東京湾の海賊 航海日誌 04


 

カモメ団@ 〜処女航海〜

 レンタカーを借りました。

 神奈川県の実家から荷物を積んで江戸川へ。

 透明、首都高と乗り継いで、ニューポート江戸川のある妙見島へ。途中、学校前で待ち合わせをし、学生たちを拾いました。

 拾った学生たちは、学校初の上位大学受験者たちで、日々、みるみるうちに顔が青くなっていくような学生たちでした。緊張で夜眠れない毎日が続いていました。見ている私自身、気の毒になってしまうほどの緊張感が漂っていました。外国人の特別入試で実施される面接試験の対策でも、緊張のあまり何もしゃべれなくなっては困ります。こんな状況では無理です。

 そこで、海上面接練習をしようと考えました。

 まず、そんな私の言葉など、学生たちは信用しませんでした。…っつうか、まさかそんな真似しないだろうってのが本音だったようです。ボートで海の真ん中へ連れて行き、波をかぶりながら揺れる船の上で面接の練習?そんなもん信用するわけがありません。それで、拾った時も、完全に冬の海を舐めた格好で、カメラすら持ってこない状況でした。それを一度、家に寄り、買い物もし、万全整えて妙見島へ行ったのです。

 半信半疑の学生たちを乗せて、いざ、出港!!

 冬の海。

 みんな完全防寒着で江戸川をかっ飛ばします。

 教官の指示通り、屋形船が止めてある区域では、引き波を立てずにゆっくりと進みます。そして、教官の指示されたポイントから一気にスロットルを上げ、滑走状態へ入ります。

 波を蹴って、江戸川を進むボート。
 滑走状態。
 風を切って進みます。

 その時!

 半信半疑、青白い顔をしていた学生たちが、一斉に雄たけびをあげました!

 BGM は、さしずめ映画『タイタニック』ってところでしょうか。

 波を蹴り、引き波をたて、SRVは海を目指します。
 右に江戸川区の住宅地を望み、左に浦安市。
 川岸の街を後ろへと流し、ボートは進みます。
 だんだんと広くなる江戸川。
 やがて、左手前方にシンデレラ城が見えてきます。

 前方には浦安大橋が見えてきます。

 橋脚の間を抜け、三枚洲を抜けると…一気に視界が広がります!!

 

 

東京湾!

 

 

 開けた視界は東京湾!
 彼方には水平線。
 その真ん中に輝く『風の塔』!

 一気に進みたい!

 そんな想いを押えながら、ここで一息ついて、波の状態と相談し、その後の針路を決めます。波が静かなら、このまま海上を進んで東京港を目指します。波が高ければ、臨海公園の前を通り、荒川から運河に入り、運河から東京見物をします。

 とりあえず、海の真ん中で、今日来られなかったクラスメートに電話を入れました。

 この時は、比較的波が静かだったので、このまま外側を走りました。けど、東京港の入り口で、このまま波のある真ん中を進むか、それとも、羽田から運河に入るかと聞くと、皆、惨運で運河を指さしました(笑)。口にはしませんでしたが、相当、船酔い気味だったのでしょう。

 

隅田川/東京湾クルーズ

 

 運河に入ると、あとはのんびりレインボーブリッジを目指します。そして、そのままのんびりのんびり運河、隅田川めぐり。のんびり運河を進む休日…って、面接の練習だっけ(笑)?

 

隅田川/東京湾クルーズ

 

 この時にレインボーブリッジの前で写真を撮りました。
 それがその後の伝統になりました。

 

 隅田川を進む。

 川岸にホームレスの家々。

 水路を抜けて荒川へ。

 ほとんど波の無い荒川を静かに滑走し…。

 

 

隅田川/東京湾クルーズ

 

 

 そして、帰港しました。

 

 

2002.12.14
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 この日、乗り組んだ4人の学生は、全員、上位大学(第一志望)に合格しました。

 

 

 ニューポートさんの船には『 seagull 』の名前が関してあります。そこで、学生を乗せる時は、勝手に『カモメ団』と名乗りました(笑)。

 

 海の女神に感謝。

 

 

東京湾の海賊『処女航海』

 

1人クルーズ U   東京湾の海賊   05

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