ダイスケ の 日だまり日記

(3)

8月18日〜8月31日

                                            
                                             
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     8月18日(日)


夏休みも終わり、またいつもの日常がもどってきたね。もっとも、ボクには夏休みなんてカンケーないけど・・・
Dorianさんはなにやら忙しそうだったよ。海に行ったり温泉に行ったりけっこう楽しんでるみたいだったけど、お盆にはおおぜいお客さんが来たのでてんてこ舞い。「猫の手も借りたい」だってさ。

ボクがうれしかったのはオネエサン(Dorianさんの娘さん)が帰ってきたこと。オネエサンはボクの命の恩人なんだ。なにしろ学校の自転車置き場に捨てられていたボクたちをDorianさんちに連れてきてくれたのはこのオネエサンなんだから。
オネエサンはボクを抱き上げて「ダイ、会いたかったよーー!チュッチュッ」と、そこまではよかったけど「おまえ、痩せて汚くなったね、目も変だし」だって・・・傷ついたぞボク!(`_´)

そんなわけでまたボクの日だまり日記が始まりました。これからもよろしくねv(^o^)v


8月19日(月)  「ひみつ」

あんまり知られたくないんだけど、ボクにはチョット恥ずかしいクセがあるんだ。実はね、指しゃぶりするんだ・・(あ、笑ったな!やっぱり言うんじゃなかった)。寝るときの定番は、Dorianさんの膝に乗り、右手の甲をしゃぶりながら左右の手をDorianさんの膝につけて、グー、パー、グー、パーとやるの。パーで爪を立てるのでDorianさんは痛いって怒るけど、これが一番goodなんだ。

自分なりに分析すると、赤ちゃんの時にむりやりお母さんから引き離されたのでその時の記憶がいつまでも残っているんじゃないかと思うんだ。でもボクももう4歳、そろそろやめなくちゃ。人間だったら40歳のおっさんが指しゃぶりしていることになる・・・うっ、気持ち悪い!


8月20日(火)  「パトロール」

最近ではあまり見かけなくなったけど、大きなペットボトルに水をいっぱい入れて塀の外に並べている家があるけどあれはにゃんだ? 噂では猫嫌いの人の猫よけのおまじないらしいけど、あんなものでボクたちを追っ払おうなんて甘いよ!そりゃぁ最初見たときは「ゲッ」と思ったけど、よく見ればただの水。ペットボトルが追いかけてくるわけじゃなし、ちっとも怖くない。

ボクたちは毎日遊んでいるように見えるだろうけど、いつも附近をパトロールして「猫地図(*7月24日の日記参照を書き換えているんだ。道路工事をやっていたり、ふだん何もないところに車が停めてあったりすれば、直ちに地図は更新される。だから不審なペットボトルが出現しても、地図を書き換えれば何てことはない。

それより、怖い顔をしてペットボトルに水がたまるのをじっと見ているその家のおっさんのほうがよっぽど怖いよ(ブルルッ)

 

8月21日(水)  「人間のおもちゃ」

ボクが廊下で伸びて寝ていると、通りかかった人はみんなボクを踏んづけるんだ。スリッパをはいていると脱いで、靴下をはいていても脱いで、素足でぐにゅぐにゅとボクのお腹を踏む。柔らかくて気持ちがいいんだって。ボクは人間にいじられるの好きなのでべつにいいけど、足でやるのはやめてよ!オドの足臭いんだもの・・・

ボクはよく人間のおもちゃになる。Dorianさんはぼくを前向きにひざの上に乗せてボクの前脚をもって「♪ちょちちょちアワワ かいぐりかいぐり トットの目♪」とボクを踊らせてよろこんでいる。最近は「アィーン体操」をやらされてるんだ。氷川きよしの「ズンドコ節」なんてうまいもんだよ。


8月22日(木)  「恥ずかしいこと」

Dorianさんはよく「おまえ、お尻の穴を見せて歩いてよく恥ずかしくないね」と言う。なんてこと言うんだ!犬だって猿だって鳥だってみんなお尻を出しているじゃないか。ボクに言わせれば人間の方がよっぽどおかしいと思うよ。パンツの上にズボンまではいて女の人は胸まで隠してる。隠すから見られると恥ずかしいんだ、ボクたちみたいに堂々と見せて歩けば恥ずかしくない・・・・ことないか^_^;

