマル車高のままホイールのオフセットをツライチに合わせたりすると、ボディが浮き上がったような感じに見えてしまうということです。さらに口径まで大きくしたりすると最悪で、本当にタイヤを取って付けたような感じに見えてきます。口径、オフセット、リム幅を選定する際には、車高やエアロパーツとのバランスに十分考慮する必要があると言えます。

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