もっともボクたちだってウンチをしているところを人間に見られたらかなり恥ずかしいよ。その最中に目が合ったりしたら、出るものも出なくなっちゃう・・・できれば見て見ぬ振りしてもらいたいよ。


8月23日(金)  「目のひみつ」

ボクたちの先祖は「夜行性ハンター」で、暗いところでもよく見える高感度カメラの目を持っているんだ。でもそれだと昼間はまぶしくて目を開けていられない。それでボクたちの目はタテ型になっていて、昼間は瞳を閉じて明かりを調節しているんだ。まぶたを閉じなくても瞳だけで完全に光をシャットアウトすることだってできるんだよ。

昼間の猫の目は細くてあまり可愛くないけど、夜になるとパッチリ開いて魅力的な目になる。さて、そろそろメス猫ハンティングに出かけようかな・・・

 

8月24日(土)  「トラウマ」

ボクの兄貴のミャーは、悔しいけどボクより目が大きくて美猫だ。ミャーのお母さん(マシコさん)はボクを見るたび「ダイスケがうちの子でなくてよかった、だって変な顔してるんだもん」と言う。でもDorianさんに言わせると「性格はダイのほうがずっといいよ。ミャーは性格ブスだ」だってさ。

たしかにミャーは性格が悪い。人間が抱っこしようとすると噛みつく、暴れる、猫パンチを浴びせる・・・ミャーのお母さんにさえ噛みつくので、マシコさんはいつも傷だらけ。化膿して病院に行ったこともあるんだ。でもこれはミャーが悪いんじゃない。ミャーをこんな性格にしたのはその人間なんだから・・・

4年前の春、ボクたちはオネエサンに保護されてDorianさんちに来たわけだけど、次の日にミャーは裏のマシコさんちに貰われていった。そのころマシコさんちの子供はまだ小さくて、ちっちゃな猫が珍しくてミャーをおもちゃにして遊んだんだって。ぎゅっとつかんで放り投げたり、逃げると追いかけてまたつかまえたり・・・まだ赤ちゃんだったミャーはとうとう人間嫌いになっちゃった。可哀想な奴なんだ、兄貴は。

こういうのを人間の世界では「トラウマ」って言うんだってね。それにしてもなんで「トラ」と「ウマ」なのかなぁ・・・??

 

8月25日(日)  「優位」

猫は高いところが好きだ。高いところは安全だし見晴らしがいい。それにネコ同士の喧嘩では少しでも高いところにいるネコのほうが優位に立つという法則があるからなんだ。上から見下ろしたネコと下から見上げたネコでは、もうその時点で勝負はついたようなもんさ。

ムダな争いを避けるためには視線を合わせないことが鉄則で、勝てそうもない相手がいたら遠回りしてそそくさと逃げる。本当は全身が目状態なんだけどネ。

一度でいいからボス猫フーをギャフンと言わせてみたいよ。トホホ・・・

 

8月26日(月)  「マタタビ」

きょう買い物から帰ったDorianさんがニコニコして「ダイ、おみやげだよ」となにやら袋から取り出した。真っ黒くしなびた木の実のようなものをボクの鼻に当てて
マタタビだよ。どう?気持ちよくなった?」
「????」
「なによ、感じないの!猫にマタタビっていうでしょ、あんたバカじゃないの」

そんなこと言われても・・・たしかに猫にマタタビって言うけれど、すべての猫がマタタビに酔っぱらうとは限らないんだからね。現にボクにとってはこれはただの木の実で、お兄さんのシャツの臭いのほうがよっぽどボクを夢中にさせるよ。

これはお酒に強い人間と弱い人間がいるのと同じで、ボクはマタタビなんかに酔っぱらうほどヤワな猫じゃないんだ!

 

8月27日(火)  「夜の散歩」

最近またDorianさんの夜の散歩がはじまった。夏の間あきれるばかりに食べてその結果3sも太ったんだって。それで例によって夜の散歩を再開したというわけさ。これはもうDorianさんの年中行事で、「またか」ってなもんよ。

ボクは嬉しくてDorianさんのあとをトコトコついていく。すると「ダイ、ついて来ちゃだめよ。しょうがないねぇ」とボクを抱いて家に戻り、また出かけていくんだ。そんなことしなくてもボクは猫地図の外には出ないんだけどなぁ・・・

それでボクは塀の上でDorianさんの帰りを待つんだ。30分ほどするとDorianさんがハアハア言いながら帰ってくる。ニャー(お帰り)と声をかけると「ダイ、待っててくれたの!」とうれしそう。ほんとうは「30分ぐらい歩いたって痩せないよ」と言いたいんだけどね。

 

8月28日(水)  「食事のマナー」

Dorianさんはボクのご飯の食べ方が汚いって文句を言う。たしかにボクの食事のあとは、食器のまわりにカリカリやネコ缶が散らばって、Dorianさんは掃除がたいへんみたい。でもこれは仕方がないことなんだ、なにしろご先祖様から受け継いだご飯の食べ方なんだから。

ずーっと昔、狩りをして獲物を捕っていたころ、まるまる1匹の獲物は全部食べられないから、食べられるところと食べられないところを舌で選り分けながら食事をしたんだって。それでその習性が今も残っていて、舌が勝手に動いてご飯をあちこちに飛ばしちゃうんだ。

テーブルの上で魚をもらってもその場では食べないで、必ず部屋のすみまで引きずっていってゆっくりと食べる。これも昔の狩りの名残でご先祖様の教えなんだ。だからこれがボクたちネコ族の「食事のマナー」ってわけさ。

「こら、ダイスケ!また魚盗ったね!」
いけね、みつかっちゃった・・・

 

8月29日(木)  「ネコ舌」

よく熱いものが苦手な人を「ネコ舌」っていうけど、猫はほんとうに熱いものが苦手なのか?本当のところはボクにもわからない。だってそんなに熱いもの食べたことがないんだもの。ふだんから熱いものを貰ってればだんだん慣れて、けっこう熱いものでも食べられるようになると思うんだけどね。

だいたい動物はみんな熱いものはニガテだと思うよ。獲物を捕らえて食料にしていた動物が口にするもっとも熱い温度といったら、殺したての動物の体温で、せいぜい37〜39度C。焼きたての肉をフーフーいいながら口に放り込んで平気なのは人間ぐらいなものさ。

人間ってかなり野蛮だね。

 

8月30日(金)  「能力」

先住のミーチビは手で戸を開けることができた。*7月22日の日記参照。でも開けた戸を閉める猫はいるだろうか?そんな器用なネコはいないと思うよ。いれば化け猫だね。

ボクたちネコ族はかなり頭がいいと思うんだ。目的達成のためにはかなり高度なこともやってのける。外に出るためにはあの戸を左に引けばいいんだということはわかっても、外に出てしまえば目的は達成されたので、開いたままの戸のことなんか気にする奴はいないのさ。

ということは・・・戸を開けられないボクはやっぱりマヌケなネコということか。トホホ・・・

 

8月31日(土)  「ヒゲ」

Dorianさんはボクの顔をしげしげと見て「偉そうにヒゲなんか生やしちゃって」とボクのヒゲを引っ張るんだ。イタタ・・・やめろ〜〜!

ネコのヒゲは口のまわりだけでなく頬の上下、目の上、アゴの下にもある。これを結ぶと丸いになり、その円の大きさがそのネコの体のもっとも太い部分と同じなんだ。だから塀の穴を通り抜けるとき、ヒゲが触らなければその穴は通り抜けられる、というわけさ。

それだけじゃなく、猫のヒゲはレーダーの役目をしていて、風の向きや湿度、物体の位置などを敏感に感じ取る優れものなんだ。だからヒゲを切られたネコは危なくて夜なんか外に出られない。

べつに偉そうにして生やしているわけじゃないんだからね。



つづく